4. 結論:タイトル回収という名の皮肉
部屋に沈黙が落ちる。
炭酸の抜けたコーラのような、気の抜けた空気が漂う。
僕は負けたのか?
いや、教授は死んだ。目的は達成した。
だが、僕は「論理ゲーム」において、教授に勝ったつもりでいた。「選べなかった」彼を嘲笑っていた。
しかし実際は、彼は「選んだ」のだ。僕の意図(両方毒という反則)を読み違えたとはいえ、彼は彼自身の論理の中で、完璧な正解を導き出して、満足して死んでいった。
僕の詐欺を見抜けなかった愚か者?
いや、詐欺師に対して「そこまで卑怯なことはしないだろう」という、奇妙な信頼を寄せた聖人?
どちらにせよ、後味は最悪だ。
完全犯罪の美学は、たった今、泥水のような解釈によって汚された。
「……で、警察に通報するのかい?」
僕は乾いた声で尋ねた。
「いいえ」
ロジちゃんは、つまらなそうに首を振った。
「警察は『自殺』で処理を終えています。今さら私が『実は叔父さんは、安っぽいなぞなぞを解いて毒を飲んだんです』なんて説明しても、誰も信じませんよ。それに」
彼女はニッと笑った。
その笑顔は、死んだ教授にそっくりだった。
「先輩が生涯、この『誤解された勝利』の苦味を噛み締めながら生きていくほうが、叔父さんへの供養になりそうですから」
彼女はくるりと背を向け、ドアへと向かう。
その背中に、僕は思わず声をかけた。
「おい、待てよ。じゃあ、この結末は……この中途半端なエンディングは、一体なんなんだ」
彼女はドアノブに手をかけたまま、振り返らずに言った。
「叔父さんの言葉を借りましょうか」
彼女は肩をすくめ、軽やかに、そして残酷に、この物語を締めくくるタイトルを口にした。
「『――だから、これでいい』」




