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 アリエルは本来であれば女神であるスキル[浄化]を持っていた。

 現在は残念な女神とお粗末な結果に成り果て、[浄化]は使用不可となっていた。

 よって賢者の杖で必死に応戦しかなかった。

 最初の見合いでは女神だと理解したサーベルスケルトンは、後ずさりした。


「そうだよ女神だよ私は」


 最も相性が悪い相手だと本能的に察知した。

 アンデッド系の魔物には[浄化]は天敵である。

 火と水の関係のように反する属性が原因だった。

 アリエルがなぜか[浄化]を発しないので、後ずさりから前進に変わったのだった。


「あれ、攻めてくるの?」


 相手のスケルトンは落ちぶれた女神に簡単には倒されはしなかった。

 賢者の杖を振り回すも、逃げる方が多かった。

 リリスはアリエルと逆である。

 アンデッド系の魔物は魔族の一種。

 それゆえにサーベルスケルトンは淫魔リリスをみて従うことも考えた。


「当然の結果だお前ら。逆らうのは死に急ぐだけだぞ


 しかしよく観察すると魔力は少なく、淫魔のカケラもない。

 よって従うのは自発的にやめて戦いを選んだ。

 

「死を急いだかバカが」


 リリスこそバカであった。

 サーベルスケルトンはもうすでに死んでいる魔物であったから。

 結局は魔剣を使い切れず大苦戦となる。

 最後はミーコであるが実は意外にも目は輝いていた。

 どうしてかは重要な理由がある。

 ミーコは盗賊であるからして、金目の物にはうるさい。

 全ての物は金に変換して考えるクセがある程であった。

 相手の大群を見た時に普通ならサーベルを恐れる。

 ミーコは違った。

 サーベルを良く見るとかなりの額で売れそうな剣だと判断した。

 

「これは売れそうだ。全部売ったらめっちゃ金になる!」


 スケルトンを倒すよりも先にサーベルを集めたい欲求が上回る。

 サーベルスケルトンの腕を狙い掴むとサーベルだけを目標にした。


「あれれ、サーベルが取れないなあ〜」


 ミーコはサーベルを奪いに行ったのまではいいが、相手が悪かった。

 サーベルがスケルトンの手から離れない。

 離れない理由はあったが、ミーコは見逃していたのだ。

 スケルトンはアンデッド魔物の一種。

 死体から魔物になった変則的な形態をとる。

 死体は時間が経つと固くなる性質がある。

 死後硬直が起きていたのをミーコは知らなかった。

 手から剣が離れないのは死後硬直のせいであった。

 剣が取れないとなれば、スケルトンは攻撃開始した。

 ミーコは作戦失敗し、得意の[逃げ足]でスケルトンから逃げまくった。


「う〜〜ん。こりゃあ形勢不利だな」


 スケルトンの数は増していき、ざっと見た目が50匹を超えていた。

 どう見ても戦況は圧倒的に負けと思える。

 ここでいつもの冷ならナギナタでスケルトンを一掃してしまうところだが、今日は違った。


((私を使えば全滅できるだろう。使いなよ))


 ナギナタからの声が冷に届いた。


(使いたいところなんだが、他にやりたいことがあってさ。今日はバアちゃんはお休みだな)


((ふん、好きにするがいいさ))


 バアちゃんは、ふてくされてしまった。

 他にやりたいことがあると言ったのは本当であり、意地悪ではない。

 習得した魔法スキルを試したいのがあった。

 スキル庫にはオークから奪った魔法使いスキルがある。

 [フレイムバーン]である。

 宿屋の近くで試したい時は、あえなく失敗。

 そして魔法の使い方を得た今は実行出来るはずであろう。

 通常は順番があって、もっとレベルを上げた際に覚える魔法スキルであろう。

 スキルストレージで強引に奪ったので順番は関係ない。

 

(要は難しい話は置いといて、使ってみりゃわかるってな)


 単純に[フレイムバーン]を放ってみることにした。

 うかうかしてると他の3人がスケルトンにアンデッドにされる可能性があるし、急いで放ってみる。

 

「お〜〜〜い、冷〜〜〜助けて〜〜〜」


 現に窮地に陥っているので、一刻を争うのだ。


「[フレイムバーン]よ出ろ!!」


 手を前に出して魔力を込める。

 オークがしていたのを記憶していて、真似してみた。

 手からは赤い炎の塊、サッカーボールくらいの大きさ、が放たれた。

 ボールはサーベルスケルトンの群れに向かい飛び、1匹に命中した。

 

(当たったぞ!!)


 命中したスケルトンは全身が燃え上がり真っ黒焦げで地に伏せた。

 

「おお、今のは魔法、それも火の属性魔法だ。お前やるな」


 リリスは突然に魔法が炸裂して驚いた。

 だがまだ敵は大群の群れ。

 1匹倒して喜んでいる場合ではない。

 続け様に[フレイムバーン]を放つ。

 火の玉がスケルトンに炸裂し次々と倒れていった。

 

(よし、これは使えるな〜)


 遠距離攻撃はナギナタでは無理だったので、接近戦以外も戦えるのが大きい。

 肝心の玉の威力は一撃で倒せるがもっと強い魔物になると、そこまで強い威力はないように感じた。

 あくまでも遠距離からの有効打。

 ナギナタでの打撃には相当見劣りするのは否めない。

 50匹いた群れは15匹は減った。


(魔力は使い切れないくらいあるから問題はないだろう)


 推測通りで冷の魔力は底を尽きない。

 単純に使い過ぎであろう。

 どれだけ非常識かは知られていない。

 

「魔法は使いすぎでは」


「ミーコよ、残りはナギナタでやるぞ」


 魔力量が底を尽くしたのは、意味がある。

 どれだけ自分に魔力量が有るのかが知りたいからだ。

 しかし今の冷の魔力量は少し使った程度でははかりきれない量に達していた。

 魔法スキルの使い方をマスターしたのでナギナタを振りかざして、サーベルスケルトンに立ち向かう。

 冷は倒さないように加減をしてて、弱ったところをアリエルらに倒させる戦法をとった。

 その方がレベル上げに繋がるからで、冷は軽いフットワークで残りの35匹を弱らせておいた。

 しばらくして、森はサーベルスケルトンの墓場と化していた。

 殲滅させたので素材を袋詰めにする作業に取り掛かった。


「お〜〜いリリス、袋詰め終わったかい?」


「もう私は持てないぞ。アリエルは」


「私の袋もいっぱいよ」


「よ〜し、それじゃ町に帰るかな〜」


「ちょっと待って〜〜〜」


 帰る合図をさえぎったのはミーコ。

 帰ろうとしないので不思議に思う。


「どうしたよ。帰るぞ〜〜〜〜って、そりゃ何よミーコ!!! 持ち過ぎよ」


「アリエル、待っておくれ〜〜〜。サーベルが重くてさ〜〜」


 袋詰めというよりも完全に袋からサーベルがはみ出していた。

 せっかくサーベルがあるのを、みすみす置いて帰るのは忍びなかった。

 もったいないのである。


「サーベルなんて置いてけよ〜」


「嫌だ〜〜〜持って帰るの〜〜。だって金を置いてくのと同じだろ〜〜」


「もういい、アリエル、リリス、先に帰るぞ〜」


「あっ、待って〜〜〜」

 

 金に欲張りなミーコはクエストでも一緒であった。



柳生 冷


性別 男

種族 人族

ユニークスキル スキルストレージ 

職業 無職狂戦士バーサーカー

レベル3501←400アップ


体力  14709←700アップ

攻撃力 14709←700アップ

防御力 14709←700アップ

魔力  14709←700アップ

精神力 14709←700アップ

素早さ 14709←700アップ


剣術レベル 1489←150アップ

柔術レベル 1489←150アップ

槍術レベル 1489←150アップ

弓術レベル 1489←150アップ

斧術レベル 1489←150アップ


ガイコツの息を覚えました。

水の壁を覚えました。


 今回はオーク程はさすがに数値は上がらない。

 それでも普通の冒険者からしたら一生分が一度に上がったといえる。

 そして何よりの収穫は魔法スキルのフレイムバーンが使えたということであろう。


(火属性の魔法スキルか。使ってみると楽しいかもな)


 冷にとっては魔法スキルも武術と同じく使う楽しみを感じていた。

 

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