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呪詛返死  作者: HasumiChouji
第3章:半グレ系デリヘル業者
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(1)

『では、これから公金チュ〜チュ〜してるエセ・フェミ団体を現行犯で私人逮捕してきまあ〜す♪』

 PCのモニターの中では、人気漫画「羅刹狩り」の登場人物である諂曲(てんごく)炎槌(ほのづち)のコスプレをした男が、カメラに向かって、そうしゃべっていた。

 有村光宙(みつひろ)警部補が良く知っている場所だ。

 西武新宿駅沿いの通りから、いわゆる「トーヨコ」に抜ける路地。

『え……何?』

 だが、その時、コスプレ男の顔が……ポカ〜ンとした表情、そして、段々と顔色が青冷め……。

『お……おい、何者だ、お前……』

 泣いているようにも、怒り狂ってるようにも思える表情で模擬刀を……。

 居合の有段者でもある有村からすれば「なっちゃいない」抜き方だ。

『あ……あの……えっと……そのゆきさん……何してんですか? ま……待って下さいよ……』

『うるせえ、お前ら……邪魔だ……うわあああ……』

 これまた有村からすれば「なっちゃいない」感じで模擬刀を振り降した途端。

『と……止めろ……止めろ……カメラ……止めろ……。あ……』

 元になった漫画の元になったキャラの技を食ったように……そのコスプレ男の体が炎に包まれ……。

「何だ……こりゃ?」

 トリックにしては生々し過ぎる。そして、カメラその他のスタッフや同行者達の混乱の様子も……簡単に言えば「下手」だからこそ、逆に本物臭い。

 歌や絵なんかで喩えるなら、本当は上手な奴が、わざと下手っぽく歌ったり描いたりしてるというより、ただただ、本当に下手な歌、下手な絵みたいな感じだ。

 ホラー映画なんかで俳優がやってる「観客が『ああ、こいつは本当に怖がってるな』と錯覚するような怖がり方」ではなく、ただただ、演技だとしたら余りに下手過ぎるので、逆に演技には思えない怖がり方だった。

「あのさ……有村さん」

 背後から課長の声。

「何すか?」

「年度変ったら、部署も異動(うつ)ってもらうんで、今の内に、もっと普通っぽい背広やワイシャツや靴を用意しといて。あと、眼鏡も、今のじゃなくて、もっとヤボったいのに変えてもらえるとありがたいかな?」

 階級や役職は上でも、有村より年下なので、一応は敬語。

 だが、嫌味ったらしい「慇懃無礼」という言葉の代表例として辞書に載せたくなるような感じの口調の敬語だ。

「えっ? どう言う事ですか?」

「何かさ……ここ1〜2ヶ月で……やたらと不審死や行旅死亡人が増えててさ、どこも人手が足りなくなってんのよ。冗談抜きで、書類作るだけで仕事がパンクしてる部署(とこ)も有るみたいなんで……」

「いや……ですけど……」

「そう言われても、僕も、他ん部署(とこ)の部長や課長から人員(ひと)回してくれって、頭下げられてんでさ、頼むよ」

 頼むよとは言ってるが、答は聞かねえつもりだろ。

 有村は頭に浮かんだ一言を口に出すのをグッと我慢した。

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