第110話 地球全土の砂漠緑地化計画 その2 2020.10
国連総会の日 ニューヨーク・国連本部
〇国連実行メンバーの決定 地球全土の砂漠緑地化計画
1か月後 10月16日、ニューヨーク。
国連本部の巨大な会議ホールには、世界各国の代表が集まり、特別会議が開かれていた。
これは、「地球全土の砂漠緑地化計画」を本格的に始動させるため、実行メンバーを決定する最終会議だった。
壇上では、国連事務総長アンサが静かに立ち上がり、世界中の視線を集めた。
「本日、この場で『地球全土の砂漠緑地化計画』を遂行する国連の実行メンバーを正式に決定する。」
ホールのスクリーンには、世界の砂漠地域が映し出され、次々と緑地化計画の概要が表示される。
「このプロジェクトは、人類史上最大の環境・食糧対策となる。我々には、科学・経済・技術・魔法のすべてを駆使し、砂漠を肥沃な大地へと変える責任がある。」
アンサの言葉に、会場の空気が張り詰めた。
そして、その目は壇上の中央に立つ一人の女性に向けられた。
リリィ――異世界の冒険者であり、この計画の発案者。
〇実行メンバーの選出基準
リリィはマイクを手に取り、冷静に説明を始めた。
「まず、この計画を遂行する国連の実行チームは、以下の5つの分野で専門家を選出します。」
科学技術チーム(水資源管理・土壌改良・AI農業)
経済・財政チーム(資金管理・核融合炉の利益運用)
環境保護チーム(生態系維持・気象コントロール)
魔法技術チーム(転移魔法・結界・クリーン魔法)
外交・統制チーム(各国との調整・運営管理)
スクリーンに5つの分野のリストが表示され、会場の人々がそれぞれの役割を見つめた。
「この計画には、政治的な交渉力、最新技術、持続可能な財政管理、そして魔法の融合が不可欠です。」
「この中から、地球の未来を担う者たちを選出します。」
〇選出の瞬間
1. 科学技術チーム
アンサは科学技術分野の候補者をスクリーンに映し出した。
NASAの環境科学部長、マイケル・スチュワート
日本の農業技術開発者、橘 隆一
中国の気象制御研究者、ワン・フェイ
ドイツのAI農業ロボット開発者、カトリーナ・ミュラー
ブラジルの水資源管理専門家、ルーカス・オリヴェイラ
「科学技術の発展は、この計画の要だ。彼らが持つ知識と技術を統合し、最高の農業システムを構築する。」
代表たちが静かに頷いた。
2. 経済・財政チーム
次に、経済チームが発表された。
IMF(国際通貨基金)財政顧問、エリザベス・ローレンス
アフリカ開発銀行の経済戦略責任者、ムサ・バンコレ
アラブ首長国連邦のエネルギー投資家、サリム・アル・ファーレク
リリィのチームの財政担当、コモン
「この計画の資金は、核融合炉発電所の利益を100%投入する。 しかし、それだけではない。持続可能な財源を確保するため、砂漠緑地化後の農業経済を組み込み、世界市場と連携させる。」
3. 環境保護チーム
次に、環境チームが発表された。
WWF(世界自然保護基金)の理事、イザベル・マルケス
国際気候変動研究所所長、スティーブン・ヤング
インドの森林再生専門家、アニル・シャルマ
リリィ、マーガレット(未来予知の魔法を活用)
「砂漠の緑地化は単なる農業の発展ではない。持続可能な生態系の回復が求められる。そのため、彼らの知識と技術が不可欠だ。」
4. 魔法技術チーム
リリィ一行
「魔法は科学と融合し、新たな技術革新を生み出す。転移魔法で水を供給し、結界魔法で農作物を守り、クリーン魔法で設備を維持する。このチームが、その最前線を担う。」
5. 外交・統制チーム
最後に、外交チームの発表が行われた。
国連の外交官、ダニエル・ウィルソン
フランスの国際交渉専門家、ミシェル・デュラン
アフリカ連合の調整官、ナディア・ムサ
日本の国際貿易担当、吉田 翔
国連事務総長 アンサ
「このプロジェクトには、各国の協力と調整が不可欠 だ。資源、技術、政策の調整を担う彼らが、各国政府と協力して計画を実行する。」
〇新たな未来へ
アンサは、壇上から世界の代表たちを見渡しながら、力強く言った。
「このメンバーが、人類の未来を担う。」
「国連は本日をもって、『地球全土の砂漠緑地化計画』を正式に始動する。」
会場全体が大きな拍手に包まれた。
リリィは静かに微笑んだ。
「さあ、始めましょう。」
彼女の言葉とともに、人類史上最大の環境プロジェクトが正式に動き出した。