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 宿屋の店主である男がいた。

 男は鋭い目つきで冷をみる。

 ただの客だろうと思ったのだ。

 それにまだ若い冒険者が女の子を3人も一緒にいるので不審に思ったのだ。


「いらっしゃい。泊まりかい兄ちゃん?」


「はい。部屋は空いてますか?」


「ああ、二つ空いてるさ」


「じゃあ部屋を二つ頼む」


「ずいぶんと気前がいいなぁ。金は持ってるでしょうな。宿代は先払いしてもらうがいいかい、なにせ初めて来た客だからよ」


「先払いですね、金は持ってます」


 冷は提示された金額を差し出した。

 すると男は金を受け取ると、部屋を案内した。


「なにか怪しまれてるような」


「こんなに女の子を連れていたら怪しい」


「ピルトでは普通に泊まれたけどな」


(ピルトとは違い感じる)


「ピルトでは冷だと知られてるこらよ」


「そうでしよう」


「部屋があれば構わない!」


「リリスはお構いなしだな」


 部屋はベッドがあり寝泊まりするには十分な広さを持っていた。

 旅の疲れもある為、それぞれに部屋を割り当て休むことに。


「部屋は2部屋ある」


「そうなると4人いるからどうしますか」


「まぁ普通に言って冷だけ隔離」


「うん」


「待て、俺だけ仲間外れみたいたろだろ」


「だって危ないし」


「みんな同意見」


「リリス! 俺と一緒の部屋だぞ!」


(アリエルとミーコが嫌がるならあとはリリスに)


「なんで!!」


「それはいいかも」


「アリエル! お前なあ〜!」


「決定だな」


 冷はリリスと同部屋に。

 アリエルとミーコが同部屋とした。


「それじゃあ、みんなゆっくりと休んでくれ。明日にはウル森に出発の予定とする」


「はい、もう疲れたから寝ます」


「私も寝ます」


「冷氏も寝てください。リリスも疲れですから」


「なぜそんな目で俺を見る?」


「今までの経験から」


「俺はそんな風に思われてるなかい」


「正解」


 ミーコは真っ先に部屋に入ってしまう。

 あとに続いてリリスとアリエルも部屋に入った。

 コットルに着いてひと安心したから疲れも出たようで、冷はそっとしておく。


(ウル森に行くので今日はゆっくりと休んでもらおう。明日は忙しくなりそうだ)


 冷も最後に部屋に入った。

 アリエルは部屋に入ったあとに、体を流したくなる。

 汗をかいていたからだ。

 各部屋にはシャワーが備えられており、衣服を脱いでお湯を浴びる。


「お風呂があるみたいよ」


「シャワーを浴びようかな」


「そうね、疲れもあるし」


「まぁ冷氏が居ませんから安心」


「じゃあ一緒に入ろうか」

 

「ねぇ、入ってもいい?」


 アリエルのあとに続いてミーコが来る。


「ええ、どうぞ」


 ミーコは入ってきてシャワーを浴びる。

 2人揃って旅の疲れを取るように。

 アリエルは体を洗いながらもミーコの体に視線がいった。

 

「ミーコの胸、大きいわね。昔から大きいの?」


「はい。歳とともに大きくなっていって、気がついたらここまで大きくなった。まだ大きくなってるかも」


「えっ!! これより大きくなってどうする気。服がなくなるわよ」


「確かに私は背が低いから子供用の服になっちゃうのだけど、そうなると胸が苦しくて困ってる。胸で合わせると今度はブカブカの服になるから。大きいのも困り物です。アリエルさんのがちょうどいい」


 アリエルの胸をチラ見して言った。

 アリエルのはミーコと比べて対照的に小さいので、興味心があるのだ。

 

「ち、ちょうどいいって! め、女神には大きい胸は必要ないのよ。普通ならいいの」


 比べられると弱い。

 あえて女神だからとしておいた。

 体を洗いごまかしたのだった。


「私の少し触ってみて……」


 唐突にミーコは胸をアリエルに近づけて触ってと言った。

 なぜかわからないが、ミーコの行動にビクッと反応する。


「な、なに! 触ってて!」


「どんな感触か」


「……ちょっとだけ触ってみます。これは女神として知っておくべきと思ったからだからね……むむ、柔らかい……」


 アリエルは嫌としながらも触った。

 柔らかい感触にびっくりした。


「アリエルのも触ってあげよう」


「私のはいいから別に……やめなさいって! アハハ、くすぐったい!」


 アリエルは体を触られて、変に感じてしまい笑ってしまった。

 そしてミーコと泡だらけのまま、抱き合って笑い合う。


「アハハ、アリエルを触ると楽しい」


「楽しまないで! 危ない!」


「きゃあ〜!」


 泡だらけではしゃいだ。

 その結果、足を泡で滑らせてしまい、2人ともすってんころりと床に重なり合う。

 幸いにも怪我はなかった。

 だが体を重なり合う状態である為に、お互いに意識して直ぐに離れた。


「アリエルは冷のことどう思ってる? ほら体を好きにされたわけでしょう。好きとかそういうの」


「あっ、それはす、す、好きとかあり得ないわけよ私の場合。一応女神ですし神族ですし。たかが人族に好きとかない。わかるかな」


 アリエルはそこは否定する。

 さすがに好きとかは言えない。

 

「私の場合は助けられた経験があるから、どちらかと言えば救世主的な感じ。本当は私が勝ちたいのだけど」


 ミーコはというと、盗賊なので今でも冷から大金を盗み出してやろうとしていた。

 しかしスキがない。

 未だに失敗している。


「はぁ、勝ちたいてのは無理でしょう。アイツは半端ない強くなってるから。連れてきた時よりもかなり強くなった。どこまで強くなるかわからないけど、魔人を倒せるレベルまできたのは私の目があったてことだわね。さすがに私は見る目がある」


「じゃあ、魔人に勝てるかわからないでも、連れてきたってわけですか。それは見る目があるよりも、ギャンブルの目があるって感じします」


「まぁ……今回も冷ならば何だかんだいって解決してくれるだろうと思ってる」


「ウル森は立ち入り禁止区域です。やはりマズイ結果になります。きっと王都の国王も激怒するはず。私達も逃げて暮らすようになるかも」


「……さぁ私は女神です。女神を牢屋に入れるなんてさせません!!」


「なんか女神をめっちゃ都合よく使いますね」


 何か妙な雰囲気が生まれた後に、寝ることになった。

 隣の部屋の冷はベッドにいた。

 噂されてるとも知らずに。

 リリスがシャワーを浴びていた。

 音が無くなると、タオルを巻いている状態で現れた。

 

「ああ、気持ち良かった、もう寝るのか」


「寝ることにするよ。リリスは疲れただろ。早く寝なよ」


「珍しいな。お前が早く寝なとは。ウル森のことが関係してるのか」


「そりゃ気にはなるさ。国に逆らうのはいい気はしない。俺の独断でリリスらも迷惑がかかるぜ」


(日本には警察があったから、逆らうことはなかった)


「迷惑だなんて思ってない。それはお前の決めつけだ。私たちはお前だけを犯罪者にはしない。犯罪者になるなら一緒になるてことだ。アリエルとミーコも同じ気持ちだろう」


「そうかい、その言葉を聞いて安心した。ちょっと気にしてたんだ。だけど君たちがそう言ってくれるなら俺もやりやすい。明日はウル森に行く。そして草を持ち帰れるようにする」


(俺が気にしてたのはリリス達を巻き込むこと。でも彼女達は覚悟しているようだ)


「上手くいくといいな。魔物は当然に出現するだろう」


 森というと魔物は付きものである。

 危険もあるのはリリスも知っていた。


「もちろん出現すると思う。ただ俺の教え通りにすればいい。俺の教えを信じてくれ」


「わかったよ、これまでも乗り越えてこれた。なぜかお前は災難に巻き込まれるなぁ。なぜなんだ?」


「知らんよ。俺がききたいくらいだ。たまには暇になりたいよな。ずっとクエストだからな。これが終わったら休暇としようか」


(俺は武術家ニートだったから、暇はもう必要ないのだけど)


「休みたい! 少しは私達を休ませないとダメだろう。体は女の子なのだ。お前のような規格外な体とは違うのだぞ」


「魔族にも男の子、女の子の区別があるの」


「あるさ、もちろん。女の子は女の子だ。いたわるのが常識だろう」


「わかったよ、ちゃんと考えておきます」


(確かに女の子であるが、魔族に言われるとピンとこないが)


「あっ、今、私の胸を見ていただろ?」


「見てません」


(思っいきり見ていました)


「やはり私の体が目当て……」


「今日はゆっくりと休めていいよ。俺もそうする」


「ほうお、珍しいことを言うよな」


「俺はいつもこうだよ」 


「本当かな」


「なぜです?」


「私が寝た後に体を触ったりする可能性がある」


「しない!」


「わからない。過去にも水着を着させられた」


「……うう」


(確かにあった)


「どうした、図星かい」


「あれは、その……」


「私と離れて寝ろ。絶対に近づくなよ。近づくと騒ぐぞ」


「わかったよ」


(まいっな、今日は本当に触らないのに。俺って信用ないな)


 その日はゆっくりと休む冷達であった。

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