無口は楽
「いやー、それにしても、ピックが無事で良かった。」
「そうね、貴方。それにしても、無茶なことしたらダメよ、ピック。」
「はい。」
「そうね。ピックは頑張りすぎるから。姉である私も心配だ。」
「まぁまぁ、みんな、ピックも反省していることだし。もういいじゃないか。」
「ピックお兄ちゃん?本当に大丈夫?」
「うん。」
転生してから3日が経過した。
今はピックが目覚めたのを祝っている。
料理は、100%豆でできた豆パンに豆オンリーの豆スープと全ての料理に豆が使われている。
このデブキャラは意外にも豆が大好物なのである。それも何も味付けしていない豆が好きなのである。ポテチ感覚で低カロリー高タンパク質の豆をバリボリいつも食べている。
他の食材はあまり好きではない。特に肉と魚。
それにこの子こんなに大きいのにまだ8歳である。すでに身長は145cmくらいもある。少し小さい中学生ぐらいの身長である。
これらを知ったのはピックの記憶を思い出したわけではない。
あれから、思い出そうとしたけど、結局、ピックの記憶が蘇る事はなかった。
だが、一つ思い出すことがあった。
この身体の持ち主の名前はピック。家名はカロリールという。ピック・カロリール。これがこの身体のフルネームである。
この名前には、前世で聞いたことがあった。
ダイエットで、ストレスが溜まっている時、友達が気分転換にあるゲームを紹介してくれたのである。
ゲーム名:フリーダム、である。
その名の通り、様々な選択肢があり、自由度の高さが有名な魔法学園恋愛ゲーム。自由度とやり込み度が高すぎてクソゲーと呼ばれる事もある。賛否両論が激しく分かれるゲームであった。
ピックはそのチュートリアルで初めて出てくる悪役貴族である。出番はほぼチュートリアルで終了。
ただし、どのルートに行こうが、必ず死んでしまうキャラである。
その理由はまた説明するとして、キャラとしては無口である。
無口でどうやって悪役を努めたのか。それは専属メイドによる通訳であった。
ただ、全然本人の言いたい事を如何にも悪役っぽく言う悪役メイドであったが、そのせいで、このメイドは容姿は良いのに、ゲーマーからは嫌われて人気ランキングが下位という結果になっていた。
このゲームをやり込んだ訳ではないが、このピック・カロリールに対してはゲームキャラ、唯一のデブキャラだった為親近感が湧き、人気投票でもこのキャラに投票した。
友達に勧められた設定集なども一通り借りて読んだ。
これには、ピックの様なサブキャラがメインで書かれた制作会社おオススメの本があった。
これにより、第二回人気ランキングでは、圏外だったサブキャラがいきなり上位に食い込んだりした。
ピックもこの内の一人である。理由としては………
「ピック、お前が頑張っているのは知っているが、無理なダイエットは禁止だ。ダイエットは良いが、これからは内容を誰かに言ってからやりなさい。おまえは賢いがまだ子供だ。危険な事も知らずにやってしまう事もあるだろう。今回もおまえでなければたぶん死んでいた。これからはもっと周りの使用人にも頼って行いなさい。死ぬようなダイエットは禁止だ。分かったな。」
「分かりました。」
これである。ピックの父が注意したようにこのデブキャラはダイエットを頑張っていたのである。
それも、一歩間違えたら死ぬ様な大変危険なダイエットをしていた。
「それにしても、まさか、動物の冬眠から睡眠ダイエットを考えて新品の睡眠薬を全部飲んでしまうなんて流石の父も驚いて職場をうっかり半壊させてしまった。」
「まぁ、お父さんも意外とうっかりものね。」
この家、結構物騒だな。半壊をうっかりで終わらしてハハハと笑いあっている。
それはともかく、この通りである。今回の俺の記憶が蘇った原因は睡眠薬のバカ食いである。本当にピックは賢いのか?
常人では、睡眠じゃなくて永眠になっていた。
この家系は、全員が超人の武人という武闘派の貴族なのである。このデブキャラも漏れずに超人であるが、色々の欠点で悪い意味で例外だと、国では広まっている。
とにかく、こんな風にダイエットと病む原因が判明した為、色々な同情と共感により票を大きく伸ばしたのである。
主人公に絡む理由も主人公の「俺、いくら食べても太らないんだよね。」という発言にイラッとしたことが理由である。
それにしても、
「ピック、これ食べる?」
「うん。」
「ピック、それおいしいか?」
「うん。」
豆って意外に美味いな。身体が変わったから味覚が変わり前世ではあまり好きではなかったものが好きになっている。
それはしても無口、楽やわ〜。




