第十一話 ニコの可能性
「手加減出来ないからな!ニコ!!」
「お手柔らかに頼むよ。」
俺は開幕早々、ニコを煽る言い方をした。それを気にせず、ニコは流した。少しムカつく。
俺の今の手持ちの武器は長剣。今は、炎を使うため、腰に付けてマントで隠している。
そうそう、言い忘れていたが試合ではマントを必ず着用するようになっている。冒険者には必須のアイテムだからだ。
まずは様子見。
俺は火車を出した。火車は炎をドーナツ状に丸めたただの炎で、俺が操っている。様子見なので、4個にしておいた。まだまだ出せるがやめておく。
それと同時にニコは走り出した。近接型だろう。
ニコも武器を装着しているはずだが、俺と同様マントで隠して素手で戦う。
「ふん!」
ニコに向かって火車が飛ぶ。
ニコは貴族とは思えないほど、活発な動きを見せた。体術がしっかりしている。
ニコは避けに徹するが、俺はそれを見越して先回りした。
決まった。そう思った。
!?
ニコは素手で俺の火車、炎を掴んだ。
そして、ニコの掴んだ火車は俺の支配から外れ、操れなくなった。
どうなっている!?
ニコは俺に向かって火車をぶん投げた。
未だ俺の支配は離れている。
俺の目の前まで来て、俺はまだある火車をぶつけて相殺した。
すると、ニコは自ら別の火車の方に向かいまた掴んだ。
そして、支配から外れる。
またか!?ニコのスキルは手に持った魔力の物を操るスキルか!やりずらいな。
投げた瞬間俺の支配が戻った。見かねてニコに向けたが、華麗に躱され何かをどこかに投げた。
どこに投げているんだ?
すると、ニコが投げた方向からおかしな挙動をして、俺の目に何かが飛び込んで来た。
石!?
火車の支配が奪われる感じがした。
まずい!火車が奪われた!
火車で攻撃される!
なにかないか!
仕方ない、、、、。
炎撃!
火車は消失し、ニコに炎撃が直撃した。
ニコの腹には酷いやけどができ、服が燃えていた。
しまった、、、、。咄嗟に俺の技の中でも火力が高い炎撃を撃ってしまった。
俺の負けだ。
「大丈夫か!!!」
監督をしていた先生が心配そうに駆け寄ってきた。
「誰か!保健室の先生を!
あっ!しまった、今日は休みだ。」
保健室の先生は神聖魔力を使えて傷を治せるらしい。
神聖魔力なら、俺もある!俺が治すしかない!
「神聖魔力使えます!!」
「本当か!いや、でも、、、、ないよりかはいいか!頼む!」
少しムカつく言い方をしているが、今はそれどころではない。
神聖魔力使うと緑の光が出てニコの傷を癒し始めた。
「凄いな!そんなにもなおせるのか!」
そんなこと言っている先生を無視し、俺は治療に専念した。
そして、遂に傷が全て治りきった。
傷跡ひとつない。
「全て治しきった!?
普通の人でも、この半分も治せないのに!?」
いちいちうるさいな。鬱陶しい。
先生やみんながジュンとニコに注目しているその光景を木陰から見て、悔しがっている女がいた。
「うぅー!私にだってあれぐらい!」
と、必死に恨めしいと思っている。
そう。この負けず嫌いな人こそ、次にジュンと対戦する相手。
入学試験首席、ソフィア・キュリアーその人である。
次回はソフィア視点でお送ります。




