表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪詛返死  作者: HasumiChouji
第8章:人を呪わば墓穴(あな)だらけ……または、墓穴(あな)1つ
39/44

(1)

「まぁ、これで全部、終ったな」

「本当かよ?」

 俺は自分の代表作……と言っても漫画家になって二十数年、これしか描いてないが……の「本家・祟り屋」のアドバイザーである自称・霊能者の府川と居酒屋で飲みながら、そう話していた。

 電子透しで干し蛸が描いたポンチ絵に埋め込まれていた呪符。

 それをやったのは俺自身だった。

 仕事場のPCには電子透し関係のアプリが入っていて……しかも、そのアプリの「最近開いたファイル」の履歴には、干し蛸のポンチ絵と呪符の画像が有った。

 そして、呪符に書かれていた呪殺対象の名前は……新宿のトーヨコで家出少女の支援をやってる例の公金チュ〜チュ〜系のエセ・フェミ団体の代表のもの。

 そして、誰もかれもが、俺が呪符を埋め込んで再UPした干し蛸のポンチ絵をSNSで拡散していた。

 私人逮捕系の動画配信者も……。

 俺のアシスタント達も……。

 エセ・フェミ団体から名誉毀損で被害届を出されたはいいが、警察の捜査の結果、死亡している事が確認され、被疑者死亡で書類送検された男……SNS上で、例のエセ・フェミ団体を最初に告発した「伊切アカリ」を名乗るアカウントの主も……。

 最近、SNSに何も投稿しなくなった伊切アカリのフォロワー達も……。

 国会で変な死に方をしたって噂が有る保守系野党の女性議員も……。

 どうやら、俺がやった「呪い」には何か欠陥が有ったか、さもなくば、余りに信じ難い事だが、例のエセ・フェミ団体の代表が生まれ付き「自分にかけられた呪いを何倍にもして自動的に相手に返してしまう」ような体質だったのか……俺が始めた呪いをSNSで拡散した奴は次々と死んでいった。

 しかも、俺が始めた呪いが暴走してる事を見付けてしまった誰か……どうやら、府川と同じ俺の漫画にアドバイスをしてくれてた自称・霊能者の誰からしいが……呪いに巻き込まれないように、俺と呪術的に「縁を切」ろうとしたが、その結果、「縁を切る」呪術が暴走してしまったらしい。

 その結果、俺達は、俺が始めてしまった呪いについての記憶と、その呪いに関する重大な情報を握ってる奴に関する記憶を失なってしまったらしい。

 それどころか、無意識の内に、そいつに積極的に関わらない行動を起す「呪い」がかかってしまった。

 そいつからの電話は知らない内に着信拒否にして、メッセンジャーやSNSでは、知らない内にそいつをブロックし、そいつからのメールは知らない内にゴミ箱に送る……。

 だが、幸いにも時間的な余裕は有った。

 俺がSNSにUPした……そして「呪いの画像」に変えていた事さえ忘れていた「呪いの画像」を拡散した奴らの方から先に死んでいったのだ。

 偶然にも、俺がSNSにUPした「呪いの画像」を拡散した奴は、その呪いに関しては、自分で自分を、俺の形代(かたしろ)……俺にかかってきた呪いや、俺が使った呪いを返された場合に「肩代わり」をする存在に変えてしまったのだ。

 俺の始めた呪いは、呪いそのものの欠陥のせいか……それとも呪った相手が悪過ぎたのか……SNSで「呪いの画像」が拡散される度に返された。

 しかし、「呪詛返し」を食らってくれたのは……俺がUPした「呪いの画像」を拡散した奴ら……俺に呪いが返ってくるのは、そいつらが死に絶えた後らしい。

 助かった。

 ありがとう。

 君達の尊い犠牲は忘れない。

 君達には俺を生かす為の犠牲になったつもりは無いだろうけど。

 けど、俺が真実に気付き……そしてSNS上にUPしてた呪いの画像を削除する時間を稼いでくれた。

 ありがとう。

 ありがとう。

 本当にありがとう。

 君達が自分達の命と引き換えに守ってくれた俺の生命……絶対に無駄にはしない。

 俺の命には、今や、俺を命懸けで守ってくれた君達の命全てと同じ価値が有る。

 俺は君達の分まで幸せになってみせる。

 そして、「本家・祟り屋」を描き続け、世に蔓延る悪に……漫画の中だけの話だけど……制裁を加え続けていってみせる。

 ああ、そうだ、伊切アカリ君の初の単著は、出版取り止めになったそうだけど……君の分まで稼いでみせるよ。

「お前さあ……本当に『呪いの画像』をSNSから削除しただけで……お前の言う『エセ・フェミ団体』の代表を呪ったって『事実』まで消えると思ってんのか?」

 府川は面白くも無さそうか表情(ツラ)で、そう言った。

「いや……だって……呪いを始めた俺が、呪いをやめたんだ。呪いを返される訳が……」

 府川は「どうだかな」とでも言いたそうな表情(ツラ)で酒をチビチビと飲み続けていた。

「そう言や、松田君、トイレ長いな……」

 俺が、そう言った時……トイレの方から男の悲鳴が轟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ