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 訓練を終えてひと汗かいた後には冒険者ギルドに向かう。

 ネイルだけは、お留守番となってて宿屋で帰りを待つことに。

 ネイルは無事に帰りを待つのであった。


「あら冷さん、今日もクエストの依頼がありますよ」


「依頼の前に魔法使いについて聞きたいのです」


「魔法使いに興味があるのですね。養成所に通う必要があるのがネックですが、専属の教師がいて1年通えば習得できると思います」


「いえ、昨日魔法使いの講習を卒業してきました。2日で卒業でした」


「はあ??? 2日で卒業!!!!!! それはない、それはないです。どんな優秀な冒険者、例えば中級や上級にまでなる才能があっても最低半年は絶対にかかるのです。からかうのはやめて欲しいわ」


 ユズハ店員は、からかわれたと思ってキリッとした態度を作った。


「本当です。養成所にも通ってイリサ先生から卒業を認めてもらいましたから」


「イリサ先生から!! だ………だったら本当のようですが……。たった2日で魔法使いの職業ですか。もはや冷さんといると基準がわからなくなっていきそうです。魔法使いの件でしたかね、まずはクエストを引き受けるのをお勧めします。魔法使いレベル1ですとまだ使える魔法がないと思いますが、経験値を積んでレベルが上がれば魔法を覚えるのです。魔法は攻撃型から防御、回復とあり人によって覚える順番や種類も個人差があり、成長して初めてわかるのです」


「これからも俺は魔法使いではなく無職狂戦士のままでいきます。それとクエストを紹介して欲しい」


 魔力が使えればいいので、狂戦士でいく決意をいうと、


「ええええ!!! せっかく無職から魔法使いになれるのに! 冷さんには本当に驚きますよ。それではクエストの件でしたか、ランク4はどうでしょう。冷さんだけならランクはずっと高く設定で来ますが、お仲間がいますので低めがいいかと」


「そうだな、ランク4でお願いいたします」



クエストランク4

サーベルスケルトンの討伐

報酬 1匹 2000マリ



「サーベルスケルトンは手に剣を持ったガイコツの魔物です。剣の腕はかなりのもので冒険者が数多く斬られており、危険な相手となりますので、防御力が必要です」


「剣の使い手か。こいつは戦いがいの有りそうな相手だな」


 ユズハに出現する詳しい場所を聞き、出発となった。


「スケルトンが今回のお相手らしいぜ」


「スケルトンて言えばガイコツです。はっきり言って好きじゃありません。私は女神ですからアンデッドは天敵と言えます」


「アンデッドは天敵と来たか。確かに相性ってのは存在するからな。アリエルは無理はするな」


「そうするわ」


 アリエルと会話している最中。

 特に注意不足ではないが、気を抜いていたときであった。

 町を歩いていると冷は強烈な魔力に遭遇したのだ。


(なんだ、この感じは! もの凄くヤバイ感じだぞ!!)


 周りには人が多くいていったいどこから発せられたのかは断定できない。

 辺りを見回してキョロキョロとしてしまった。


「お前さあ、さっきから落ち着きないぞ」


「リリス、キミこそ何か感じないかい?」


「えっと〜、何にも」


「アリエルとミーコはどう?」


「何にも感じません」


 3人にはわからなかったが冷は感じ取っていた。

 ほんの僅かな魔力を。

 限界まで研ぎ澄ませた察知能力が働いたのだった。

 

(俺にだけ感じるようだな)


 冷の近くにいたのは中級魔人サイクロプス。

 美味い肉が食いたくてピルトの町にやって来ていたところであった。

 サイクロプスは人族の姿に変えていたのであり、魔力を最低レベルまで下げ、誰にも気付かれないでいた。

 見つかっても構わないが、王都騎士団がやって来て面倒になるため、変装した。

 部下であるヘスティと一緒であった。


「サイクロプス様、肉は良い肉でした、腹いっぱいです」


「うむ、ゴフがダメになり、代わりにわざわざ来たかいがあったな。また来るのもいいだろう」


「オークがゴフの町を破壊したからですが、ピルトの町もなかなかいい町ですな、女もいいのを揃えた奴隷商館もあるそうですぜ」


「奴隷商館か、寄ってみるとしよう。ただし油断は禁物だ。なにせオークを殺した人族の野郎がいる」


「まだこのピルトに滞在してるかもですな。いったい何者なんでしょう、噂では少年であったと聞いてます」


「王都の騎士団ではなさそうだ。連中なら顔と名前はわかっている。となると冒険者と限定されるが、それ程の実力者が無名であったとは変だな。念のため魔力は出すな」


「はい、限界まで抑えてあります。オーク様は中級魔人扱いされて浮かれていたのですよ。サイクロプス様や忠告を無視した罰でしょう」


「そもそもオークが中級扱いされたことに異論があった。あやつ程度なら下級でもいいだろう。それを中級に昇格されて調子に乗った結果が死だったわけだ。上級魔人の方はその人族を即刻殺せと。だが俺はその人族とヤル気はない。バトルマニアじゃないからな。余計な戦いは避けたいのが俺の性格だ」


「知っておりますサイクロプス様。ひっそりと楽しんでいきましょう」


 中級魔人サイクロプスと配下のヘスティは目立たぬようにしていたが、そこへ冷達が偶然にも近くに来たのだった。

 サイクロプスは即座に冷がごく普通の人族ではないと見破った。

 見かけは人族だが、恐ろしく研ぎ澄まされた筋肉をもつ肉体美。

 不気味な量の魔力。

 特別な存在で生まれた人族だと一瞬で見抜いた。

 1000万人、いや1億人、いや10億人にひとりの存在だと。

 サイクロプスは鋭かった。

 隣のヘスティは冷の存在には全く気付いていなったのだから。

 冷もまた全能力を最低限度まで下げていたからである。

 そのサイクロプスでさえも間違いはある。

 冷を10億人にひとりの特別な存在だとしたことであった。

 冷と魔人サイクロプスは目が合った。

 お互いに存在感を残して何もなく去っていった。


「異変があったようには思えませんが?」


「ああ、そうだな、俺の錯覚だったよミーコ。さあサーベルスケルトンを倒しに行くぞ!」


 異様な雰囲気の件は忘れることにした。

 大事なのはクエストの方であるから、意識を変えて魔物へと向けた。

 出現ポイントまでは、至って平和に進めた。

 サーベルスケルトンは暗闇を好き好んで生息している。

 深い森の奥にまで行くと不気味な空気に包まれた。

 生きてる感じよりも死を感じさせる空気。

 ひんやりと冷たさが肌に当たると、よりいっそう怖さが増した。

 

「ここは寒気がするわ。アレが出そうで気味悪いし」


「アリエルは怖いのは苦手か?」


「早く帰りたい気分よ。それよりあれはスケルトンかしら、ガイコツみたいなのが立ってるけど、気持ち悪」


「サーベルスケルトンよ。私は怖くないからさ。お前らとは違ってな」


「向こうがリリスを怖がってもいいくらいよ」


「うるさいヘタレ女神、アリエルこそ死んでアンデッド化したらどう。女神のアンデッド面白いかもな」


「なによ! 女神の力で浄化してやるわ」


「おいおい、今の女神では無理だろう。ミーコも含めてアンデッドにならない様に戦うんだぞ!」


 サーベルスケルトンは名前の通りに剣を持ち向かって来た。

 冷はとっさに[邪眼]をしようして、確認すると。



[サーベルスケルトン]

種族 アンデッド

スキル ガイコツの息 水の壁


[ガイコツの息]

吐いた息を吸うと相手はその場で気絶する。


[水の壁]

水属性の魔法。


「お〜い、コイツの息は吸うと気絶させられるぞ〜」


「わかったわ〜。近づかないようにする!」


 [邪眼]で確認してみんなに伝えた。

 冷はナギナタの用意をして持つと声が聞こえた。


((相手はアンデッドじゃぞ冷よ。間違っても殺さるでない))


(その声はご先祖様か。俺なら心配は要らないさ)


((存分にその偉大なる力を試すがよいぞ))


(わかったよバアちゃん)


((だからバアちゃんはやめろ〜〜〜))

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