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第142話 地震対策の世界展開 その2 2022.1

【世界の変革】

地震多発地域の地下に次々とダンジョンが設置され、世界の都市は地震に強いインフラを手に入れた。


リリィ:「これで、多くの命が救われるはずです。」


マモル:「地震があっても、都市が崩壊しない世界になる。まさに夢の技術だな。」


アンサ:「国連の歴史に残る偉業となったな。」


こうして、リリィたちの技術は地球全体を守るものとなり、世界は新たな時代へと突入していくのだった。


【予期せぬ影響】


コモン「報告があります。南米のダンジョンの一部で、地質変動の兆候が観測されています。」


ジャック「地質変動? もしかして、プレートの動きに影響を与えているのか?」


リリィ「そんな……。私たちの技術が地球のバランスに影響を及ぼしている?」


ガルド「ダンジョンの空洞がプレートの動きを変化させている可能性があるな。特に、南米と太平洋プレートの境界付近で異常が観測されている。」


アンサ「すぐに国連の科学者たちと協力して調査しよう。この技術が逆に新たな災害を引き起こしてはならない。」


世界各地の科学者がダンジョン設置後の地質データを分析し、衝撃の事実が判明した。


コモン「報告します。ダンジョンの地下空間が広がることで、プレートの動きが局所的に変化し、いくつかの地域で火山活動が活発化する兆候があります。」


マモル「つまり、地震は抑えられても、火山噴火のリスクが高まるということか……。」


ジャック「今後の計画を調整する必要があるな。すべての地域にダンジョンを設置するのではなく、プレートの動きを慎重に考慮しながら配置しなければならない。」


リリィ「私たちの技術は万能ではないのね……。でも、だからこそ、より慎重に運用すべきよね。」


アンサ「国連の専門家と協力し、新たなガイドラインを策定しよう。ダンジョン設置の効果を最大限に活かしつつ、環境への影響を最小限に抑える方策を考えるんだ。」


【マモルの新発案】


マモル:「待ってくれ。俺、ひとつ思いついたんだけど。」


リリィ:「何かしら?」


マモル:「今までは都市の地下にダンジョンを作ることで、地震の揺れを吸収していた。でも、そもそも地震のエネルギーをプレートに蓄えさせないようにできたら、根本的な解決になるんじゃないか?」


ジャック:「どういうことだ?」


マモル:「プレートとプレートの間に両方のプレートにダンジョンを付けて、プレート同士が擦れないように緩衝材として設置すれば、地震のエネルギーが溜まるのを防げるかもしれない。まるで潤滑油を入れたピストンのように滑らかにプレートが動くようにするんだよ。」


コモン「確かに、それが実現できれば、地震自体を起こりにくくすることができるかもしれない。」


ガルド「でも、そんな場所にダンジョンを設置することは可能なのか?」


ジャック「試してみる価値はある。まずはプレート境界の中でも影響が少なそうな場所で実験をしよう。」


【試験的導入と問題発生】

リリィたちは、試験的にプレート境界にダンジョンを設置する計画を立てた。選ばれたのは、インドネシアとフィリピンの間に位置するスンダ海溝。


ジャック「ここは頻繁に地震が発生する地域で、海溝に沿ったプレートの動きが活発だ。もし成功すれば、環太平洋地域全体に応用できる。」


マモル「さあ、やってみよう。」


しかし、設置作業中に問題が発生。


コモン「ダンジョンの一部が異常な圧力を受けている。エネルギーの拡散がうまくいっていない可能性がある。」


リリィ「このままでは、逆に地震を誘発するリスクがあるわ!」


ジャック「設置場所の見直しが必要だな。地質データを再解析して、最適な配置を探そう。」


数週間後——


コモン:「データが届いた!最適なプレートの間隔を調整したことで、地震発生頻度が減少し、エネルギーの拡散が正常に機能している。」


リリィ:「本当にうまくいったのね!」


アンサ:「素晴らしい!この技術が確立されれば、世界の地震対策が根本から変わるぞ。」


【市民の反応と新たな可能性】


日本国内では、都市の地下ダンジョン設置について賛否が分かれていた。


市民「地下を掘ることで、本当に安全なの?逆に地盤沈下とか起きない?」


科学者「新しい技術は常にリスクがある。しかし、過去のデータを見る限り、ダンジョンは都市の耐震性を飛躍的に向上させている。」


一方で、ダンジョンの新たな可能性に期待を寄せる人々も現れ始めた。


都市計画者「地下空間が確保できるのなら、新たな都市開発が可能になるかもしれない。たとえば、地下に避難所や物流拠点を作ることで、災害時の対応能力を向上させられるのでは?」


技術者「ダンジョン内は外部の影響を受けにくい。温度・湿度管理がしやすいから、植物工場や地下都市の建設にも応用できるはずだ。」


政府「これらの意見を踏まえ、ダンジョンの活用可能性を研究する委員会を設置する。」


こうして、市民の間でダンジョン技術の可能性が広がり、新たな都市計画が動き出した。


【政府と科学者の対応策】


市民の不安を受け、日本政府は具体的な安全対策を発表した。


宮下官房長官:「ダンジョン設置後も定期的に地質データをモニタリングし、安全性を確認する体制を整える。また、地盤沈下などの影響を最小限に抑えるため、新たな補強技術を開発する。」


国立地震研究所:「ダンジョンの影響をリアルタイムで観測し、異常があれば即座に対処できるようにするため、AIを活用した監視システムを導入する。」


市民:「安全対策がしっかりしているなら安心ね。」


この発表により、市民の不安は徐々に和らぎ、ダンジョン技術の受け入れが進んでいった。


【スンダ海溝試験導入の危機】


スンダ海溝でのプレートダンジョン設置が進む中、予期せぬ問題が発生した。


コモン「異常な圧力が発生している!このままだとプレートに歪みが溜まり、余計に大地震が起こるリスクがある!」


リリィ「そんな……!どうすれば?」


ジャック「設置場所の見直しが必要だ。一部のダンジョンを解体して、プレートのバランスを調整しなければならない。」


しかし、ダンジョンの解体は新たな地殻変動を引き起こす可能性があるため、慎重な作業が求められた。


コモン「もし解体が必要なら、ゆっくりと時間をかけて負荷を分散させる方法を取ろう。AIゴーレムを使えば、段階的に調整できるはずだ。」


数週間にわたる調整の結果——


コモン:「エネルギーの拡散が正常化した!プレートの動きが安定している!」


リリィ:「本当にうまくいったのね!」


ジャック「これで、プレートダンジョンの設置方法が確立された。今後は、この技術をより安全に展開できるようになる。」


【国際的な議論と調整】


プレートダンジョンが成功を収める一方で、国際社会から懸念の声が上がった。


ヨーロッパ代表:「ある国の地震は減ったが、別の国で地震が増えているかもしれない。この技術が本当に地球全体にとって有益なのか、慎重に検討する必要がある。」


南米代表「私たちの国では、逆に火山活動が活発化している地域もある。ダンジョンの影響で新たな災害が発生していないか、詳しく分析するべきだ。」


アンサ「国連は新たな調査機関を立ち上げ、世界各国と連携しながらダンジョンの影響を監視していく。」


リリィ「この技術はまだ発展途上。世界全体にとって最良の形を模索しながら、慎重に進めていきましょう。」


こうして、プレートダンジョンの国際的な調整が本格的に始まり、技術のさらなる発展と最適化が求められる時代へと突入したのだった。


【市民の反応の広がりと新たな議論】

環境保護団体「グリーンアース」代表:「プレートダンジョンの設置によって、自然のエネルギーバランスを無理に変えるのは危険です!人類が地球の力をコントロールしようとすれば、新たな災害を引き起こしかねません!」


市民:「確かに、科学技術の進歩は大事だけど、地球環境を破壊してしまったら元も子もないよな……。」


政府:「科学者や技術者と連携し、環境への影響を継続的にモニタリングすることで、安全性を確保します。」


【建築業界の新たなビジネスチャンス】


一方で、新たな産業の可能性を見出す企業も現れた。


大手建設会社社長:「地下1000mに広大な空間があるなら、それを有効活用しない手はない。防災シェルター、物流ハブ、新たな居住区の建設……可能性は無限大だ!」


都市計画者「地上に頼らず、地下を活用した都市設計ができるなら、人口増加による住宅不足の解決にもつながる。」


リリィ「確かに、災害時の避難施設としても活用できるし、エネルギー管理を工夫すれば自給自足の地下都市も夢ではないわね。」


アンサ「ダンジョン技術をどのように活用するかは、私たち次第だな。」


こうして、ダンジョン技術の社会的な受容は一筋縄ではいかないものの、新たな可能性が広がりつつあった。

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