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異世界転生したらスプリングハンマーだった  作者: 夕凪 瓊紗.com


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【1】異世界転生と名付け親



――――春の陽気が独特の匂いを運んでくる。俺は異世界転生したんだ。それだけはどうしてか分かった。


しかしながら生まれた瞬間からそれが分かると言うことは、まさかの赤ん坊スタートってことか?


『ガッキ――――ンッ!』

あれ?何でオギャァじゃないんだ?しかもやけに機械っぽかったんだが。


「お……!上手く動いてくれたな!」

目の前に立つのは痩せ型だが愛想の良さそうな黒髪に緑の瞳の男性だ。そして異世界なのにどうしてか作務衣。

しかしながら壁の装飾や道具はどこか西洋ファンタジーみを帯びる。


「今日からお前が俺の相棒だ」

男性が俺の頭を撫でる。ん……?俺の頭?柔らかいけどゴツゴツした彼の手に触れる硬い俺。それもなんだか金属質なような。


「おっと、まだ自己紹介がまだだったな。俺はこの刀鍛冶工房エレステの主カロクだ」

刀鍛冶工房……うん、何だか火床(ほど)のようなものも見えるしそうなんだろう。しかし異世界で刀鍛冶?日本刀を作っているのか?いや……さすがに日本は国名だから名称は刀だろうが。


何だかカッコいいなぁ……!そうだ、せっかくだから日本っぽくロクさんって呼ぼうかな!

よろしくな、ロクさん!


『ガッキイイィンッ』

だから俺のこの鳴き声何?


「よーし、元気で何よりだ!いいスプリングハンマーだ!」

……は?ええとその……。


スプリングハンマーって何!!?


※※※


パチパチと火花が舞っているのが分かる。やっぱり鍛冶屋なんだよなぁ。そして俺はスプリングハンマーである!


……やっぱスプリングハンマーって何?


「よーし、スプリングハンマーの出番だぞ!」

え……?ロクさん!俺の出番……ってその火ばさみの先に咥えてるやつ……滅茶苦茶赤いんですけど!?いやあぁぁぁっ!!火傷するうううぅっ!!


『ガキンガキンガキンガキンガキ――――ンッ!』

あれ……?何故か全然熱くない?


「よーし、もう少しだ」

うーんと……またやるの?


『ガキンガキンガキンガキンガキ――――ンッ!』

何だかよく分からないけど、これって楽しいかも!


「よし、まずまずだな」

ロクさんが水で冷やした鉄の塊は素人目には違いが分からないけど。


「明日もよろしくな」

今日はもう終わり?俺はまだまだ出来るんだけど。


『クスクス』

あれ……火床の前に誰かがいる。12歳ほどの男女どちらかは分からないが白い髪に緋色の瞳の和服の子ども。


『ステータスを見てみるといいよ』

俺に話しかけているのか?どうやらロクさんには見えていないようだ。


しかし……ステータスってどんな風に見れば……ってあれ。


――――


スプリングハンマー(♂)


レベル:5


――――


スプリングハンマーにレベルがある!?このレベルって上がると何か出来るようになるんだろうか。それに……何故かスプリングハンマーに性別がある。


いや、俺男だと思うけどね。


※※※


――――翌日


今日は朝から大忙しである。


『ガコンガコンガコンガコンッ』

真っ赤ッかに熱せられた鉄……いや鋼をひたすらガコンガコンとスプリングハンマーで打ちまくる。


「よし、いい感じだ」

俺はよく分からないけど、ロクさんがそう言うならきっとそうなんだろうな!

それに何だか……前世の特集か何かで見た直方体のような形になってきた!


「これはいい調子だぞ」

やったぁー!俺もいい調子!


『ガコンガコンガコンガコンッ』

スプリングハンマーもすっごく調子がいい!


「今日はこのくらいにしよう。それからこれは栄養だ」

栄養……?そう言えば何だか身体に力が沸き上がるような。スプリングハンマーが動くための栄養素ってことなのかな。


――――


スプリングハンマー(♂)


レベル:10


――――


※※※


そして鍛練は何度も何度も続く。


「こうして折り返し鍛練をすることでもっともっといい鋼になるんだ」

『へぇー、すごいなぁ。どんな刀になるんだろう』

あれ……?今俺、しゃべった……?


ロクさんがひどく驚いた表情をしている。


「スプリングハンマーがしゃべった……?」

や……やっぱりいぃっ!?これってレベルが上がったからの特典なのだろうか?しかしながら。


『スプリングハンマーってしゃべるものなのか?』

「いや……師匠のスプリングハンマーはしゃべらなかったが……」

『じゃぁ俺は何でしゃべれるんだ?』

しかも意思がある!


「ひょっとしたらだけど……付喪神?」

それ、前世でも聞いたことがある!

「だけどお前、新品なんだよなぁ」

うーん、確かに。付喪神って相当大事にされたものに宿るものだろう?それならロクさんの師匠のスプリングハンマーの方が適任だ。


「でも、ひとりで黙々とって思ってたからなぁ。何だか嬉しいよ」

『そう言えばロクさんはひとりだよな』

「ロクさん……ああ、愛称か。何だかいいなぁ、そう言うの」

ロクさん……!


「ならお前の愛称も考えてやろうか」

『俺の……?』

「そうそう。そうだな……ハルと言うのはどうだ?」

『ハル?』

「この工房を開いたのも春。スプリングにはバネの他にも春って言う意味があるだろ?だからさ」

『うん、いいなぁ、ロクさん!名前ありがとう!』

こうして刀鍛冶工房エレステのスプリングハンマーこと俺は名前をもらったのだった。


――――


ハル(♂)

刀鍛冶工房エレステのスプリングハンマー


レベル:10

スキル:会話


――――

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