第103話 東アフリカ蝗害対策 その1 2020.4
ニューヨークの拠点
マーガレット「リーダー、、また未来の自分からメッセージが来たニャ。もうはじまっているニャ。」
リリィ:「了解。マーガレット。みんな集まって、会議するわよ。」
朝食後、くつろいでいたメンバーが集まってきた。
マーガレット「2019年末から2021年にかけて、東アフリカ、中東、南アジアでサバクトビバッタが大発生し、農作物に甚大な被害をもたらすニャ。」
ジャック「バッタの害、蝗害か。去年から始まって3年も続くのか。しかも、範囲も広いな。何か国もあるんだな。」
リリィ「バッタの害なんて、どうすればいいのかしら。」
ジャック「人類は紀元前から、蝗害と戦っていたらしいぞ。聖書とやらに書いてある。」
リリィ:「とりあえず、いつものように国連に行きましょう。国連で対策してるかもしれないわ。」
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ニューヨーク - 国連本部
アンサ「リリィさん、また大変なことが起きるのだね?」
リリィ「2019年末から2021年にかけて、東アフリカ、中東、南アジアでサバクトビバッタが大発生し、農作物に甚大な被害をもたらします。」
アンサ「蝗害が3年も続くのですか。世界的な食料不足がますます深刻になりますね。」
リリィ「国連では何か対策していますか。」
アンサ「国連は食糧農業機関の中の緊急バッタ対策チーム(DLCO-EA)が、サバクトビバッタによる被害を抑えるために、監視、予測、防除、支援の4つの分野で取り組んでいます。」
リリィ「そうですか。では、その組織を支援したいと思います。ご紹介ください。」
アンサ:「わかった。食糧農業機関(FAO)を通じて緊急バッタ対策チーム(DLCO-EA)に連絡しておくよ。支援よろしくお願いします。」
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ジャック「このパンフによると、緊急バッタ対策チーム(DLCO-EA)は、東アフリカ地域でのバッタ防除を担当する専門機関なのか。DLCO-EAの本部所在地はケニア・ナイロビにあるようだ。」
リリィ「じゃあ、ケニアのナイロビに行きましょう」
リリィ達一行はケニアの首都ナイロビにあるコンビニボーソンの駐車場に転移した。そこから店長に用意してもらった車で移動、緊急バッタ対策チーム(DLCO-EA)の本部建物に降り立った。事務局長と技術部門スタッフが出迎えてくれた。
事務局長「リリィさん、国連のアンサ事務総長から連絡が食糧農業機関(FAO)に連絡がありました。私が緊急バッタ対策チーム(DLCO-EA)の事務局長ジョセフ・ンジョロゲです。サバクトビバッタ対策にご支援くださるとお伺いしました。」
リリィ「はい、2019年末から2021年にかけて、東アフリカ、中東、南アジアでサバクトビバッタが大発生し、農作物に甚大な被害をもたらすと予想が出ています。そこで支援に来ました。」
事務局長「今後3年間、サバクトビバッタが大発生するという予想は、どのような手法で出しましたか。」
リリィ「私たちは、異世界人です。魔法で予知しました。」
事務局長「・・・・なんとも、予想外の答えだ。では、私たちのやっていることを見てもらって、君たちにできることを考えたらいい。おい、こちらを案内して差し上げろ。」
デムセ「私は、技術スタッフのデムセと申します。ここの説明をいたします。」
デムセ「こちらの部屋ではバッタの監視・予測をします。
衛星データ、ドローン、現地調査を活用します。
バッタの発生状況を監視します。
FAOのシステムと連携し、バッタの移動経路を分析します。」
デムセ「こちらでは、バッタ防除作戦を立案します。
航空機・ドローンを使った農薬散布、(バッタの発生地や移動ルートに)
環境に優しいバイオ農薬の活用(メタリジウム菌など)。
各国政府との連携にして、防除体制の強化します。」
デムセ「緊急対応として、サバクトビバッタの大発生時には、各国と協力して迅速な駆除作戦をします。」
デムセ「ここでは、バッタ対策の専門家を育成します。
各国の防除能力を向上します。バッタ発生時の早期対応マニュアルを提供します。」
デムセ「活動対象国は9か国で、エチオピア、ケニア、ソマリア、スーダン、南スーダン、ウガンダ、タンザニア、ジブチ、エリトリアです。」
デムセ「何か、ご質問はありますか。」
ジャック「バッタ防除は、農薬散布だけですか。他の方法は?」
デムセ「ん~、農薬散布の他は~防護ネットの設置とか、火による駆除とかですか、かなり局所的です。」
デムセ「天敵の利用を考えている国もあるようです。アヒルやカエルなどの捕食者を農地に放ち、自然にバッタを減らす取り組みですね。中国で試みられているようです。詳しくは分かりません。」
デムセ「あと、研究中のは、バッタの集合フェロモンを利用し、群れを特定の場所に誘導して集中的に駆除する方法ですね。」
ジャック「集合フェロモン?そんなのもあるんだ。」
デムセ「集合フェロモンは、バッタ同士を引き寄せ、群れの形成・維持を促す化学物質のことです。
バッタは通常の孤独相と、群生相の2つの状態があって、環境の変化によって形態や行動を変化させます。群生相のバッタは、集合フェロモンを放出して、仲間を呼び寄せることで、より大きな群れを作り出します。」
ジャック「集合フェロモンで呼び寄せられる?」
デムセ「フェロモントラップという手法を考えている国もあります。
人工的に集合フェロモンを散布し、バッタを特定の場所に誘導し、一斉に駆除する方法です。これにより、農作物への被害を軽減し、局所的な防除が可能となります。」
ジャック「なるほど~」
デムセ「でも、航空機・ドローンによる農薬散布がメインですね。」
リリィ「ここの会議室をお借りしてもいいですか?」
デムセ「どうそ、こちらをお使いください。」
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リリィ「さて、いろいろ聞いたけれど、ここでは対策をいろいろやっているのよね。でも、未来では被害が発生している。つまり、このままでは、だめということね。で、私たちがどうするかね。意見を出して。」
ジャック「ここの人がやっているのは、主に一つだけ、できるだけ早期に発見して、農薬で駆除する作戦だ。農薬は効果か大きいが、おそらく、全滅させられない。翌月には別の所で大発生する。」
コモン「早期発見も、あまり早期ではないのかもしれん。群生相になって大集団になってから発見では遅すぎるだろうな。」
リリィ「あなたたちなら、農薬以外で、どうやって駆除する?」
ガルド「海に転移していく。」
コモン「マッドゴーレムを大量に出して、叩く。体に取り込む。」
ジャック「ゴーレムにプロペラみたいに長い木を振り回させる。または、電撃で一掃する。」
リリィ「どれも、局所的ね。空を暗闇にするほどの濃密な数なのよ。」
マモル「一つ、思いついた。」
コモン「当てよう。集合フェロモンでダンジョンに誘い込む。」
マモル「それも、思いついたけれど、集合フェロモンで誘い込むことができるのは、多くなさそうだ。」
マモル「ここは、マーガレットさんに活躍してもらう。」
マーガレット「ニャ~、わたし?」
マモル「マーガレットさんが、群生相のバッタにお花畑魔法をかけて、孤独相に変化させてから、駆除する。駆除はここの人に任せる。」
リリィ「お花畑魔法で、孤独相に変化させられるの?」
マモル「バッタが群生相になるのは、飢餓感からと思う。それを放心させれば可能と思う。マーガレットさんの魔法って虫にも効果があるのは、お祭りなんかで見てたから知っているんです。」
リリィ「なるほどね~、マーガレット、やってみて。」
マーガレット「わかったニャ~」
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