表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/151

第116話 新素材開発  その1     2021.2

勇者ギルド星への転移

リリィ、ジャック、ガルド、マーガレット、コモンの五人は、勇者ギルド星に転移した。リリィ達パーティの所属する勇者ギルドの事務所へと向かった。事務所の中に入ると、カウンターに立つ受付嬢が明るい声で迎えてくれた。


受付嬢:

「リリィさん、ようこそお戻りくださいました!地球でのクエストは順調ですか?」


リリィは軽く笑みを浮かべて応じる。

「ただいま戻りました。至急、ギルド長に報告したいことが出来たの。」


受付嬢は真剣な顔になり、すぐに手続きを進めた。

「かしこまりました。ギルド長は現在、執務室にいらっしゃいます。すぐにご案内しますね。」


勇者ギルドの執務室に通されると、ギルド長が5人を出迎えてくれた。応接セットに皆が座る。

「リリィさん、お疲れ様、報告とは何かな?」


リリィが冷静な口調で報告を始める。

「ギルド長、今回、地球の拠点の一つに、闇将軍なるものが襲ってきました。もう少しで全滅するところでした。恐ろしい相手でした。」


ギルド長

「闇将軍、知っている。おれが会ったのは数百年は前のことだが、そうか、奴が地球にいるのか。あいつは、勇者ギルドの精鋭パーティをいくつも全滅させている強敵だ。」


リリィ

「闇将軍は、私たちの魔素を全て吸い取るという技を持っていました。手も足も出ずに、苦しめられました。」


ギルド長

「よく助かったものだ。」


リリィ

「幸い、地球人の仲間に助けられました。魔素を吸われても影響なかったのです。」


ギルド長

「そうか、それは運がよかったな。」

リリィ

「やつの正体は分かりますか。」


ギルド長

「あいつは、強さを求め、自分の体を改造していく、弱点を常に無くしながら強くなっいくのだ。以前のあいつは、クモのような多足の姿だった。」


リリィ

「今は、甲殻類のような固い甲殻のある体をしていました。昆虫系であることは間違いありません。殺虫剤を吸って苦しんでいました。」


ギルド長

「そうか、昆虫系の姿か。しかし、次も同じ弱点があるとは考えない方が良い。やつは、自らの体を強化して、リベンジしてくるぞ。」


リリィ

「そうですか、もっと強くなって襲ってくるんですね。何かアドバイスはありますか。」


ギルド長

「殺虫剤がまた効くとは、考えない方が良い。魔法による攻撃はダメだ。物理攻撃で、ゴーレムではなく、機械のロボットによる攻撃は有効かもしれない。それから、柔らかいネバネバしたものにも苦手意識があるらしい。」


リリィ

「機械ロボットによる物理攻撃とネバネバ攻撃ですね。準備します。アドバイスありがとうございます。」


それから、いくつか進捗報告をして、勇者ギルド星の拠点に戻った。


・・・・・・


ここは、グネルの研究所。

最近、ホムンクルスの培養神器のボードがよく話しかけてくる。

「グネル、お前が作ろうとしているものは、どんなものだ。」ボードが問いかける。


「宇宙エレベーターのワイヤーにする新素材で、張力がこの素材よりも強いものだ。」とグネルがナノチューブを指さす。


「ワシの溶液に入れてみろ。解析してみる」とボードが促す。


「ああ」とグネルが、ホムンクルスの培養神器の中に、カーボンナノチューブの粉を入れる。


「ああ、なるほど、炭素素材の、こういう構造の物か。」とボードがいう。


「培養したことがあるのか」とグネルが問う。


「無いが、もっと強いものなら培養したことがある。はるかに昔だが。」と簡単に言う。


「えーと、確か、何とかという、ワームの内臓にシリコンとミスリルを加えたものだったな。」とグネルが言う。


「それは、いまもどこかにあるのか?」とグネルが尋ねる。


「今もあるか分からんが、はるかに昔だ。」とボードが答える。


ホー博士

「ホムンクルスの培養神器が見つかったところに行ってみれば、何か分かるかもしれないな。」


「ホムンクルスの培養神器が見つかったところなんて、分かるのか」とグネルが聞く。


ホー博士

「博物館の探査局に記録が残っているかもしれない」

グネル

「よし、すぐに行こう。」


グネル、ホー博士、コンの3人は、博物館の探査局に急いだ。


・・・・・


博物館の受付でホー博士が尋ねる

「こんにちは、博物館の探査局に行きたいのだが。」

受付嬢

「ホー博士、探査局は初めててしたか。ご案内します。こちらへ」


グネル、ホー博士、コンの3人は、博物館の受付嬢に連れられて、探査局に案内された。

受付嬢

「ユリン局長、お忙しいところすみませんが、失礼します。」


ユリン局長

「なんだい。」と狐の尻尾のある真っ白い髪の可愛い女の子が振り向く。


「狐の尻尾だ。可愛い。」とホー博士が呟く。


ユリン局長

「おろ、私を口説いているのか?」とフサフサの狐の尻尾を振る。


ホー博士

「こほん、失礼した。私はホーと申します。少し教えてほしいことがあります。」


ユリン局長

「なんだ、私の尻尾のことか?」


ホー博士

「こほん、その件はいずれということで、別件です。この博物館にあったホムンクルスの培養神器を今、お借りしているのですが。」


ユリン局長

「なんだ、あのおしゃべりの容器が何かしたか。」


ホー博士

「その容器、名前はボードというらしいのですが、ボードが発見された場所について、教えてほしいのです。つまり、座標です。」


ユリン局長

「そのボードいう名は、私が付けてやったんだ。いいだろ。」


ホー博士

「はい、よい名前と思います。ユリン局長は、名付け親でしたか。それで発見場所は分かりますか。」


ユリン局長が魔道具の玉に手を置いて、言う。

「少し待っていろ」


ユリン局長

「座標は、ここだが、今は存在しない宇宙だな。」


ホー博士

「存在しない宇宙とは?」


ユリン局長

「破裂してしまった宇宙のことさ。宇宙の終焉だ。」


ホー博士

「宇宙が破裂した?宇宙の終焉?」


ユリン局長

「なんだ、そんなことも知らんのか。勉強不足だね。」


ホー博士

「す、すみません。そのとおりです。お教え願いたい。」


ユリン局長

「破裂してしまっては、座標があっても、そこには何もない。空間も時間も存在しない。虚無空間の座標ということさ。行くことはできん。」


ホー博士

「そうなのですね。残念です。」


ユリン局長

「そうか。気の毒にの。でも、ホムンクルスの培養神器が見つかった辺りの瓦礫なら、別の宇宙に保存されておるぞ。この宇宙のボイド空間にある。」

(ボイド空間は宇宙空間の中で、ほとんど物質が存在しない広大な領域)


グネル

「本当ですか。素晴らしい!」


ユリン局長

「座標はこれだ。」と言って、メモを渡された。


ホー博士

「ユリン局長、ありがとうございました。また、今度、お礼に来ます。」


「なんだ、もう行くのか。またな。ホーさん。」ユリン局長が可愛い笑顔で手を振っている。


・・・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ