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夢の物語  作者: 日花梨遊
始まる物語(ストーリー)編
12/15

修行の間に ①~それぞれのコト~

前回の夢の物語!

ライブを終えた俺たちは、WMCに挑戦するためプロフィールを書いた!

終わって体育館で運動しに行こうとすると、突然父さんが家に来て⋯⋯


「奏の部屋にある、オーラ観測装置⋯⋯そこから、お前達以外の反応があった。 今の所それが敵か味方かは分からない。 だが万が一敵だった時のため、これから約1ヶ月修行をメインに活動をしてほしい。」


敵か味方かもわかんないけど⋯⋯とにかく強くなるために修行しなくちゃ!

色々わかるかもな第12話!ご覧あれ~!

修行を始めて約2週間がたったある日のこと。

勇達はいつものように修行をメインで行い、

それ以外は歌やダンスの練習、作詞や作曲をしていた。


「ふっ!はっ!だっ!」

「なんの!だあーっ! 」


勇と黒皇が組手をしている。 それぞれうまく攻撃を避け、攻撃のチャンスを伺っている。


「そこだーっ!」

「!でりゃーっ!」


お互い攻撃しようとするも、拳と拳が当たる。

拳を離すと赤くなっており、どのくらい力が入ってたかわかる。


「よっ、と……」

「っと……」


後退し少しだけ距離を置く。


「イテテ〜……それは思いつかなかった!」

「お互い考えることは同じってわけか……もっと読まないとな。」

「おいおい、考えることが一緒なら読んでも同じなんじゃねえか?」

「そうじゃなくてこう、もっとパターンを増やすってことだよ。」

「パターン?」

「たとえば相手が殴りかかってきたとする。 そんな時はただ回避するんじゃなくて……」

「あがっ!?痛てぇ!?いきなりなにすんだよ!?」


急に勇の腕を掴み、手刀を喰らわす。


「こんな感じで、色んなパターンを考えておくんだよ。敵はどのくらい強いのか、どんな方法で戦うのか、どんな能力を持ってるのか…… 何もかもわかんないからこそ、パターンを多く作っておくんだよ。」

「なら……」


勇は接近し、真正面に来たところでしゃがむ。


「!そのパターンは既に!」


体をずらし、腕をバツ字に組むことで腹だけではなく顔もガードする。


「!?なんだと!?後ろから⋯⋯!」


勇はしゃがんだ瞬間に後ろに回り込み……


「だあっ! 」

「ぐうっ……!」


そのまま背中めがけてパンチ。 黒皇はのけぞった後ふらつきながら足を前へ。

なんとか立ち直すも、そのまま膝を着き勇の方を向く。


「パターン考えて、もっと強くならなきゃな!」

「……!へへっ、そうだな! お互い笑みを浮かべる。 痛みが引いていくと立ち、勇と話し始める。」

「黒皇、もっと激しく修行しねえか?」

「激しくか……けどここじゃあまりできねえぜ?」

「だからこそ屋上を使うんだよ!」

「……ん?屋上って、入れないんじゃなかったか? というか、そもそも何処から入ればいいんだ?」

「俺にはわかるぜ!屋上に入る場所! 今から案内する……といってもすぐだけどな。 あ、なんなら3人も……ねぇみんなー!」


剣の素振りをしていた一瞬と、ボイトレをしていた花と心を呼び、階段前まで移動。


「こんな所にあるのか?」

「ああ!よっ、と!」


鍵がかかってないことを確認し、 扉を開ける。


「おお……階段が!まさかこの先に?」

「じゃなきゃここに案内してないって! とりあえず行くぞー!」


着いたと同時に扉を開け屋上へ。 今日も変わらず気持ちのいい風が吹いており、眺めも綺麗だ。


「まさか屋上に入れるとは……2次元の中の設定だけだと思っていたが。」

「俺も最初は驚いたよ。けど開けてあるってことは、入ってもいいってことだろ?」

「確かに!じゃあここで?」

「ああ。全部中でやると危ないだろ? せっかく学校の屋上っていう素晴らしいものがあるんだし、修行をするときは屋上、歌とダンス練するときは 中……で、たまに屋上!っていうのはどうだ?」

「いいですね♪もしかして今から……?」

「おう。飛んでやってみたりとかな!」

「!それだと危ないです!」

「で、でも俺たち自由に……」

「それでもです!もし屋上から落ちて、大怪我でもしたら……!ああっ!」

「は、花。だから俺たちは別に……」

「貴方もです!黒皇さん! 余裕を持ってはいつか後悔することになります!」

「……ク、黒皇。」


勇は近づき、耳元で話す。


「どうした。」

「今は花の指示に従っていよう。確かに、万が一戦えなくなったら困る……」

「ああ、そうするか……」

「花、確かにお前の言う通りだ……たしかに危ないよな。」

「!ありがとうございます!なら……!」

「なら?もしかして何か……」

「はい!皆さん、少しだけ後ろに!」

「えっ、こ、こうか?」

「はい!では……」


手に魔力を込め、詠唱を始める。


「『魔力で作られし防壁空間よ、この屋上を包み衝撃と落下から我らを守りたまえ』。」

防壁空間(バリアー・ドーム)」!


魔法を放つと、ドーム(空間)が屋上を包み込む。


「おお!前と違って透明だ!これって…… 」

「お察しの通り、色があると違和感があるので……」

「確かに修行中に来られちゃまずいからな。」

「はい!もっと私も強くなりたいので!

この魔法を使って、色んな人を笑顔に!」


2人が話していると、突如心が話しかけてくる。


「……あの、よろしいでしょうか?」

「ん、どうしたんだ?」

「 皆さん当たり前かのように話しておりますが…… 飛ぶ、って……どうやっているのですか?」

「……あっ、そういえば説明してなかったな……

じゃあ今説明するか!」

「はい!この機会に知りたいです!皆さんのことを!」

「よしっ、ならまずは部室に戻るか~」


5人は部室に戻り、丸くなって話すことにした。


「心、黒皇達と一緒に俺たちのことで話していたって聞いたけど……どこまで聞いたんだ?」

「えっと……趣味のことだけです。」

「おっ、なら沢山話せるな! じゃさっそく、最初はこのことから!」


──まず、俺達はそれぞれ、俺が「夢野一族」、黒皇が「闇野一族」、花が「望月一族」一瞬が「龍星一族」っていう一族の一人なんだ。

偶然かもしんねーけど、昔からこの4つの一族は関わりがあったらしい。

それぞれ解説すると、夢野一族は普通の人より()()()()()()()、そのおかげでとある能力を持っている。それが、「想像したものを出したり再現する事ができる」っていうものだ。 例えばただの木一本なら全く疲れないが、大きな大木となれば少し疲れたり……


「……!あの時倒れたのって、まさか……!」

「そそ。この能力を使うにはオーラと体力を消費するんだ。それにあの時疲れていたのと、4人に分けるのもあって倒れちゃったってわけだ。 自分で作って、かつ想像した物なら普通はあまり消費しないが、今言った2つが重なったからな。」


後は……そうだな。消費量は物によるんだ。木とか草の自然系なら消費量は少なめ。 机とか椅子とかの家具なら普通くらい。一軒家とかビルの建物系なら多め。って感じかな?あっ、あと1つ紹介するなら……お金。

10円は全く、100円は少し、1000円なら普通くらい、1万なら少し多め……もちろん1枚につきその分足すから、100万なら……そうだなぁ……数で表すなら60%くらいかな?


「そうなんですね。

……もしかして、勇さんの部屋に限定フィギュアやブルーレイボックス、CDアルバムが多くあったのは……」

「俺が能力でお金を出してるからさ。最初は上手くいかなくてほぼ偽札だったけど、今は……」


1000円の形を思い浮かべ、手に出す。


「この通り、ちゃんとした形で出せるから通貨偽造罪……だったっけな?に問われる心配は0! もちろん盗んだっていう証拠もないから、能力を使ったっても捕まんないっつうわけさ!」

「凄いですね……!あっ、1つ質問なのですが……命を出す……で合っていますでしょうか……?それはできるのですか……?」

「命か……出すことは可能らしい。 俺も夢野一族の出来事が書かれている本の中でしか見たことがないからわかんねーけど、命を出すにはオーラと生命力を最大まで消費するんだ。

それも活力とか元気がないってことじゃなくて、「生きるために必要なエネルギー」なんだ。 まぁ一言で言うなら……自分の命を引き換えにできるってこと。けど例外があって、生命力が生まれつき異常なほど強い人は生命を作り出しても死ななかったらしくて、一日三食バランスよく、8時間の睡眠をしたら回復して運動もできたっていうのがある。

あくまでその人だけで、普通の夢野一族ならできないし、なんなら俺もその中の一人かもしんない。傷の回復ならやったことはあるけど、命はやったことがないからな……まぁ、そもそもそんな状況があるのは嫌だからな。だからこそ強くなるんだ。もっと、色んな人を守れるために。

……これ以上、人がいなくなるのは見たくないんだ。」


「勇さん……」

「まぁこんなところかな。じゃ次は黒皇!」

「あ、俺は長くなりそうだから先に花でいいよ。」

「そうか?なら花、頼んだ!

「はい!」


──望月一族は、先祖代々魔法を使ってきた一族です。

魔法が無かった古代の時代、性を望月、名を千代と名乗る一人の人間が、ある本を見つけ出すんです。

彼女はその本の解読に生涯を費やし、残り数ページの所で息を引き取ってしまうのです。

その後は彼女の子孫が解読を引き継ぎ、魔法の基礎となる、「魔術の書」を完全に解読することに成功しました。その本を元に数々の魔法が生み出され、今では30種類以上の魔法が作られています。

火、水、風、雷、光、闇……など属性に関するものや、体力回復に体力増強、攻撃力向上、防御力向上、素早さ向上など、多種多様な魔法があります。 現状存在している本は全て私の実家にあり、習得が簡単な魔法から難しい物まで……私の場合まだ初級しか習得出来てませんが、それでも属性を活かしたりすれば相手に大ダメージを与えることも可能なのです!


「 花さん、質問よろしいでしょうか?」


紹介が終わると、心が花に質問を投げかける。


「いいですよ。」

「えっと……魔力はどうやって取得したのでしょうか……?」

「取得するというよりかは……生まれつきあるものなんです。一族特有のもので、望月家以外が持つ方法は今の所見つかっていないのです。」

「そうなのですか……」

「心、もしかして一緒に戦ったりしたいのか?」

「はい……私も戦闘面でお役にたちたいので!」

「なら俺に任せておけ!」

「ですが魔力は出せないのでは……」

「やってみなきゃわかんねーって!こんな時こそ夢野一族の能力を使うんだ!

花、ちょっといいか?」


花の胸あたりに手を伸ばす。

x

「きゃっ!ちょっと、勇さん……!?」


花は恥ずかしがりながら言う。


「静かにしてて!今やってるから。」

「えっ?は、はいっ……」

「んー……んー?んー……」


首を傾げながら想像する。

しかし……


「んー……だあぁ……」


そのまま床へ倒れてしまう。


「勇さん!?大丈夫ですか!?」

「あー……ごめん無理! 」

「勇、お前今何をするつもりだったんだ?」

「いやー……花の魔力の形を読み取って、想像して……心に分け与えようと思ったんだけど……無理だ~……誰かの能力とかになるときついみたい……けど、いつかやってみたいなぁ……」

「とりあえず続けようぜ、 一瞬!紹介頼む!」

「ああ。」


──俺達龍星一族は先祖代々、剣を主に使用し戦ってきた。

個人が持つ専用の刀。そして代表者のみが使用できる、「龍星丸」を武器にな。


腰に携帯していた二(ふり)の日本刀を床に置く。


「やっぱこう見ると持ち手綺麗だよな~…… 龍星丸には主体は青で金の柄糸、瞬斬刀には主体は銀で緑色の柄糸が巻いてあるッ!」

「褒めるなら先代の方と父に頼む。 父は母が死んでから性格が悪くなった……今でも恨むほどな。だがこの刀を使わない理由にはならないからな。」


……で、俺は主に瞬斬刀を使っている。 瞬斬刀は俺専用の刀で、持ち手や刃、(つば)やの部分も俺の希望通りに作られてある。

受け取った時は10歳の頃だったな……その頃は大きすぎる とただ思っていたが、今はもう慣れた物だ。

そして龍星丸は、永く全ての龍星一族の人間に使われる目的で造られた。「多くの敵を薙ぎ倒す龍と星の剣」という名の通り数々の強敵を打ち倒してきた栄光の剣だ。 今でも新調を重ね、切れ味を増している。


「──他に何か紹介することはないだろう。

黒皇、お前が言っていた、『長くなる』とは地元の紹介も含めて、だろう?」

「あっ、それって、自己紹介に書いてあった……!」

「ああ!じゃあ早速紹介していくぜ!」


──闇野一族は闇を扱う一族で、今でも稀な闇属性を基本の属性としていたんだ。


「……あの、黒皇さん。」

「ん?どした。」

「花さんの時は魔力のことで聞けなかったのですが…… 属性とはどのようなものでしょうか……?」

「属性はオーラを解放した者なら誰しも持ってる性質みたいなもんさ。例えば火とか水。風に雷。ここら辺はメジャーだが、一族特有の属性もあるんだ。 勇なら白と夢。俺なら闇。3つとも夢野一族と闇野一族しか持てない。あとは性格にもよるかな。 明るく活発的なら赤系、クールで頭がいいなら青系、優しくマイペースとかなら黄系……とかな。 因みに、属性はオーラの色と一緒になることがある。もちろん解放した人しか見えないが、扱いが上手かったり慣れている人なら見ただけで何属性かわかるらしいぜ!」

「すげぇな!たしかお前ん家って本が何冊もあったが…… そこから?」

「んー……俺はどちらかと言うと学んだが正しいかな。」


地元の名はダクティスっていう帝国だ。 最初は小さな村だった。それからナイツ、そしてメアっていう名の2人の皇帝と女帝様が即位した事で成り上がってきて、10年経った頃には巨大で立派な帝国が出来上がってたんだってさ。ただ子供を作るだけじゃなく、軍を作り倒した敵軍の兵士たちを軍に加え人口を増やすと共に戦力を補強したり……そうしてどんどん強くなっていった。俺はそんな素晴らしい国の軍の元で一人の戦士として、3歳の頃から教育と特訓を受けてきたんだ。

……けど、その「素晴らしい」が表面上の物じゃなかったらもっと楽しめたと思う。


5歳の頃の話なんだけど、俺はいつものように軍の兵士たちと修行をしてたんだ。


「ハッ!ダッ!タァーッ! 」


台の上でクロスと兵士が組手をしている。


「うわっ!? 」


外に押し出して勝利。


「そこまで!勝者、クロス!」

「やったぁ!」

「やっぱクロス君は強いな~……どうやったら勝てるのか全然わかんない!」

「へっ!もっと強くなって出直して……あだっ!?」


教官に肩を本で叩かれる。


「調子に乗るな。お前の悪い癖だぞ。」

「はぁい……ちぇっ。」

「全く……それでは今日の訓練は終了とする。各自寮に戻れ!

「「はい!!」」

「……はぁい!


少し不機嫌そうになりながらも自室に戻る。 時間が経ち、夜中1時。


「うう……こんな時間にトイレ行きたくなっちゃった……」


クロスは深夜にトイレに向かっていた。 何とか辿り着き、数分すると出てくる。


「はぁ……すっきりした……」

「やめろ!!やめてくれ!! 」

「あれ……?なんだろう……?」


奥の方で叫び声が聞こえ、その声のする方へ歩き出す。


「お前たちは仲間が必ず……!!必ず殺す!!! このゲス野郎どもめェェェーーーッ!!! 」

「そんな事を言えるのも今のうち……さ。」


だんだん大きく、はっきりと聞こえてくる。


「ここ……かな?

……!」


クロスはその光景を見た瞬間、恐怖しながら少し後ずさりしてしまう。


「我々の仲間となり共に戦えることを誇りに思うがいい……安心しろ……しっかり衣食住は保証しようじゃないか。

……では始めるぞ。」

「はい。ハァッ……! 」

(あれって、軍長さんと副軍長さんだよね……?!)


副軍長が敵軍の特攻隊長を拘束している。

副軍長は目を閉じながら隊長の頭を掴み、念を送っている。


「ぐっ……!!あっ……!!があっ……!! やめろ……ッ!!!」

(お前は私たちの兵士となり戦うのだ……友も家族も捨て、ただ敵を殲滅をするのだ……)

「あっ……あが……ああっ…… 」


隊長はだんだん抵抗を無くしていき、遂には気絶してしまう。


「あっ……ああ……!!」


クロスは恐怖で震えながらも見続ける。


「フフフ……これで君も我々軍の兵士だ。副軍長、彼を起こせ。」

「承知いたしました。」


副軍長が軽く揺らすと、隊長が目を覚ます。

しかし目には生気がなく、光が灯っていない。


「おはよう。目覚めはどうかね?

「私は……ここは……一体…… 」

「ここはダクティス。そして君はこの国の軍の兵士だ。私は軍長。目の前にいる者は副軍長だ。」


そう軍長が言うと、一気に光が灯り顔を上げる。

それが分かると副軍長は拘束解く。


「軍長様、副軍長様…… 私に何か?」

「いや、もう終わった。」

「そうですか?

なら、私は…… 」

「ああ。寮に戻っていいぞ。

部屋は176号室だ。」

「はい。では失礼します。」

「(!どうしよう……来る!)


クロスは咄嗟に物陰に隠れる。 特攻隊長は部屋から出るも気づかず、176号室まで向かった。


(良かった、バレなかった……けど2人にはバレちゃうよね……?!早く僕の部屋に……!)


静かにその場を離れ、自室まで向かう。


(はあっ、はあっ……!あれ……?こっちだっけ……?)


寮内は広く、子供だと何名も迷った事例がいくつもある。 クロスも迷ってしまい、焦りながらも自分の部屋を目指しそのまま走り出す。

いつもより時間はかかったもののなんとか自室へ着く。


「良かった……やっと…… うっ……!?」


扉に手をかけた瞬間、何者かによって気絶されてしまう。

そして時間が経ち……


「あれ、ここは……?」


黒皇が目覚めると、そこは自分の部屋とは全く違う別の部屋だった。 機械音や、ビーカーの中に入った謎の液体が「ゴポゴポ」と沸騰する音……

そして奥のテーブルには女性らしき人が座っていた。


「お目覚めかい?クロス君。」

「あ、貴方は……?」

「私?そうだな……ヨル、とでも呼んでくれ。」


メガネをかけており、髪型はポニーテール。

白衣を着たヨルと名乗る謎の女性がいた。


「う、うん……えっと……その……ヨルさん。」


震えそうな声でヨルの名を呼ぶ。


「なんだい?」

「ここはどこなの……?」

「ここは私の研究室。勝手だけど、君は私が預からせてもらったよ。」

「ど、どうして……?」

「君はあの光景を見てしまった……本当の意味での闇を……

あれを見た時、君はどう思った?」

「えっと……なんであんなことをするのかな……って……」

「……そっか。軍の入隊式で聞いたと思うけど、この軍は倒した軍の人達をこの軍に入れて強くしていってる、っていうのは分かるよね?」

「う、うん……」

「でも、それは全くフレンドリーじゃなかった。 聞いたところ、君は性格が少しヤンチャだが軍に忠実みたいだね。 君は受け入れられるかい?この史実を……」


そう言われると、クロスは首を横に振る。


「そうだよね……私も初めてこの事実を聞いた時はとてもショックだった。

けどこれは事実なんだ。言い換えれば…… この軍は、 悪い悪くない関係なしに色んな人を倒して略奪を繰り返してる悪い奴らってこと。」

「そんな……じゃあ……僕は……僕は……」


涙が零れ、同時にクロスの中のオーラが怒りとともに大きくなっていく。 それを感じとったヨルは、クロスに近寄り抱きしめる。


「辛かったよね……急に現実を見せられて。 それに君は正義感が強いんだね。良かった……見間違いじゃなくて。 ねぇクロス君。君のその正義感があれば、ここの人達を救える。私と共に行かない?」

「えっ……?けど……」

「お姉さんわかるよ。君の親、既に居ないんでしょ?」

「えっ……そう……なの……?」


引っ込んだ涙が、再び零れてしまう。


「クロス君……もしかしてこれも知らなかった感じか~……仕方ないよね……君は兵士で昔から…… とにかく、お姉さんが君のお母さんになってあげる! 最初の方は混乱するかもしれないけど……慣れたらきっと大丈夫! どう?お姉さんと一緒に来ない?悪い闇じゃなくて、正義の闇にするために!」

「せいぎのやみ……!かっこいい……! うん、僕行く!」

「いいね、その意気だよ! じゃあまずは準備しないと。 まずは……よっと!これを付けて……クロス君も付けて!」


ポケットから青い腕輪のようなものを2つ取りだし、 黒皇に渡す。


「こ、こう……? 」

「そう!えっと、196号室に……あった! じゃあクロス君、私に捕まって!」

「う、うん……!」


クロスの部屋である196号室へ瞬間移動。


「っと……じゃ、私は待ってるから準備しちゃって!」

「うん! クロスは荷物をカバンに入れ、服も着替えて準備が終わる。」

「終わった?なら……よっと! クロスを抱っこする。」

「ヨ、ヨルさん……?」

「ちょっと走るよ!ゴー!」


部屋から出て、走りながらある場所を目指す。 走っていると、寮内にアナウンスが流れる。」


「緊急事態発生、緊急事態発生! クロス様が何処かへ逃走した模様! 至急警備体制を強化せよ!」

「まぁそうなるよね!とにかく急がないと!」


サイレンが鳴り響き渡るも、ヨルは走り出す。


「はあっ、はあっ……!」

「!そこの女何をしている!今すぐクロス様を下ろせ!」

「やばっ!?早くたどり着かないと!」

「!待て!!」


警備員に追いかけながらも走るが、中々たどり着けず行き止まりへ。


「あちゃ~……!ヤバいかも~……!」

「追い詰めたぞ……!大人しくクロス様を渡せ!」

「その答えはノーだよ!」

(あーもー!ピンチのくせに何言ってんの私!?こうなったら最終兵器!)

「やあっ!」


壁にボールのようなものを投げつけると、ゲートのようなものが出る。


「飛び込むよ!せーの!」

「!貴様ッ!」


警備員も入ろうとするが、ヨルたちが入った瞬間閉じてしまう。



「!よしっ!なんとか……よくない!!落ちるぅー!?」

「うわぁぁ~っ!? 」


地上20m程の高さの位置にワープしてしまい、そのまま落下してしまう。


「こんな時こそ!これを!」


白衣のポケットからもうひとつ別のボールを取り出し、地面向かって投げる。すると大きなエアーマットになる。


「クロス君!」

「よ、ヨルさん……!」


優しくクロスを抱きしめ、そのままマットへ落下。


「はあっ、はあっ……大丈夫、クロス君……?!」

「うん……なんとか……!」

「良かった……で、ここは何処だろう……まずはそこから調べて、住む場所を考えなきゃね……

まぁ、これからよろしくねクロス君!お姉さん頼りないかもしんないけど……頑張るから!」

「うん!よろしくお願いします!」


「⋯⋯って事があってさ。」

「凄いな、よくそこまで……」

「色々と衝撃的すぎて、覚えてるよ流石に……

んで、俺とヨルさんは何とか住む家を見つけて今は2人暮らしてるってわけ!」

そんな過去があったのですね……」

「長くなる理由が改めてわかったぜ……」

「まぁな。とまぁ、解説はこれで終わりってとこかな?」

「そうか、とりあえず心。わかったか?俺たちのことは!」

「はい、色んなことを知れてとても楽しかったです……!

帰ったらまとめなくてはいけませんね!」

「わかったなら、心のことも知りたいな~なんて…… 」

「あっ、えっと⋯⋯それは……」


少し暗い顔をしながら俯いてしまう。


「あ〜……もしかして、聞いたらいけなかったか?」

「いけない訳では無いのではないのですが……すみません。」

「そっか、まあ仕方ないよな!今度でもいいか?」

「はい、今度なら多分……!」

「わかった、じゃあその時まで聞かないでおくぜ。」

「はい……!」

「おう!……どうする?なんか盛り上がったが……今日はこのまま続けるか?」

「もちろん!それに今日は歌ってないしな!」

「じゃ、午後からは逆になるか! そんな感じで……一旦休憩!」


休憩に入ると、心はこう誓った。


(もっと知りたいです……皆さんのこと!)

と。そうすればもっと仲良くなれる。

強くなるためにも、大事なことだから。

音戦人として強くなるため日に日に修行を重ねるDreams。

新たな技を披露しつつも、心は自分の過去について話す。

周りのこと、そしてトラウマを⋯⋯


次回!

「修行の間に!後編 ~ココロ コロコロ カワルモノ~」

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