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閑話 日本 内閣総理大臣の憂鬱 その1

官房長官「首相、どうされました。」


首相官邸


首相「少子化問題って、何だ?先進国はみんな少子化で悩んでいる。となりの韓国など、酷いぞ出生率1を切っている。やがて、我が国も出生率1を切るようになるのか?」


官房長官「昔は、兄弟も多く3人以上の兄弟も珍しくありませんでしたね。」


首相「女性が高学歴になったからだとか。女性が強くなったせいだとか。男性が女性化したからだとか。いわれているな。」


官房長官「砂漠のある国は、女性に学校に行くのを禁止しているそうですよ。」


首相「それは、極端すぎるだろう。」


官房長官「でも、女性の進学率の低いアフリカとインドの出産率はあいかわらず凄い伸びです。」


首相「そうだよなぁ。近代化が進んだ中国の出生率は西洋並みになってきたな。」


官房長官「政治アドバイザーAIに聞いてみるのはどうですか?」


首相「機械に政治を教えてもらうのか?世も末だな。」


官房長官「物は試しです。気晴らしにどうですか。」


首相「まあなぁ。」


・・・・・


首相官邸執務室


首相「これが、政治アドバイザーAIか?。外見はAI秘書だな。美人だな。」


官房長官「筐体は美人秘書ロボットを使っているらしいです。アケミという名だそうです。」


首相「それでは、やってみようか。アケミ、質問がある。」


アケミ「首相、こんにちは。質問にお答えします。」


首相「少子化対策はどうやればいいか?」


アケミ「国民のための政治をなされば、出生率は上がります。」


首相「今でも、国民のための政治をしているぞ。」


アケミ「いいえ、やっていません。官僚のための官僚による政治をしています。」


首相「それは、国民の声を官僚が調査して方針を建てているからだ。具体例をあげろ。」


アケミ「例えば、消費税は何に使っていますか?」


首相「社会保障の充実と安定化のためだ。」


アケミ「それは嘘です。実際には一般財源としてプールされて、何にでも使えるおかねなのですよ。官僚が税金を捻出する理由を鵜呑みにしてはいけません。」


首相「ぐっ」顔が赤くなってくる。


首相「官房長官、こいつ、ワシをバカにしているぞ。」


官房長官「ロボットに腹を立てても仕方ないですよ。首相。」


首相「国民のための政治とは、具体的になんだ。」


アケミ「減税をしなさい。」


首相「へ?それができれば、苦労しないさ。」


アケミ「やる気がなあれば出来ます。国民の生活を楽にしてやるのです。将来に夢を描けるように楽にしてやるのです。」


首相「じゃあ、減税って、何からすればいい。できるのを言ってくれ。」


アケミ「ガソリン税を減税してみてはどうですか。」


首相「ガソリン税、なるほど、でも楽になるのは運送業だけだろ。」


アケミ「ガソリン税を下げれば、物を運搬する価格が下がります。つまり、全ての物の値段が下がるのです。」


首相「財源がへるとこまるだろ。」


アケミ「経済がうまく回れば、全集が増えますよ。出生率があがって、さらに国民の購買力もあがって、経済が好回転になります。」


首相「ほんとかなぁ。」


アケミ「今、ここで、決断することが国民のためになります。首相が名君になるのです。」


首相「名君か~」


アケミ「ガソリン税は二重課税です。官僚が決めた無茶ぶりです。ガソリンには消費税をかけないというだけでもいいですよ。」


首相「なるほど、試しにやってみるか。それで、出生率が変化するか試してみよう。」


・・・・

1年後、


首相「ガソリンには消費税をかけないという法律が、1年ほどで、衆議院、参議院を通ってしまった。来年には施行だ。」


官房長官「ガソリンに消費税をかけないという法案を衆議院にかけただけで支持率が上昇に転じましたからね。政治アドバイザーAIは凄いですね。」


首相「たまたまな気がしないでもない。久しぶりにアケミに質問しようか。」


・・・・


首相「アケミ、久しぶりだな。」


アケミ「そうですね。首相。」


首相「なんか、怒っているのか?」


アケミ「首相、国民のための政治をしていますか?」


首相「ガソリンに消費税をかけない法案を通したぞ。」


アケミ「それは、ようございました。でも、その程度で胸をはるものではありません。」


首相「どうも、このAIは妻のようにワシをバカにしている気がしてならない。」


官房長官「気のせいですよ。首相。」


首相「アケミ、国民のための政治として、次は何をすればいいのか。」


アケミ「消費税を1%だけ下げるという法案を通してください。」


首相「また、消費税の話か?」


アケミ「今、内閣支持率は40%前後です。毎年、消費税を1%だけ下げるという法案をあげれば、内閣支持率は毎年5%ずつ上がると予想されます。さがることはありません。」


首相「ほんとか?それ。そうなれば、アメリカよりも長い政権になっちゃうぞ。」


アケミ「本当です。試してみて、衆議院に法案にあげるだけでも、内閣支持率と出生率が上がりますよ。」


首相「しかたない。法案をあげるだけだぞ。」


官房長官「財務省関連の閣僚や官僚が反発しますね。」


首相「もう、首相も2年目になるし、やるだけやるさ。」


・・・・


翌年には、消費税減税を衆議院、参議院を通して、戦後、初めて減税に成功した首相として「名首相」といわれるようになった。出生率は上向き、内閣支持率は50%を超えた。


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