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新たなる挑戦の始まり

「なんじゃ!こりゃー!!」


 どうして、俺がこんな叫んで狂気乱舞しているのか?


 それは起きてみれば、見知らぬ天井、見知らぬ豪華なベットから目覚ましたからではない。


 それだけなら俺は混乱はしても叫ぶ事はなかった。だが、今まさに叫ばなければいけない出来事が俺に()()()()()のだ。


「なんだ!この脂肪は!!!!!」


 そう俺の身体には、()()()()手で鷲掴めるほどの美味しそうな脂肪があるではないか。


「どうして?なんで!WHY!?」


 誰かのドッキリかと思い、引きちぎろうにも、鈍く鋭い痛みが横っ腹に広がるだけである。あぁ…この痛みも懐かしい…。


「本物だ、この痛み、そして何よりこの身体全体に広がる重だるい。この感覚はまさに昔から感じていたあの感覚っ!でも、どうしてだ?俺はダイエットに成功したはずだ。」


 そうこうしていると、この部屋からの騒ぎお聞きつけたのか、外から足音が聞こえる。そして、ドアの前にに来たのかノックが聞こえる。


(どうしよう?これは返事をした方がいいのか?それとも、黙りを決め込んでやり過ごすか?)


 俺は悩んでいた。

 もしこれが、誘拐(多分ない)の場合、返事をして相手が入ってきたとしてどうしたらいいのかが分からない。黙ってやり過ごし、より現状を確認した方が絶対に良い。


 そもそもノックしてきている時点でおかしい。この状況の場合誘拐だろうが、ドッキリだろうが、大体の場合、こっちの確認を取らずに開ける。

 ここから考えるにこれは……


「失礼します。ピック様、目が覚めたのですか?」


 考えている間に、ドアが開いた。若い女性の声だ。

 そして、この部屋の主はピックと言う名前のようだ。この身体みたいにブタみたいな名前である。


「?起きていませんね?……部屋も荒らされてませんし。…おかしいですね?」


 おそるおそる入ってきた相手は規則正しい寝顔と安らかな寝顔を確認した後、部屋に侵入者や荒らされた形跡がないかと、隈なく確認して、静かに部屋から退出していった。


「はぁーっ。バレずにするだ。(小声)」


 そう、俺が取った行動は寝たふりである。

 俺の声が聞こえていた時は絶対にバレるが、聞こえていない時は意外とバレないものである。一か八かだったが、相手に音だけ聞こえていて良かった。結構な大声だったのだが、この部屋の防音はしっかりしているようだ。

 そして、これで確定である。

 寝ている俺の顔見ても、何も思わなかった相手の反応からして、俺は、相手が言うピックと言う人になっているのだろう。


(これが俗に言う転生か、まさか自分が味わう事になるとはな。しかもこれである。)


 俺は寝ながら自分の身体中に付いてある脂肪を、忌々しく掴みながら思った。


(はぁ…、また、誰かが入ってきたら面倒なので、声には出さないようにしよう。それはそうと、これからどうしようか?取り敢えず、ピックという人の記憶がないか、思い出すのは先決として、これからの行動も考えないとな。)


 俺はこの状況にまだ混乱や拒否反応は示しているが、概ね受け入れていく方向で進めていた。


(絶対的にダイエットはしないといけないな。身長的に多分子供、顔を見ていないから確定ではないが、小さい大人でもない限り多分ない。)


 自分の手や家具などのからおおよその身長を割り出してはいた。推定140cm前後である。大人にしては小さいし、下半身から男性である事も分かった。


 これまでのことから分かるのはお金持ちの男の子(肥満)に転生した事である。


 なんで、金持ちか?って、裕福ではない家庭で様付けの女性がいる事があり得ない上に、目につく品がどれも高価である。

 前までは高価かどうかなどさっぱり分からなかったが、この身体の元々のスペックが良いのだろう。一発で分かる上に、どれくらいの価値かも何となく思い浮かぶ。

 高級メロン何個分みたいな感じに。


 (どうしてこんな事に何ってしまったんだろう…俺はやっとの思いで目標を達成できたというのに……)

 


 時は遡り、前世


「よっっっしゃーーー!!!!!」


 近所迷惑もお構いなしで歓喜の雄叫びをあげている男性がいる。


「ついに、ついに、目標の75kgを達成できたぞ!!!」


 下の家族の事もお構いなしに狂気乱舞の踊りで喜びを表している男性。だがこの時ばかりは、家族も怒ることもなく、静かに見守っていた。


 なぜなら、この男性、悪月(にくづき)(ふとし)27歳。7年間の辛いダイエットから終わることができたのである。

 家族もこの人の努力を見てきたため、今日は静かにしているのである。


「あぁ、身体が軽く感じる…」


 測る前から体重は変わらないのだから。そんな訳はないのだが、人は気持ちである。長年の重りから解放されたと、体重を測る事により実感したのである。


「ここからだ。ここからやっと、俺の新しい人生はスタートするんだ。」


 太はリバウンドを恐れて長く苦しいダイエットを選択していた。一年で15kg減量のダイエットである。少しずつ運動量を増やし、少しずつ食べる量を変えていった。

 周りからの野次も気にせず、少しずつ、少しずつ体重を減らしていった。


 そのおかげで、生活習慣も改善され、正に健康な人生を歩むことが出来ている。


「さてと、もう寝るか。夜更かしは肌にも悪いし。」


 健康に気をつけているうちに、ついでに美容にも、気をつけるようになっていた。


「明日からは新しい人生が待っているんだ。」



 ところ戻って現在


「いや、本当に新しい他人生(人生)になっちゃったよ!」


 思わず声に出してツッコんでしまい、また、誰かに気づかれてしまったが、なんとかバレずに済んだ。

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