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第109話 地球全土の砂漠緑地化計画    2020.9

2020年9月

国連総会の日 ニューヨーク・国連本部


世界各国の代表、科学者、経済学者、環境活動家、技術者、彼らの視線は、一人の女性に向けられていた。


リリィの発表の順となった。(アンサ事務総長にお願いして順を確保した)


リリィは壇上に立ち、静かに口を開いた。

「地球上のすべての砂漠を緑地化し、食糧問題を根本から解決します。」


その言葉に、会場はざわめいた。まるで冗談のように聞こえたのだ。

「砂漠を緑地化?」

「そんなことが可能なのか?」

「コストは?技術は?実現性はあるのか?」


各国の代表たちはざわめきながら、リリィを疑いの眼差しで見つめた。


しかし、その場でただ一人、国連事務総長アンサだけは、じっとリリィの言葉を待っていた。


「皆さん、どうか落ち着いてください。」

アンサ事務総長の静かな声が響くと、会場は再び静まり返った。


「リリィ、詳しく聞かせてもらおう。どうやって、それを実現するつもりなのか?」


リリィのプレゼンテーション

壇上に設置された巨大なスクリーンに、現在の地球の砂漠地帯の衛星画像が映し出された。

サハラ、ゴビ、カラハリ、アタカマ、ルブアルハリ、そのどれもが、果てしなく広がる荒れ果てた大地だ。


「このままでは、人類は食糧不足と気候変動による環境破壊に直面し続けるでしょう。」

リリィは堂々と続ける。


「しかし、私たちはこの砂漠を肥沃な大地へと変えることができます。」


次に映し出されたのは、緑豊かなオアシスと農地に変わった砂漠のシミュレーション映像だった。


各国の代表たちは目を見開いた。


「水の確保と供給、土壌の改良、AI農業の導入、害虫・害獣対策、魔法と科学を融合させたこの技術なら、すべて実現可能です。」


第1段階水の確保とオアシスの設置

スクリーンには、砂漠にオアシスが点在するシミュレーション図が映し出された。


「すべての砂漠に100m四方ごとにオアシスを設置します。」


「オアシスの水は、海水淡水化施設で作った真水を転移魔法で供給し、安定した水源を確保します。」


「さらに、地下に巨大な貯水湖を建設し、洪水や川の増水時に余剰な水を転移魔法で蓄えるシステムを導入します。」


アンサが頷いた。

「なるほど。水の供給を安定させることで、持続可能な農地を作れるわけだ。」


第2段階砂漠を農地へ変える

「オアシスの間に農地を造成し、トウモロコシ、麦、米、芋を栽培します。」


スクリーンには、広大な砂漠が緑の大地に変わりつつある映像が映し出された。


「問題は、砂漠の砂は農地には適していないことところもあります。」


「そこで、農地に適していない砂漠は、科学技術を活用した土壌改良を行い、ナノ技術による保水力強化と、肥料製造プラントを導入します。」


アンサが興味深そうに聞く。

「その肥料はどこから供給するのか?」


「各国の農業廃棄物や食品ロスを回収し、転移魔法を使って砂漠の肥料製造プラントに供給します。」


「つまり、世界の食糧廃棄を減らしながら、砂漠を農地に変えることができるのです。」


会場の空気が変わった。今まで懐疑的だった代表たちも、リリィの言葉に引き込まれていた。


第3段階資金面の解決 ― 核融合炉の利益を投入

会場の一部では、「莫大な資金が必要だ」という声が上がっていた。


リリィは微笑みながら、次のスライドを映し出した。そこには 巨大な核融合炉発電所 の映像が映っていた。


「資金の問題についてですが、核融合炉発電所の利益を全額、このプロジェクトに投入します。」


「核融合炉は、ほぼ無尽蔵のエネルギーを生み出し、その電力を売ることで巨額の利益を生み出します。」


「これにより、プロジェクトの資金は無制限に供給可能 となります。」


アンサは静かに頷いた。

「つまり、砂漠を緑地化するコストは、エネルギー事業から生み出されるわけか、。」


「はい。核融合炉による利益は年々増大し、食糧危機が解決された後も、地球環境の回復、貧困対策、さらには宇宙開発にも活用できます。」


第4段階AIゴーレム農業の導入

「農業には膨大な労働力が必要です。しかし、すべての砂漠に人間を派遣するのは現実的ではありません。」


スクリーンには、AIゴーレムが農作業を行う映像が映し出された。


「AIゴーレムを導入し、自動農業を実現します。」


「AIゴーレムはVRゴーグルを通じて農業技術を学習し、最適な方法で作業を行います。」


「これにより、食糧生産が完全自動化され、人間の負担は最小限になります。」


ジャックが補足する。

「さらに、害虫や害獣の侵入を防ぐために、100m四方毎の農地全体を結界魔法で保護します。」


スクリーンには、害虫が侵入しようとすると結界に弾かれる映像が映し出された。


〇計画の締めくくり

リリィは壇上で、最後の一言を放った。


「この計画が成功すれば、世界の食糧危機は終わります。」


「これまで人類が諦めていた砂漠を、命あふれる農地に変え、未来の世代へ希望を残せるのです。」


「地球の環境も改善され、気候変動の影響を軽減することができます。」


会場は静まり返った。


誰もが、その計画の壮大さと可能性を理解し始めていた。


〇アンサ事務総長の決断

しばらく沈黙が続いた後、アンサがゆっくりと立ち上がった。


「リリィ、あなたの計画は確かに壮大で、前例のないものだ。」


「しかし、人類の未来を考えれば、挑戦しない理由はない。」


「国連として、この計画を正式に採択する!」


その瞬間、会場が拍手で満たされた。各国の代表たちが立ち上がり、賛同の意を示した。


リリィは笑顔で言った。

「これで、地球全土の砂漠を緑にする準備が整いましたね。」


アンサも微笑んで答えた。

「リリィ、次のステップに進もう。」


こうして、「地球全土の砂漠緑地化計画」 が正式に始動したのだった。


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