ワタシの天使様
最初なのでマジで短いです(約1500文字)
不定期連載なので、長めに書けるように頑張ります⋯⋯
◇
アリス・ヴェール
「――リア。大丈夫?痛いの?」
優しい、穏やかなワタシを心配する声がする。
「大丈夫」そう言いたくても声が出ない。
瞼も言う事を聞かず、相手の顔を見ることは出来ない。
「シリル様。お嬢様が心配なのはわかりますが、このままではシリル様にまで伝染る可能性がございます。本日はもうお帰りに――」
ワタシはどうすれば良いの?やっと人が来てくれたのに⋯⋯、結局、皆はワタシを置いて行くんだ。
ワタシはいつまでも1人なんだ。
お母様もワタシが小さいときに亡くなってしまって、お父様はいつもワタシの――領地のために遅くまでお仕事をしてる。
◇
「ここは⋯⋯」
目を覚ますと、見慣れない天井だった。
家とも、寮とも違う簡素な天井だ。
音がする方を見ると白衣を着た、女の先生が居た。
ぼーっとして何かする気力もなく、ずっと見ていると先生がワタシに気づいて話しかけてきた。
「あぁ、ヴェールさん起きたのね。体調はどう?お友達が心配してたわよ」
「友達⋯⋯?」
少し不思議に思っていると、他との仕切りを押しのけて1人の少女がワタシに向かって駆けてきた。
ワタシはすぐに反応することが出来ず、その少女を抱きとめ、体制を整え起き上がる。
少女を見ると瞳に涙を潤ませて今にも泣き出しそうだった。
「アリス良かったよぉぉぉ!記憶残ってる?大丈夫!?自分のこと分かる?
あいつね、アリスが倒れたときもずっと眺めてただけで、全然医務室に連れて行こうともしてなかったんだよ!ルリが気づいてなかったらどうなってたことか!あとね――」
「ルリさん。一気に喋りすぎよ、病人なんだから。⋯⋯ここの常連さんなのにこんな事も分からないの?」
「ちぇー。別に良いじゃん先生。大親友が倒れたんだよ?それはそれは心配するよ!後一言余計だよ!」
少女は胸を張りながら「当たり前!」と言うようにそう先生に反論する。
「ヴェールさん。ルリさんの事は気にしなくていいからね。落ち着いて、状況を教えてくれる?」
「⋯⋯ルリの話し聞いてるの?まぁ今はアリスが一番重要だから別に良いけど!」
そう言ってルリと先生がワタシを覗き込む。
状況⋯⋯。
ワタシ、ワタシは『アリス・ヴェール』。
ヴェール男爵家の一人娘で、”元”は居るけど婚約者は居ない。
今年で13歳。今年学園に入学して1年生。
――ん? ワタシの”元”婚約者⋯⋯。それにルリの言ってる「あいつ」って⋯⋯。
まさか、あの無愛想で冷徹な、学園一の『氷の王子様』……!?
「シリル・リリエンタール!」
ワタシは勢いよくベッドから跳ね起き、その憎たらしい元・天使の名前を叫んでいた。
「ひゃあっ!アリス。いきなり叫ばないでよぉ!」
ワタシがそう言い跳び起きると、ルリが自慢のピンク色のツインテールを自分にグルグル巻いて耳を塞いで、ワタシを未だに潤んでいる瞳で見つめていた。
ワタシはルリの言葉に気づかないまま、続ける。
「次は、絶対勝つんだからぁぁぁ!」
そんなワタシを見て怯えているルリを宥めながら先生が話す。
「まぁまぁ。元気になって来たから良いじゃないですか」
「うん!この調子ならまた面白いことになりそうだね!」
「ヴェールさんとリリエンタールさんは幼馴染じゃないんですか⋯⋯?久しぶりの再開なのになんでこんなトラブルが⋯⋯⋯」
「そうだよねぇ。アリス、やっと回復してきて一緒に学園に通えると思ったのに⋯⋯。
元とはいえ婚約者だったんだからもっと優しくしても良いよねぇ。アリスが病弱だってこと知ってるはずなのに、あのヘタレはぁ⋯⋯。」
ルリは演技だったのか、ってぐらいすぐに切り換えて先生と会話を始める。
―――でもワタシには関係ない!
ワタシが今考えるべきは”あいつ”ことワタシの元婚約者である今では完璧な氷の王子様になってしまった「シリル・リリエンタール」に勝つ方法だ!
最後まで読んでくださりありがとうございます
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