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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第7章 フォレスティア森聖国編
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フォレスティア森聖国13



 フォレスティア森聖国に戻ってきたが、残念ながら英雄の凱旋のようにはならなかった。

 お爺様への報告中、最低限の説明を終えると、すぐさま母様に連行された。


 感情と声を荒げてガミガミ言われるのではなく、淡々と論理的に1時間以上怒られた。

 表情はいつもと変わらなく見えるが、オーラがまるで違う。

 今回は感情が抑えられず暴れてしまったが、もう怒られたくないので自重しよう。


 お爺様達の所へ戻り、今度は詳細な情報を話す。


 ロックドラゴン事件、母様の説教も済み、これで解決かと思ったら、そうはならなかった。

 会議の時、母様に文句を言ってた奴が、また茶々を入れてきた。


 グランファーレル王国の者が横やりを入れてきたせいで、素材を得れなかったと。

 フォレスティア森聖国にロックドラゴンの素材を返せと言ってきた。


 僕はともかく、ピエリスとアイリスがグランファーレル側かと疑問に思う。

 これは本気で言っているのではなく、ようは活躍の機会が奪われた意趣返しだろう。

 こんな恥知らずな言動に賛同する者はおらず、白い目で見られているのに気づいていないのか?


 僕個人としては正直、魔石以外は別にいらなかった。

 ストレージを圧迫するだけなので、素材のほとんどは元々渡すつもりだったのだ。

 

 だが、言われたから渡したと思われれば、こいつの手柄になる可能性がある。

 偉そうにドヤってるこいつの顔を想像しただけで腹が立つ。

 こうなるくらいなら、さっさと渡しておけば良かった。


 いや、むしろ『理由』を作ってくれたのだと考えよう。

 叱責しようとするお爺様を、あえて止める。


 観客のいる前で、素材を賭けて僕とこいつ1対1で勝負する事を提案した。

 渋られる可能性もあったが、腕には自信があるのか嬉々として承諾した。


 勝負は明日、殺しは無しで、武器は刃を潰した物のみ可、魔法も可だが魔道具は不可。

 審判の判定後や、相手のギブアップ宣言後に攻撃すると反則負け。


「明日お前を倒す俺様の名は……………だ、覚えておけ」 


 フッと笑うと、背を見せ去って行くが、ちょうど鐘の音が鳴り、名前を聞き取れなかった。

 別に知りたくも無いし、興味も無いから良いのだが。


 次の日、イベント扱いで人がかなり集まっている。

 賭けも行われているようで、森に住むエルフなのに俗っぽくて苦笑する。

 僕に賭ける者が2割、あいつに賭ける者が8割なので、実力は認められているようだ。


 名前を呼ばれ舞台に立つが、音楽や楽器、歓声のせいで、また名前を聞き取れなかった。

 審判は公平なように宰相が務めてくれる。 

 

「おい、武器はどうした? 隠しナイフでも使うのか?」 

「あなた相手に武器は不要ですから」

「………ぶっ殺す!」


 試合が開始されると、風魔法を使い、剣と共に中々のスピードで突っ込んできた。

 なので、透明な魔糸で足を引っかけ転ばすと、勢いよく顔面から地面にぶつかった。


 魔糸は見えないので、観客からは、こいつが急につまずき転んだように見える。

 大事な試合だというのに、いきなり転んだ事に観客からは笑いの声が広がる。


 起き上がると、身構えるよりも先に観客に食って掛かる。

 こちらに背中を見せて隙だらけなんだが、やる気あるのか?


 今度は地面を見渡し、何もおかしな事が無い事を確認してから突っ込んでくる。 

 なので、こちらも同じように魔糸で転ばせてやる。

 今回は剣を地面に刺し、顔面着地を回避する。


「……なにをした?」 


 教えてやる義理も理由も無い。

 

 近づく事を嫌い、魔法戦に切り替えるようだ。

 風の槍を同時に5本空中に出し、あえてタイミングをズラしながら飛ばしてくる。

 結界で防ぎながら近づき、ボディブローを叩きこむ。


 せき込みながらも距離を取ろうと、バックステップしながらカマイタチを放ってくる。

 そんなテキトーに放った攻撃など、避けるのは容易なので、また近づき殴る。


 魔法を放つ余裕が無くなったのか、右ストレートを放ってきたが身長差があるのだ。

 自分の間合いなら良いが、既に懐に入っているので、ちょっとしゃがむだけで避けれる。

 そして3度目のボディブローを放つと、涙目でうずくまり吐瀉物を出す。


 審判がギブアップの確認に近づいてくるので、魔糸で操り無理矢理に立たせる。

 立ち上がったので審判が離れようとすると、助けを乞うように口を開く。

 

 身体を操って僕を殴らせ、僕は自分から吹っ飛ぶ。

 たった3発殴っただけでギブアップされては困る。

 

 国を想って行動した母様を、その国に住むこいつは侮辱したのだ。

 あの場は我慢しても、絶対に許せない。


 審判は戦闘続行と見なし、離れていく。

 

 一方的な試合になって審判が止めないように、時々身体を操りながら殴っていく。

 

「……もう……許じで……ぐれぇ…………もう無理だ」

「僕が何に怒っているか分かるか?」

「……素材の………事ならもういい……だから……」

「違う。素材なんて元々渡すつもりだった」

「………なら……なんで……」

「お前が母様を侮辱したからだ」

「ぞ……ぞんな……ごとでぇ?」


 そんな事だと?

 どうやら反省が足りていないようだった。


 あまりやりすぎると、他の者に怖がられてしまうので、殴るだけにしていた。

 殴る場所にも気を遣い、観客が不快な気持ちにならないようにしている。


 視界の片隅で、母様が首を横に振っているのが見えてしまった。

 母様に止められてしまっては、ここまでだ。


 最後に僕の方に向かわせ、アッパーで気絶させて終わらせた。


 解体代とプレゼントという事で、欲しいと言われたもので不要なものは渡した。

 爪や牙、骨などは後でアレに使うかもと、全てストレージにしまってある。

 

 この日、ドラゴンの肉を使った料理が大量に出され、お祭になった。

 


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― 新着の感想 ―
[良い点] …まさかの偉そうなエルフ…名無しの糞への凄いザマァとは!…やったぜぇ!!ハハハハハHAHAHAHAHA!ザマァ!!!(笑)…倒された男、名前は“見かけ倒し糞男(くそお)”か…覚えとくぜ!(…
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