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017:安住の地

クオリティオブライフを求め始めます。人間的ですね。タマゴなのに。


次回の更新は12月16日、金曜日を予定しています。

 思い上がっていた。

 手が使えるようになって出来ることが増えて、調子に乗っていたんだ。完全に舞い上がってた。

 後になって思い返してみると、あまりにも考えが足りなかったことに気付く。


 進化キャンセルしたての、レベル1の段階で格上に挑むっていうのが間違っていた。数値上、強くなる余地はまだまだあるのだから、レベル上げもせずに焦って挑戦する理由はどこにも無かったんだ。

 そもそも、自分の実力を試すなら、何も格上相手でなくても良かった。出来ることが増えたのなら、まずは肩慣らしに勝てそうな相手に試すのが定石だろう。


 スキルを手に入れることが出来たのは良いが、それ以外に今回の戦闘を行ったメリットが見いだせず、げんなりする。いったい何のために死にそうになってまで戦ったんだろう……


 僕って元々こんなに考えなしだっただろうか?

 人間だった頃、僕は仲間内でも慎重派で通っていたはずだ。この体になってからも、それは同じこと。生前(?)からの、動く前に考える癖は抜けていないように思える。

 しかし、実際にはどうだろうか。

 僕のこれまでの行動を振り返ってみると、思慮に欠けた、合理性の無い行動ばかり取っているような気がする。

 どう考えても無謀な戦いに挑んだり、身を守ることよりも先に強くなることを頑張ったり……

 そういえば、クモを潰して回っていた時にも、変な違和感はあった。

 僕は一体どうなってしまったんだろうか……


 自身の変化に困惑する。きっと、まだ動揺が抜けていないんだろう。いきなり死んじゃって、いきなり違う世界へ行って、しかも人間じゃなくて。これだけのことが一気に起こっているんだ。ちょっとはおかしくもなるさ。僕は正常だ。そう信じたい。


 考えを無理矢理まとめて、周囲に生き物の気配が無いことを確認しつつ木の上から降りる。


 それにしてもさっきは死ぬかと思った。命の危機であることが本能でわかった。未だにその不快感と焦燥感は脳裏に焼き付いている。

 僕は何としても生きていたい。先ほど感じた、おぞましい死の予感。あんな感覚、二度と味わいたくはない。

 しかし、この森は自分より格上の生物で溢れかえっている。いつ捕食されるかわかったものではない。


 すなわち、今の僕に必要なものは「安全」だ。

 僕の命を脅かされないような、安息の地が要る。ここは野性味あふれる大自然のまっただ中だ。安住の地というものは存在しない。ログハウスですら無いのだ。オートロックのマンションのようなセキュリティなど、望むべくも無い。


 僕としても、さすがにそこまで高望みはしない。

 最低限、命の保証がありさえすれば良いのだ。求める物が高くなければ、こんな場所でも遣り様は有る。


 穴を掘るのだ。

 身の安全が確保できる場所となると、そこらに転がっては居ない。

 木の上では足場が悪いし、落ちたら危険。

 木の根の間などでは、隠れることは出来るだろうが、見つかったらお終いだ。

 草むらや低木の陰に隠れるなんてのは論外だ。全方位を常に警戒せねばならず、安心できない。


 その点、洞穴を掘ってその中に住むというのは様々な問題点をクリア出来る。

 入り口を僕の体ほどの大きさにしておけば、フォレストウルフやレッドボアのような大きい生き物は入ってこれない。穴を長めに作れば、攻撃も一切届かないだろう。他の生き物が入ってくることがあったとしても、その程度のサイズなら対処できるだろう。

 また、野ざらしの状態と違い、警戒するのは出入り口だけで良いので、心理的な負担も少ない。もし出入り口が見つかって待ち伏せされた時にも、他を掘り進めて違う出口を作って脱出することも可能だろう。セキュリティは十分だ。

 雨風もしのげるし、自分のさじ加減で間取りも自由だ。

 唯一気がかりなのは暗いことだが、まあ、僕は元々光が当たらない方が熟睡出来る体質だし、ちょうどいいんじゃないかな……この体がどうかは知らないけどね。


 さて、そうと決まれば場所の選定だ。

 条件はいくつかある。


 まず、水場やドングリの木からなるべく近くであること。

 倒した生き物たちを食事に充てるっていうのも悪くないけど、不猟だった日は食べ物がありません、というのは困る。今のところ最も安定して食事が出来るのが、ドングリなのだ。水場に関しては言わずもがな。


 次に、獣道や生き物の集まる場所からは離れていること。

 安全を求めて洞穴を作るのだ。そう簡単に場所を特定されては意味がない。出入り口自体が見つかりにくい場所に無ければならない。しかし、そうなると先に挙げた条件との兼ね合いが難しいところだ。あれだけ甘くて柔らかくて量もあるドングリを、他の生き物たちが好まないというのは考えにくい。群生地は避けて、一本や二本だけ生えているところなんかが狙い目になるのかな。


 さらに、ある程度傾斜のついた場所に穴を作るのがいいだろう。

 出入りや作業のしやすさという点でも、雨水の浸入防止という点でも、平らな地面に真下に掘り進めるのは良くない。ただ、傾斜があっても穴自体の広さを確保できる場所じゃないと困るな。


 立地条件はこんなところか。なかなかに厳しい条件だと思うが、安心安全のマイホームのためだ。妥協せず探していこう。上手く好条件のところが見つかればいいんだけど……



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個体名:なし Lv.1/30

種 族:魔物のタマゴ+1

HP  :48/91

MP  :34/34

攻 撃:74

守 備:156

魔 力:34

精 神:39

速 さ:48

ランク:F-


スキル:

【ステータス閲覧 Lv.5】【体当たり Lv.6】【踏みつけ Lv.5】【集中 Lv.4】【回し蹴り Lv.4】【殴打 Lv.2】【気配遮断 Lv.1】【不意打ち Lv.1】【見切り Lv.2】【投石 Lv.2】


呪文:


アビリティ:

【進化の可能性 Lv.-】【超成長 Lv.-】【食材の見分け Lv.4】【消音 Lv.3】【槍術 Lv.1】


耐性:

【打撃耐性 Lv.5】【毒耐性 Lv.4】【水耐性 Lv.4】


称号:

【異世界人】【採集家】【釣り師】


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