第141話 定例会議 2021年10月
【ニューヨーク拠点・リビングルーム】
朝の光が差し込むニューヨーク拠点のリビングルーム。テーブルの上には、温かい紅茶と焼きたてのパン。くつろいでいたリリィたちの前で、ジャックが静かにタブレットを操作しながら口を開いた。
ジャック「さて、10月の定例会議を始めようか。」
リリィ「今月も盛りだくさんだったわね。地震対策の世界展開、そして新ダンジョンコアの完成と実用化……。そろそろ次の段階を見据えていかないと。」
マモル「宇宙エレベーター建設も順調だけど、その分、闇将軍の動きが気になりますよね。」
ジャック「巨大隕石群の接近も引き続き観測中だ。アトラス改良版の観測網では、とくに変化はないようだ。」
コモン「できるだけ、遠くで破壊するために迎撃用レーザー衛星の建造を確実にする必要がある。」
リリィ「資材搬入は宇宙エレベーターの第2プラットフォームが完成次第、建造できる予定よ。」
マーガレット「でも、地上の対策も進めないとニャ~。マッドゴーレム達のテイム強化とか、雨雲ダンジョンの拡張とか……やることはいっぱいニャ。」
ガルド「ウッドゴーレムの研究はどうなってる?」
ジャック「グネルが引き続きテイム制御の安定化を研究中だ。富士樹海の実験フィールドでは、マッドゴーレムとの連携がうまくいきつつある。」
マモル「あと、グネルさんが日本から持ち帰ったDNAシーケンサーで、魔素のらせん構造と地球の遺伝子との相関分析も進んでいるそうですよ。」
リリィ「彼女、ずっと研究所にこもってるらしいわね……。」
【世界情勢の報告】
コモン「次に、各国の地震対策プロジェクトの進捗報告だ。」
・インドネシア:ジャカルタ、スラバヤ、バンドンの地下に新ダンジョンコア10基設置完了。小規模地震により実地検証済み。 ・チリ:サンティアゴ、バルパライソの2都市に設置済み。アンデス山脈沿いの活断層下にも地下ダンジョンが展開中。 ・メキシコ:メキシコシティの地下700mにてダンジョン空洞が完成。今月中に1000mまで拡張予定。 ・トルコ:イスタンブール地下に設置されたダンジョンコアが活断層に沿って展開中。効果測定が急がれる。
コモン「いずれの国も順調だが、資源採掘に関する国連との取り分について交渉が始まりつつある。」
リリィ「地震対策と資源開発のバランス……。どこまで公共の利益として扱うかは慎重にしないといけないわね。」
ジャック「次の国はどこにする?」
リリィ「ミャンマー、アフガニスタン、ネパール……地政学的に不安定な場所は多いけど、その分、支援が必要な場所でもあるわ。」
マモル「政治AIアドバイザーの導入国も、そろそろ調整が必要かもしれません。」
ジャック「そうだな。AIアドバイザーの展開先と、災害対策の展開国の優先度を調整して、次の会議で発表しよう。」
リリィ「了解。それまでに各国のデータをまとめておいて。」
【閉会前のまとめ】
リリィ「では、まとめるわね。」
・巨大隕石群は現在14個。宇宙エレベーターとレーザー衛星の整備を継続。 ・地震対策ダンジョンはアジア・南米・中東へ拡大中。 ・ウッドゴーレムの制御安定化と新ダンジョンコアの応用研究を進行。 ・グネルはDNA×魔素のらせん研究に注力中。 ・AIアドバイザーの新規導入先について、次回検討。
リリィ「今月もお疲れさまでした。次は、年末に向けた取りまとめになるわね。気を抜かずに、頑張っていきましょう。」
全員「了解!」
マーガレット「じゃあ、今夜はお祭りニャ?」とウキウキしながら言ったが——
リリィ「お預けよ。今日は追加作業があるわ。」
マーガレット「ニャあああああ~~!」
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