第108話 定例会議 「地球全土の砂漠緑地化計画」最終確認 2020.8
【ニューヨーク拠点・会議室】
窓の外では夏の光が差し込み、会議室には涼しい風が魔法式空調で流れていた。
リリィがいつものようにホログラムの前に立ち、全員に声をかけた。
リリィ「いよいよ来月、国連総会で“地球全土の砂漠緑地化計画”を発表するわよ。その前に、最終確認をしておきたいの。」
ジャック「了解。前回の株主総会から4か月、プロジェクトは順調に進んでるが、あの舞台で“信じさせる”のは別問題だ。」
マモル「プレゼン資料の動画、最終版ができてるよ!農地が広がるアニメーション付きで、わかりやすくしておいた。」
マーガレット「ニャ~、緑が広がって、ゾウやラクダがオアシスに集まってくる映像、良かったニャ!」
コモン「では、全体の進捗を報告する。」
【プロジェクト進捗報告:地球全土の砂漠緑地化計画】
コモンは見えないパネルを操作しながら、魔法スクリーンに5つの柱を順に表示していく。
■ 1.水の供給とオアシス網の整備
コモン「海水淡水化プラントは現在11か所で建設中。うち、チリ、モーリタニア、オマーンにあるモデル施設では転移魔法による水輸送が開始され、安定供給を実現済み。」
ガルド「地下の貯水湖は、トンネルダンジョンを活用して深度500mまで確保した。洪水の水の一部を魔法で蓄える仕組みも稼働中。」
■ 2.農地の造成と土壌改良
ジャック「ナノ保水材とミネラル強化砂を配合した砂漠土改良が進行中。乾燥に強い植物の自動選定アルゴリズムもAIで完成。」
リリィ「農地の間隔は100m四方単位で区切ってあるわ。転移灌漑、害虫結界も試験済み。」
マーガレット「あの畑、ニャ~にゃ~、気持ちよかったニャ!」
■ 3.資金の供給体制
コモン「核融合炉発電所の2020年上半期収益は、1兆8千億円。うち95%を国連経由で環境プロジェクトに回している。今後は年間4兆円規模に拡大見込み。」
ジャック「世界中のエネルギー依存を塗り替える勢いだ。これが砂漠を養う金脈になる。」
三田部長(モニター越しに)「あの収益構造なら、資金の心配は要らんな。」
■ 4.労働力の自動化と管理
リリィ「現地での労働力は、AIゴーレムが担うわ。収穫・耕作・水の管理まで、すべて自動化済み。」
コモン「VRゴーグルを使った遠隔監視システムも完成。VRアルバイトとも接続して、未経験者の訓練を不要にした。」
マーガレット「これで、誰でも“農業できるニャ!”」
マモル「うん、これ、現地の教育にも応用できると思う!」
■ 5.世界への影響と外交戦略
ジャック「地球の砂漠緑地化は、地政学的にも重大な影響がある。農業大国の立場が揺らぎ、食料の再分配の再構築が始まる。」
リリィ「だからこそ、国連の調整が重要。外交・統制チームの要請で、各国の利害調整も国連本部で進める予定。」
コモン「9月の国連総会で発表。10月の特別会議で国連実行メンバーを任命予定。」
ジャック「戦略面では準備万端だな。あとは、国際社会に“夢を現実だと納得させる”ことだけだ。」
【最終プレゼンテーション確認】
リリィ「じゃあ、改めて確認するわ。9月に国連総会で話すポイントは以下の3つよ。」
砂漠の全域にオアシス網を敷設。転移魔法で水供給を恒常化。
核融合発電の利益を100%、緑地化計画に投入。資金不足は一切なし。
AIゴーレムによる農業完全自動化。労働力問題も一挙解決。
マーガレット「ニャ、あと、地球の気候もよくなるニャ!」
ガルド「緑化が進めば、CO₂吸収も進む。気候変動の抑止にもなるだろうな。」
マモル「そろそろ、計画の名前も呼びやすくしたいね。“砂漠緑地化プロジェクト”じゃなくて、なんか略称を――」
ジャック「“GGP”とかどうだ? “Global Green Plan”」
リリィ「いいわね。“GGP”……採用しましょう。」
【締めくくり】
リリィ「よし、それじゃあ――9月の国連総会で、世界に宣言しましょう。」
ジャック「人類史上最大の環境プロジェクト――いよいよ始動だな。」
マーガレット「未来は緑ニャ~!」
マモル「よっしゃ、プレゼンの最終練習、僕のSNSライブでもやる?」
全員「賛成!!」