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22/25

019:間取り

寝落ちしちゃってました……昨日のうちに更新出来ず申し訳ないです。


次回は22日の木曜日の更新を予定しています。


 横穴の入り口から漏れる穏やかな光で目を覚ます。

 久しぶりに気持ちよい睡眠がとれた。ここのところ、毒を食らったまま寝てしまったり進化キャンセルで気を失ったりと、まともな睡眠がとれていなかった。時間だけはたくさん寝ていたが、今までは気も緩められなかったし状況が状況だったので、質の良い眠りでは無かったのだろう。朝起きてすぐなのに、なんだかとても気持ちが良い。人間だった頃は、そんなに寝起きの良い方ではなかった。こんな光量で目を覚ますことなんてなかった。体が変わった影響なんだろうなあ。


 ごろりと転がった状態から立ち上がり、ぐっと背伸びをしようとして、頭(というか殻の上の方)が天井につっかえる。

 おっと。僕が通れるギリギリのサイズでしかまだ穴を掘っていなかったんだった。この穴、これからどうしようかな。


 現段階では、取り急ぎ寝られるように作っただけだ。大きな生き物の入ってこない寝床というのがこの穴の現状である。

 これだけでも必要最低限の機能は持ち合わせている。しかし、それではあまりにも味気ないではないか。


 この体になって、人間だった頃よりも圧倒的に自由時間が増えているのだ。なんせ仕事に就いてないわけだからね。こうなったら、寝に帰るだけの家だなんて悲しいのは嫌だ。何かもう少し、こう何というか、居住性というか。

 娯楽とまでは行かないものの、生活に潤いを持たせるような物がほしい。どうせ住処を作るなら、という欲が出てきた。


 そのためにはこのままの穴の大きさでは如何ともしがたい。

 とりあえず、ワンルームと呼べるくらいまで穴を拡張しますか。


 そのため、僕は穴を奥へと掘り進めることにした。殻の中から槍を取りだし、スコップの代わりにして作業を始める。

 間取りとしては、玄関、通路、即リビング兼寝室である。今まで掘った穴をそのまま真っ直ぐ掘り進めて、その直線に正方形をくっつけるような形にしよう。穴をのぞき込んだら寝てる僕が見えるなんてのはプライバシー保護の観点からNGなのである。寝る場所は隅っこにしよう。


 しばらく作業に没頭して、大体納得できる大きさの穴が出来た。

 昨日のうちに掘っていた通路が、僕が並んで六人入れそうな長さ。その奥に畳が一枚分くらいの部屋をくっつけたような形に仕上がった。部屋の方は高さもかなり広げた。通路の方は、僕の身長より少し大きく作っただけだが、部屋の方は僕が槍を掲げて届く限界まで高くした。


 一畳ワンルーム。聞こえは最悪である。刑務所の独房でもここよりはまだ広いのではないだろうか。まあ、それも「人間からすれば」の話だ。僕の体のサイズであれば、これだけ広ければ十分。


 ただ、問題点が二つある。

 一つ目は、暗いこと。

 入り口から真っ直ぐでは無くなったので、日の光が全然入らない。先ほど【暗視】のレベルが三まで上がったので、暗くても生活できないほどではないのだが、これが夜になったらもう真っ暗だろうな。スキルのレベルが上がればなんとかなるかなあ。


 二つ目は、掘り終わった土。

 昨日は量が少なかったから誤魔化せた。でもこれだけ掘ってしまうと量が量だ。さすがに目立つ。川に流すにしても、何往復かかるかわかんないくらいいっぱいあるからなあ。どうしよう……


 土をこねて成形して、寝具を作ってみることにした。

 寝具といっても、ふかふかのベッドなんて土からは作れない。枕と、寝ている最中に体が転がっていかないように衝立を作るくらいだ。


 ……作り終えたが、さすがにこんなものでは焼け石に水だ。

 そうだ、いっそのこと殻の中にしまってみようか。丸めて団子状にして、殻の中にひょいひょいとしまっていく。

 さすがにどこかで要領の限界が来るかと思っていた。……しかし、あれだけの量があった泥が全て入ってしまった。

 ほんとにこの殻の中はどうなってるんだ?

 まあ、問題は片方解決したからよしとしよう。


 いつまでも泥団子が殻の中に入っていると思うと気持ちが悪いので、水を飲みがてら川に流してしまうことにした。

 普通に歩ける。自分の体積の何倍もの泥団子を持っているのに、重さなどは一切感じない。四次元ポケットみたいだ。どういう原理なのだろうか。


 川にたどり着く。まず水を飲んで喉を潤す。

 泥団子を川に流していくが、段々と川底に溜まっていく。このままだと堰き止められてしまいそうだ。四分の一ほど流したところでやめておくことにした。


 次に腹を満たす。

 魚くんはこの辺りには居ないようだ。探すのも面倒だし、昨日見つけた小さいリンゴを食べることにしようかな。


 リンゴの木まで移動する。やはり、少々時間はかかる。安全のためとはいえ、やはり少々不便だ。

 リンゴの木に登って、実を二個とって殻の中にいれ、地上に戻る。

 これが果物の木ということは、この実を食べにくる生き物も当然いることだろう。食事は住処に帰ってからにしようかな。


 足早に住処に戻る。後をつけられていないか何度も振り返り、穴の中に他の生き物が居ないかチェックする。誰も居ない。

 穴の中に入って一息つく。

 殻の中からリンゴを取り出す。


 そういえば、今僕の殻の中にはリンゴの他にも泥団子と槍と投石用の石が入っている。一発で出したい物を引き当てられるのはこれまたどういう原理なのだろうか。

 シャリシャリと咀嚼しながら、そんなことを思う。まあ気にしても仕方がないんだけどね。


 それにしても、さすがにこの部屋は殺風景だ。

 水筒と、食器の類くらい作ってみるかな。


 拠点が出来たことで、この生活がちょっと楽しく思えた僕だった。



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個体名:なし Lv.6/30

種 族:魔物のタマゴ+1

HP  :112/112

MP  :39/39

攻 撃:107

守 備:202

魔 力:39

精 神:45

速 さ:67

ランク:F-


スキル:

【ステータス閲覧 Lv.5】【体当たり Lv.6】【踏みつけ Lv.5】【集中 Lv.4】【回し蹴り Lv.4】【殴打 Lv.2】【気配遮断 Lv.2】【不意打ち Lv.3】【見切り Lv.3】【投石 Lv.3】


呪文:


アビリティ:

【進化の可能性 Lv.-】【超成長 Lv.-】【食材の見分け Lv.4】【消音 Lv.3】【槍術 Lv.3】【暗視 Lv.1→3】


耐性:

【打撃耐性 Lv.5】【毒耐性 Lv.4】【水耐性 Lv.4】


称号:

【異世界人】【採集家】【釣り師】【穴掘り名人】


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