おはぎ
エレナは、次の日にはいつも通りに見えるよう振舞っていた。
だけど、まだ少し元気が無いように見える。
元気を出してもらおうと、以前買った小豆を使い、おはぎを作ってみた。
一応あんこは〝こしあん〟と〝つぶあん〟で2種類、それに〝きなこ〟で作った。
小豆はあれから買えて無いし、同量の砂糖も使う。
金額的には高級品になってしまった。
もっと気軽に食べられるようになりたい。
結果から言うと、エレナよりも母様達エルフの反応の方が良かった。
豆腐の時もそうだが、豆関連で何か作ると喜ばれる。
やはり日本食とエルフの相性が非常に良い。
エレナも美味しいと笑顔を見せてくれたので、作ったかいはあった。
「なあ、〝こしあん〟と〝つぶあん〟どっち派?」
「どっちも美味しいと思うけど、どちらかと言えば〝こしあん〟かなぁ」
僕はそれほどこだわりは無いけど、ピエリスやアイリスが派閥に別れて意見を飛ばす。
ヴィルト、ピエリスは〝つぶあん〟で、アコとアイリスが〝こしあん〟だ。
議論に参加していないエレナと母様だけは、静かにおはぎを口に運んでいる。
「アメリア様はどっちですか!?」
「……きなこ」
「「………」」
好みの問題なので、優劣をつける必要は無いと思う。
明日にはルナマリア神聖国を発つ。
なので今日は、午前中の内に教皇猊下へ最後の挨拶をしに行く。
おはぎは朝食の後に出して正解だった。
そうでなければ、お土産に持ってけるほどの量を確保できなかった気がする。
お土産用に包んでいると、皆からの無言の視線を背中に感じる。
独占したいのかもしれないが、時間が経つと固くなるし、食べ過ぎれば飽きる。
こういうのは、ほどほどが一番だ。
ピエリスを伴って大聖堂まで来た。
ほとんど待たされる事無く通してもらえたのでありがたい。
手土産を係の人に渡すと、簡単に説明はしたが、少し離れた位置で中身を確認している。
訝し気な顔をしているが、なぜだろうかと不思議に思っていると、ピエリスが答えをくれる。
「見た目じゃないですかね?」
「え、形が崩れたりはしていないはずだけど」
「形もそうですが、色的にも馴染みが無いのでは?」
「ああ、そっか」
おはぎの見た目に当然ヴィルトや僕は違和感を覚えない。
ピエリス達は不思議に思っても、僕が作った物だからと食べてくれる。
しかし、全く知らない人達からすれば、そういうものなのだとは認識されないのは当然だ。
う~ん、良かれと思って持ってきたが、これは失敗だったかもしれない。
判断に困ったのか、教皇猊下の元へと運ぶ。
教皇猊下は表情に出さないので、逆に内心どう思っているのか分からず、ちょっとあせる。
「……ユーリオン殿下、こちらは菓子なのですね?」
「はい、甘い菓子なのですが、もしも見た目が気になるようでしたら、無理には」
「いや、確かに正直に言えば戸惑いを感じておりますが、せっかくのご厚意を無下にはできません。
それに甘い香りは食欲をそそられます。ぜひ頂きましょう」
おお、流石は国のトップ。
物おじせずに挑戦するとは。
僕は虫料理に挑戦できなかったので、その姿勢には尊敬の念を覚える。
「では、まずは私が」
「不要だとは思うが仕方あるまい」
側にいた男性が味見という名の毒見を行う。
必要な行為だと理解しているので、失礼だとは思わない。
「………これはッ!」
一瞬時が止まったかのように静まり、すぐに周囲がざわつく。
「失礼いたしました。見た目からは想像できない程の美味しさに、一瞬意識が」
いや、流石にそこまでの味とは思えないけれど。
というか、やっぱり見た目が悪いって思ってたんだね……ちょっとショック。
「そこまでか?」
「はい、柔らかくもほど良い食感が有り、少し甘さが強くも感じますが、それが嫌には感じない。
そして焼き菓子なんかとは違い、食べ応えも感じられるので腹にも溜まります。
甘いので確かに菓子には分類されるのでしょうが、私には別の物に思えます」
毒見役の人って食レポまでこなせるのか。
コメントを聞いた周囲から興味を持った視線が注がれている。
教皇猊下が1つ手に取って口へと運ぶ。
「……ほぅ、これは確かに美味い。いや、これは素晴らしい」
「時間が経つと固くなって美味しくなくなるので、お早めにお召し上がりください」
「この美味さでは、すぐに無くなってしまいますな。ええ、後で分けて頂きましょう」
挨拶に来ただけなので、10分ほどお話しが終わる。
本来は忙しい方なので、あまり時間を取らせるのも申し訳ないしね。
「ブクマと評価が欲しい 君はそう言った。 私に歯向かった罰だ その望みを絶つ
ホージョーエムゥっ! 何故君が小説の勉強もせず、物語を描く事ができたのかッ!
何故閲覧数に比べブクマと評価が少ないのかッ! 何故投稿後に心が痛むのかぁッ!」
「それ以上言うなぁッ!」
「その答えはただ1つだぁ」
「やめろーッ!」
「ホージョーエムゥっ!
君の作品がブクマと評価をするに値しないツマラナイ存在だからだぁッ!!
ハッハハハハァっ!!ヴぇッハハハハっ!!!」
「僕の作品がつまらない……?………嘘だ……僕を騙そうとしている
………うわあああああっっっっ!!!!」




