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第102話 ワクチン完成、その後  2021.4

世界中の医療機関が崩壊の危機に瀕していた中、回復魔法陣による治療が病院の負担を大幅に軽減していた。その間、各国の研究者や製薬会社は、ワクチン開発に全力を注ぎ、ついに半年後、効果的なワクチンが完成した。


WHO 本部では、ワクチンの世界規模配布計画が発表された。


「ついに、世界に希望を届ける時が来ました。今からワクチンの配布を開始します。」

アンサ事務局長が壇上で宣言すると、会場は大きな拍手に包まれた。


ワクチンの貨物が積まれた飛行機が次々と世界各地へ飛び立っていく。空港の滑走路に並ぶ巨大なコンテナは、どの国の人々にも希望をもたらすための重要な荷となっていた。


ニューヨーク - ワクチン接種開始

ニューヨークでは、大規模な接種センターが設置され、最初のワクチン接種が始まった。会場には多くの人々が列をなし、順番を待っていた。


「第一優先の医療従事者と高齢者から接種を開始します。」


最初にワクチンを接種したのは、半年間、新型ウイルスの最前線で戦い続けてきた看護師だった。


「やっと……やっとここまで来たんですね。」


彼女の腕にワクチンが打たれると、周囲の人々から拍手が巻き起こった。医療崩壊の危機と隣り合わせだった彼らにとって、この一歩は新たな希望の象徴だった。


インド - 屋外ワクチン接種会場

インドでは、ワクチンを迅速に普及させるために、大規模な屋外接種会場が設置された。人々は整然と列を作り、順番を待っていた。


「順番に接種していきますので、落ち着いてください!」


スタッフの声が響く中、一人の母親が小さな子どもを抱え、医師の前に座った。


「この子が安心して暮らせる未来を、お願いします。」


医師は微笑みながら、慎重にワクチンを注射した。その瞬間、母親の顔には安堵の表情が浮かんだ。感染の恐怖から解放される日が、ようやく近づいてきたのだ。


ブラジル - 移動式ワクチンチーム

広大な国土を持つブラジルでは、都市部だけでなく遠隔地にもワクチンを届けるため、移動式のワクチンチームが稼働した。医師たちは村々を訪れ、住民一人ひとりにワクチンを接種していく。


「こんにちは、皆さん!ワクチンを持ってきました。順番に接種しましょう。」


村の長老が、深々と頭を下げる。


「ありがとう、これで村の皆が守られる。」


その日、多くの村人たちがワクチンを受け、笑顔と共に未来への希望を取り戻していった。


WHO本部 - 世界の変化

ワクチン接種が進むにつれ、WHO の本部では感染状況の変化がリアルタイムでモニタリングされていた。


「感染者数が大幅に減少しています。ワクチンの効果は予想以上です。」


アンサ事務局長の声に、会議室の雰囲気が一気に明るくなる。リリィもその報告を聞き、ジャックに向かって微笑んだ。


「長い戦いだったけど、これで新しい未来を迎えられるわね。」


「ああ。でも、これで終わりじゃない。変異ウイルスの可能性もあるし、今後も世界は団結していかなければならない。」


ジャックの言葉には、まだ続く戦いへの覚悟が込められていた。


「それでも、一歩前進だよな。」


マモルがそう言うと、会議室にいた全員が深く頷いた。世界は確実に回復へ向かっているのだった。


ワクチン接種後の副反応とその対応

ワクチンの配布が進む中、各国の医療機関では副反応への対応が急務となっていた。特に、一部の患者に重篤な副作用が報告され始めた。


ニューヨーク総合病院では、次々と市民がワクチンを受けていたが、中には接種後に体調を崩す者もいた。


「彼の血圧が急激に低下している!アナフィラキシーの可能性がある、直ちにエピネフリンを投与!」


迅速な対応により、患者は一命を取り留めたが、世界中で副反応のデータが急ピッチで収集されることとなった。


インドでは、10代後半から20代の若年男性に心筋炎の症例が見られた。


「胸の痛みを訴える患者が増えています。特に若年層の男性に多いようです。」


ブラジルでは、一部の患者に血栓症が確認され、抗凝固薬の処方が始まった。


WHO 本部では、これらの報告を受けて緊急会議が開かれた。


「これらの副反応について、各国で迅速にデータを共有し、対策を強化する必要があります。」


リリィは、新たな回復魔法を活用する可能性を提案した。


「魔法陣の回復能力を応用すれば、副反応を軽減できるかもしれないわ。」


彼女たちは、ワクチンの副反応を抑える手段を模索し始めた。


ワクチン忌避者たちの動向

ワクチンの普及が進む中、一部の人々の間では不信感が広がり、各国で接種を拒否する動きが見られた。


アメリカ・テキサス州の小さな町では、住民の一部がワクチン接種を拒否していた。


「このワクチン、本当に安全なのか? 短期間で開発されたんだろ?」


「政府は何か隠しているに違いない。ワクチンには追跡装置が埋め込まれているって噂もある。」


フランス・パリでは、市民の一部が過去のワクチン被害を理由に接種を拒否し、街中ではデモが行われていた。


「ワクチン強制反対!」


日本・東京でも、若者の間で「ワクチンは不要」との意識が広まり、接種を避ける人が増えていた。


「俺、若いし健康だからワクチンなんていらないよ。」


WHO 本部では、ワクチン忌避問題に対する対策会議が開かれた。


「ワクチン忌避の影響で、集団免疫の獲得が遅れる可能性がある。正しい情報を広めることが急務だ。」


ワクチンの安全性を伝えるために、テレビやSNSを活用し、誤情報の拡散を防ぐ取り組みが強化された。


闇の世界

その頃、闇の世界では異変が起きていた。


「なんだ、魂が来ないぞ……どうなっている? 大量の死者が発生するはずだろう!」


闇将軍の怒声が響く。


「何が起こっている? 調べろ!」


闇獣たちは慌てて散っていった。


「まさか……誰かがワシの計画を邪魔しているのか……? 逆らっているのか……? まさかな……。」


闇の世界には、不吉な気配が漂い始めていた――。

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