表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/151

第121話 フィリピン タイフーン対策 その4 2020.10

【フィリピン・スービック港拠点】


ジャック「リーダー、タイフーンの上陸は防げているが、もうひとつ問題がある。フィリピン国内では、豪雨で土砂崩れが発生しているようだ。」


リリィ「それは、雨が多い国だからなの?」


ジャック「確かに長期間の豪雨が山地の土壌を緩め、土砂崩れの原因になっている。しかし、他にも原因がある。地震が頻繁に発生して地盤が緩んでいることや、活火山の噴火による火山灰や泥流が土砂崩れを引き起こしている。」


リリィ「地理的な原因が多いのね。」


ジャック「さらに、農業拡大や違法伐採によって森林が減少し、樹木の根が失われたことで、雨が降ると土砂が流れやすくなっているらしい。鉱山採掘で地盤が不安定になり、崩れやすくなっている。さらに、山岳地域では適切な排水システムがないため、大雨で地盤が崩れやすくなっているらしい。」


リリィ「それは、人為的要因ね。この国は過酷な自然環境に対応できていないのね。」


ジャック「政治が悪いともいえるな。」


リリィ「大統領と相談しましょう。」


【フィリピン・大統領官邸】


 リリィたちは転移魔法を使い、フィリピンの首都マニラにある大統領官邸に降り立った。


大統領「リリィさん、こんにちは。タイフーン対策がうまくいって本当によかったです。お礼申し上げます。」


リリィ「はい、ありがとうございます。さて、大統領、ちょっとご相談があります。」


大統領「相談ですか。リリィさん達の依頼であれば、可能な限り対応します。」


リリィ「この国では、長期間の豪雨が山地の土壌を緩め、火山灰や泥流が原因で土砂崩れがよく起こっていると聞きました。」


大統領「はい、そのとおりです。我々も多額の費用をかけて全力で対策していますが、なかなか防ぐことができないのが現状です。」


リリィ「私たちは、山肌を硬く固めて土砂崩れを防ぐ技術を持っています。私たちの力をぜひお役立てください。」


大統領「それは、ありがたいお申し出です。ありがとうございます。しかし、資金面でもう余裕がないのです。」


リリィ「ああ、お金の心配は無用です。無償でやりましょう。どこで土砂崩れのおそれがあるのか、現地を案内して下されば、私たちがそこの地面や山肌を固めます。」


大統領「それは、本当ですか?助かります!」


【土砂崩れ対策の実施】


 こうして、土砂崩れ対策として、大統領直属の防災チームが10組編成された。メンバーは、政府スタッフ1人、土木畑の軍人1人、そしてAIゴーレム1体という構成である。


 対策の流れはこうだ。

①政府スタッフが地形データをもとに作った土砂崩れの危険箇所に案内する。

②AIゴーレムが魔法陣を展開し、土ゴーレムと岩ゴーレムを召喚。ゴーレムたちが山肌の内部まで浸透しながら地盤を強化。

③地元の住民への対応は、政府スタッフと軍人が行う。


 なお、AIゴーレムたちはリリィたちがVRゴーグルで遠隔操作し、手分けして管理している。


 土ゴーレムと岩ゴーレムが次々と召喚され、岩ゴーレムは大木の幹のように自らの体を伸ばし、先端をドリルのように山に突き刺す。さらに枝分かれし、根を張るように山体に食い込んでいった。土ゴーレムは周囲の土を固め、凝灰岩を形成し、山肌を岩へと変えていく。


 2週間ほどで、フィリピン国内の土砂崩れの危険箇所3000カ所以上が強化された。


政府スタッフ「土ゴーレムと岩ゴーレムたちがぶわわぁぁと出て、あっという間に崩れかかった山肌をセメントもコンクリートも使わずに岩のように固めていくんです。驚きです。」


土木畑の軍人「地元の人が何事かと見に来ますが、あまりの現実離れした光景に放心していますよ。私も仕組みは理解できませんが、土砂崩れ対策が進んでいるのは確かです。」


リリィ「やり残した場所はありませんか?遠慮せずに言ってください。」


政府スタッフ「実は、鉱山開発が進む地域で地滑りのリスクが高い場所があるのですが、作業員が多く、中に入るのが難しいのです。」


リリィ「そうなんですか。わかりました。夜間にこっそりやってしまいましょう。」


政府スタッフ「ええっ、夜間にこっそり?」


【ダバオ・デ・オロ州の鉱山】


 その夜——。


リリィ「マーガレット、鉱山の従業員全員を眠らせて!」


マーガレット「わかったニャ~」


 両手を広げて、お花畑魔法を展開。鉱山全体を覆う魔法陣が光を放ち、周囲の者たちを静かに眠らせていく。


 リリィたちは急いで鉱山内に侵入。


リリィ「クロシャ、鉱山構内に人がいたら、眠らせて。」


クロシャ「了解!」


リリィ「ジャック、土ゴーレムと岩ゴーレムを最大数で展開して。」


 1000体を超える土ゴーレムと岩ゴーレムが鉱山内部に侵入し、脆い地盤を瞬く間に強化していく。


リリィ「コモン、新規掘削エリアに小型ゴーレムを配置して。今後、地盤崩壊の兆候があれば自動で補強するように。ダンジョンコアを鉱山全体に広げてしばらくの間監視して。」


コモン「了解!」


【翌日・大統領官邸】


大統領「リリィさん、こんにちは。土砂崩れ対策をしていただき、お礼申し上げます。」


リリィ「はい、応援ありがとうございました。国内の土砂崩れ危険箇所はほぼ対策済みです。」


大統領「本当にありがとうございました。感謝の気持ちを込めて、祝賀会を開きたいと思います。」


リリィ「祝賀会ですか?ありがとうございます。お言葉に甘えます。」


マーガレット「ニャー!またお祭りだニャ~!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ