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呪詛返死  作者: HasumiChouji
第7章:空虚なる者達
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(7)

 そう言や……メールの中に有った形代って何だ?

 聞き覚えが有るんだが……。

 そう思って、PCでWEBブラウザを立ち上げ、検索サイトに……あっ?

 何だよ……このサジェスチョンは?

『形代 本家・祟り屋 エピソード』

 何で、俺のマンガがサジェスチョンで出て来‥‥あっ……。

 誰かが違法にWEB上にUPしてたらしい、俺の漫画「本家・祟り屋」の……初期エピソードの中でも、一番、評判が悪かった奴だ。

 二〇年も前の……それも嫌な思い出なんで、無意識の内に思い出すのを避けてたのか?

 丁度、普及し初めてた頃のインターネットで散々に叩かれて……それから、キャラやプロットを変えた……。

 まだ、連載2〜3年目の主人公達のキャラが固まってなかった頃……「依頼を果たす為なら、多少は外道な事もやる」「呪い殺す相手より、依頼人の方がゲスな事など良く有る」そんなエピソードを描いてた頃のだ……。

 主人公達の師匠が自分の放った呪いを返されて殺される。どうしても断われない義理が有って、ゲスな地方政治家の依頼を受けたせいだ。

 どうやら、呪殺対象は、かなり強力な同業者に守られているらしい。

 主人公達が、普通に対処したら、師匠と同じ目に遭う。

 だから……呪殺対象を守ってる同業者を突き止め……主人公チームのジゴロ役が、そいつの娘を誘惑して……「形代」に変えた。

 形代(かたしろ)……それは雛祭りの起源と言われる古代の儀式だ。

 人形に自分が受けた「呪い」や「穢れ」を肩代りさせて川に流して捨てる……。その古代の「形代」と同じように、誰かに、自分に来た呪いや、返された「呪詛返し」の肩代わりをさせる。それが「形代の術」。

 主人公達は、正攻法では、どう足掻いても勝てないだけの実力差が有る同業者を、そいつの心を折る事で打ち破った。

 自分がやった「呪詛返し」のせいで、自分の娘が死ぬという状況を作り出して……。

 我ながら、よく、こんな胸糞な話を考えたもんだ。そして、このエピソードの評判が余りに悪かったせいで……それ以降は依頼人はゲスでも呪殺対象はもっとゲス野郎にしたし、主人公は「依頼を果たす為なら、どんな手でも使う極悪人と紙一重」の奴らじゃなくて、「浅はかな善意や御花畑な理想主義は嘲笑するが、それでも読者に反感を買うような真似はしない」ような奴らへと変っていき……。

 その時、スマホの通知音。

 メッセンジャーに編集者の松田からの連絡が入っていた。

『すいません。次のエピソードの「家出少女支援エセ・フェミ団体」ですけど、連載再開するにしても、取材が不可能になりました』

『え? どういう事?』

『あの、ニュース見てないんですか? 取材相手の伊切アカリさんが大変な事になってるんですが』

『えっと、念の為、記録とかが残った方がいいと思うんで、詳細をメールで送って』

『わかりました。それと、例の家出少女支援のエセ・フェミ団体への批判が、何故か、SNS上で急速に減ってまして』

『どういう事?』

『多分、このネタ、旬を過ぎちゃってるんだと思います。次のエピソードですが「DV冤罪、実子連れ去り嫁」なんてのは、どうでしょうか? 国会で議論されてる離婚後共同親権って有りますよね、あの件で「実はDVの被害届の9割は嘘。背後にDV冤罪で金を儲けるビジネス・モデルを確立した奴らが居る」って国会で暴露した議員が居るので』

『あ、考えとくよ』

『ええ、家出少女支援で公金チュ〜チュ〜って、ちょっとロジックに無理が有りましたけど、冤罪のDVによる離婚で慰謝料と子供の養育費を夫から奪うビジネス・モデルって方がロジックは判り易いし、同じエセ・フェミ団体なんで、プロットなんかは使い回せると思うので』

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