↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わった令嬢は元姦悪皇子の枢機卿に恋をする  作者: 腓(こむら)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/57

30・生まれ変わった令嬢、真実を知る(5)

 突如、バンッとけたたましい音が鳴り響き、自分を呼ぶ声にフィーネは我に返る。

 どうやら一階の入り口が開いたようで、覗きこんだハルモニがため息を漏らした。


「──遅ぇんだよ、クソジジイ!」

「余裕綽々で任せておけと大口を叩いておいて、この様か。いつまでフィーネに触れている気だ、クソガキ」

「柔らかくて良い匂いがします」

「殺すぞ」


 広間側に背を向けているため、フィーネからは下の様子が見えない。

 彼が来てくれた。しかし、その声は今世で聞いたものとは違う。

 フィーネが戸惑っている間も、上と下で二人のやりとりは続く。


「はいはい、お返ししますよ。──落とすなよ?」

「誰に向かって言っている」

「そういう訳ですので、ご容赦下さいフィーネ様」

「え──きゃあ!」


 ハルモニが二階ホールから一階へ、フィーネを落とした。突然の事に目を瞑って衝撃に備えたが、誰かに受け止められる。

 ふわりと包まれるモクレンの香りに目を開ければ、そこに居たのは前世の姿で仮面を被ったフェローだった。


「……フェロー?」

「そうだよ、お姫様。遅くなってすまない」

「どうして若返っているの?」

「義父君からもう一つ奇跡を授けてもらったんだ。君だって恋をするなら若い方がいいだろう?」

「どちらも大好きだわ、貴方だもの」


 首に腕を回し、胸に耳を押し付ける。とくとく、と鼓動が聞こえた。

 フィーネを包む匂いや感触、体温が、フェローが生きている事を教えてくれる。


 安堵で、ホロリと涙がこぼれた。

 頬を伝い落ちる前に、フェローが唇で受け止めてくれる。


「おいこらイチャつくなジジイ。まだ終わってねぇぞ」


 いつの間にかハルモニが隣にいた。どうやらフィーネを投げた後に自分も飛び降りたらしい。

 上着を脱ぎ、片腕だけで器用に布を巻いて止血している。手慣れた手つきを眺めているとフェローに怒られてしまった。


「フィーネ」

「ごめんなさい。私のせいで怪我をしたから……」

「君のせいじゃない。彼がマヌケだからだ」

「~~ッ癪ですが、その通りです。あまり気になさらないで下さい」

「……ありがとう」


 こんな口を叩いているが、フィーネのエスコートを頼むくらいには信頼しているのだろう。きっとハルモニも。

 前世は一人だったフェローにそういう相手が出来て少し寂しい気もするが、それ以上に嬉しい。フィーネだけでは、フェローのこんな一面を見ることは出来なかっただろうから。

 うっとり眺めていると、二階で呆然としていた皇太子達が慌てて駆け下りてきた。


「ッとんだ女だな! 使えないと分かった途端、別の男に乗り換えたか!」

「どこの誰かは知らんが、その女を渡してもらおうか。貴族なら俺の顔くらい見たことがあるだろう?」


 皇太子はまだ剣を握っている。でもこうしていればフェローが斬られることはない。

 必死で彼にしがみつけば、力強い腕で抱き返された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。