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第113話 闇将軍の総攻撃熱海防衛戦 その2 2020.10

闇将軍との最終決戦 熱海防衛戦


「くそっ、休む暇もねえな!」


ガルドが唸る中、瓦礫が弾け飛び、その向こうから黒く光る巨大な甲殻がゆっくりと動き出した。


「なんて、なんて、気持ちの悪い生き物なの……おぞましい!!」


リリィが顔をしかめる。甲殻はまるで金属のように硬質で、そこに無数の棘のような突起が生えていた。その表面は禍々しく黒光りし、異様なオーラを放っている。


その中心に立つのは、闇将軍。巨大な甲殻を纏い、忌々しいほどに誇り高く佇んでいた。


「……何をいっている。ワシのことか? このたくましい甲殻を言っているのか?」


その声には確かな自負があった。


「お前ら軟体のブニブニの体とは違うのだぞ!」


「そんなことはどうでもいい!」


リリィが剣を構え、力強く叫ぶ。


「私たちの拠点をボロボロにした罪を償いなさい! みんな、攻撃よ!」


仲間たちが一斉に魔法攻撃を放つ。火球、氷の槍、雷撃、そして魔法の刃が次々と闇将軍を包み込む。しかし――


「そんな攻撃は、痛くもかゆくもないぞ。ふはははは!」


闇将軍は不敵に笑い、微動だにしなかった。


「これでもくらえ!」


突如、マモルがテーザー銃を構え、針を闇将軍の甲殻に打ち込む。


「グググ……!」


闇将軍の体が一瞬痙攣する。


「えっ、効いてるの?」


リリィが驚く。まさか、電撃が通用するのか?


しかし、闇将軍はバシンと大きな音を立て、針を引き抜いた。


「そんなものがワレに効くわけがなかろう!!」


「でも、さっきグググッって言ったわよね?」


リリィが鋭く指摘すると、闇将軍は少しだけ目を逸らしながら答えた。


「甲殻の隙間に挟まって、くすぐったかっただけだ……それがどうした!」


「甲殻の隙間?」


リリィの目が輝いた。


「みんな! 甲殻の隙間を狙って物理攻撃よ!!」


「うるさい!!」


怒声を放つと、闇将軍は両腕を振り上げた。


「お前らは知らぬだろうが、ワシには別の名があってな。勇者キラー という。それは、多くの勇者パーティを滅ぼしてきた証だ!」


「勇者キラー? 多くの勇者パーティを滅ぼしてきたって? 嘘よ、聞いたこともない!」


「なら、その身をもって知れ!!」


闇将軍が両手を掲げ、背中から巨大な羽を広げる。その蛇腹の腹部が激しく振動し、衝撃波が放たれた。


「ぐあああああっっ!」


リリィたちは膝をつき、その場に崩れ落ちた。


「どうだ、魔素を吸われる気分は? お前たちにとって魔素は生命エネルギーだからな。苦しかろう、グハハハハ!」


闇将軍の笑い声が響く中、闇獣たちが次々と襲いかかる。


「闇獣ども、襲え! 殺せ! 噛み砕け! グハハハハ!」


リリィたちは身動きが取れず、闇獣が襲いかかる寸前だった。


しかし、次の瞬間――


ブシャアアアアアア!


「やめろーーーー!!」


マモルが両手でスプレーを吹きかける。


「ぎゃあああああっ!」


闇将軍が絶叫した。


「何だ、これは! 苦しい、苦しいぞ! やめろ!」


闇獣たちも苦しみ悶え、後退していく。


「お前はなんで動けるんだ!? 魔素を吸われているはずだろう!」


「ふん、知るか! これでもくらえ!」


マモルはさらにスプレーを吹きかけ、ビンの中の液体を闇将軍の口元に向かって放った。


「ぐああああ! 苦しい、息ができない! 目が開けられない……!」


「今よ! 全員、攻撃して!」


リリィが叫ぶ。


「転移、転移、転移……!」


ガルドが転移魔法を連発し、闇獣たちの体の一部を次々と削り取る。


「お花畑!」


マーガレットが闇獣たちをバラの蔦で絡め取り、地面に叩きつける。


「ゴーレム合体!」


ジャックがゴーレムを融合させ、巨大なゴーレムを作り出す。それが闇獣を次々と踏み潰していく。


闇獣たちが次々に消滅していく中、闇将軍は後退しながら叫んだ。


「ちくしょう、撤退だーーー!!」


闇獣たちを引き連れ、闇の中へと姿を消した。


熱海拠点 - 再建


「結界!! 結界!!」


リリィが素早く熱海の拠点を結界で包む。


「危なかったわ……あれが闇将軍の力なのね。魔素を吸収されたら、魔法攻撃がまったく使えないし、体も動かなかった。」


ジャックがマモルを見つめ、驚きを隠せない様子で言った。


「マモル、ありがとう。さっきの攻撃は何だったんだ?」


「これ? 殺虫剤だけど、こっちはゴキブリ専用、こっちはクモ専用のやつ。最後の液体は農薬だよ。」


リリィは納得したように頷く。


「なるほどね。あいつ、本当に昆虫系の生き物だったのね。」


コモンも首を傾げながら言った。


「でも、なんでマモルは動けたんだ?」


「それは、マモルの生命エネルギーが魔素を元にしていないからよ。」


ジャックも納得したように頷く。


「なるほど。この宇宙の生物は魔素とは無関係だからな。」


コモンがさらに問いかける。


「じゃあ、なんでAIゴーレムは動けたんだ? 魔素を吸われたのに。」


「AIゴーレムは、もともとAIロボットだからだ。電気で動いていたから、魔素の影響を受けなかったんだろう。」


マモルはほっと息をついた。


「みんなを救えてよかった……本当に死んだかと思ったよ。」


リリィは微笑みながら言った。


「そうね……マモル、助かったわ。ありがとう。」


仲間たちが次々とマモルに礼を言った。


「礼なんていいよ。僕もメンバーだからさ。」


ジャックは笑いながら言う。


「今度から、殺虫剤を大量に準備しないとな。いや、むしろ農薬の原液をぶっかけて、体を溶かしてやる!」


リリィは、敵の弱点を突き止めたことに満足げに頷いた。


「次はもっと万全の対策を整えましょう。」


闇将軍との戦いは終わった。しかし、新たな脅威が、すでに闇の中で動き出していた――。


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