無自覚の小悪魔
イクス視点です
【注意!】
R15です
読む方によっては不快に感じられる部分があります
合わないと思ったら読み飛ばしてください
リーアの最終試験から1週間。
アンナがまた夜家を空けると言うので、リーアを一人にしないように、夜、仕事をさっさと終えると、リーアの元へと向かった。
今日も2冊の本を持参。
リーアの性教育が終わったと聞いたから、ちょっと早いけど大人の世界の入門編。
そう。
初級編の官能小説だ。
リーアを抱けるようになるまでは、まだまだあと何年も待たないといけないけど、それまでに、いざそういう関係になったときにリーアが戸惑わないように、少し勉強をしてもらおうかと思ったのだ。
初級編とはいえ、官能小説。
あんなことや、こんなことも書かれている。
性教育を終えたとはいえ、リーアには少し刺激が強いかもしれない。
もちろん、それは考えた。
でも。
もちろん自分が手取り足取り教えるつもりだけど、そういう世界があるって知れば、間違いなく、リーアは自分を意識する。
全てはそのため。
リーアがイクスに堕ちていることはわかっているけど、これまでみたいにどこか、家族のようにイクスを見ているリーアが、男として自分を意識する。
小説に書かれているようなことをイクスがリーアにするかもしれないと、リーアがそう思ったときにどんな感情を持つか。
リーアの中の女の芽生えは、想像するだけでゾクゾクする。
そう思って来たのに。
部屋で自分を待っていたリーアの様子は、明らかに今までと違っていた。
いや、駆け寄って抱きついてくるのも、キラキラした瞳で自分を見つめてくるのもいつも通りだ。
でも、違う。
ふと、視線があったとき、身体を離したとき、リーアは微かに頬を染めたのだ。
(え……?)
「リー?今日は、まさか媚薬なんて飲んでないよね?」
「うん?飲んでないよ」
ならばなぜ。
異変はそれだけでは終わらなかった。
お土産を渡して、そろそろ寝かせようとベッドに入ると、リーアはイクスの方に向き合って、胸元にしがみついた。
「ん?どした?リー」
「えっと……キスは、しないの?」
「していいの?リーは、可愛いねぇ」
そう言ってリーアの額にキスをすると、リーアは頬を染めて、違うという。
「じゃ、ここ?」
リーアの、ふくふくしてきた頬にキスを落とすと、リーアは首を振った。
「あの、ね。く、口、に……」
「え……」
リーアの顔は、もう真っ赤だ。
(なにこれ。なんのご褒美?)
思いながらも、据え膳はありがたく頂く主義なので、リーアの小さな唇に、そっとキスをした。
首に、リーアの細い腕が回される。
イクスは、リーアの髪の間に指をくぐらせて、掻き乱すように頭を抱えると、二度三度と唇を重ねた。
呼吸のタイミングがわからないのか、少し息を乱したリーアがこの上なく可愛い。
「大人のキス、は……?」
「……ん?」
(それ、しちゃっていいの?え?ホントに?いやいや、ダメだよね?この子まだ9歳だし?!)
「んー、あのね、リー。大人のキスはリーがもう少し大人になってからにしない?」
「私が、子供だから?」
「まぁ、そうかな」
「や」
(ええっ!?いや、やっ、て言われても……ていうか、や、とか可愛すぎるし?えーっと、うん、ちょっとなら、いいかな)
ガラガラと、イクスの理性が音を立てて崩れていく。
媚薬を飲んだときとは違う。
これは、リーアの希望だ。
それに少しだけなら、そんなにリーアの負担にならないし。
本能が、あらゆる理屈をこねくり回す。
「わかった。じゃ、口開けて、舌出して」
理性が負けた瞬間だった。
「んっ、ふっ……」
(あ、俺これ以上はヤバイわ)
本能の赴くままにリーアの小さな唇を貪っていたが、漏れ聞こえた声に、ハッと我に返った。
粉々になった理性を慌てて集めて、なんとか形にする。
唇を離してリーアの様子を覗えば、既に腕の中でくったりとしている。
(あらら。やり過ぎちゃった)
「リー、これで満足してくれたー?」
「ん……」
リーアは満足そうだ。
1つ大人の階段を上ったのがうれしいのか、それとも純粋にイクスと深いキスが出来たのがうれしいのか。
薄桃色の頬と濡れた唇は、相変わらずとんでもなく、歳に似合わない色気を醸し出している。
リーアは無自覚なのだろうが、当てられるこっちはたまったもんじゃない。
子供体型に発情などする変態ではなかったはずなのに、リーアの色気に、頭はクラクラするし、体も熱を持っている。
(勘弁してよー)
リーアが顔を擦りつけてくる胸は、ドキドキと鼓動が早くなっているが、これだけはリーアに気づかれたくない。
一応、大人の男としてのプライドがある。
余裕がないなんて、気づかれたくない。
(こんな、余裕がないなんていつぶり?)
「このっ、小悪魔が」
「こあくま?」
ウトウトし始めたリーアが口にすると、なんだかクマのぬいぐるみの話をしているみたいな気持ちになる。
どっと力が抜ける。
おかげで、昂っていた気持ちも収まっていく。
「なんでもないよ。もう寝なー」
「うん。朝までいてくれる?」
(え?朝まで?)
いつもなら、深夜のうちに帰るし、リーアもそれで納得していたはずだ。
朝までいても、隣で寝ているのは一桁年齢の子供だ。
そんな、悶々として眠れないなどということはない。
(ない、けど……)
今夜はちょっと、勘弁してほしい。
身体の奥に残っている熱を、何とかしたい。
さすがに、リーアの部屋でするのは無理だ。
「ごめんねぇ、リー。今夜はちょっと、無理かな」
「なんで?お仕事?」
「あー、うん。そんなようなもの、かな?」
ウトウトしていたはずのリーアが、目を見開く。
「……っ!じゃあ、もっかい、キスして?」
「んー、もうだめー」
「なんで?」
(なんで?なんで、かぁ)
どう言ったら、リーアが大人しく納得してくれるか。
そもそも、リーアこんな風にワガママを言うのは珍しい。
「リーこそ、どうしたの?そんなこと言うなんて珍しいね」
「そう、かな?私も、もう大きくなったんだよ?」
(あー、もしかして、反抗期?全然反抗されてないけど)
「リーアの身体がちゃんと大人になる歳まで、あんまりこういうことは、ね?」
(とは言っても、ちょっとくらいリーを脅かしてもいいよね?)
先に進むとどうなるのか。
リーア自身に、どんな感情が生まれるか。
今多少怯えられても、大人になるまでには気持ちもついてくるだろう。
「じゃ、ちょっとだけ教えてあげる」
リーアを脅かすには、手のひらひとつ借りれば十分だ。
イクスはリーアの片手を掴み、手のひらにキスをした。
ピクッとリーアが反応する。
手のひらから、指へと舌をはわせる。
逃げようとする体をしっかりと抱え込んで、逃さない。
「やっ……イクスさんっ、お願い、やめてっ……からだ、へんっ……」
リーアの片手を制覇する頃には、リーアはもう泣きじゃくっていた。
その目元をそっと拭う。
「ね?リーにはまだ早かったでしょ?」
しゃっくりをあげながらも、リーアはコクコクと頷いた。
「いい子。じゃ、とにかくもう眠りな。リーが眠るまでは、ちゃんとここにいるから」
背中に腕を回して、トントンと撫でているうちに、リーアは泣きつかれたのか眠ってしまった。
(はぁっ、まいったぁ)
危なかった。
自信はあったけれど、これでリーアが耐えきって、更に先を望まれてたら、今度こそ理性は崩壊していたと思う。
まかり間違って、まだ幼いリーアを食べてしまったら、たぶん自己嫌悪で死ねる。
一歩手前ではあるけれど、変態にはなりたくない。
この先、ずっとリーアと共にいるためにも。
何しろ、リーアはまだ初潮すら迎えていないのだ。
体だって小さくて、とてもじゃないが女らしいとは言えない。
いや。
別にリーアなら胸がペタンコなままであろうが、お腹がちょっとくらいぽっこりしていようが、大人になってさえいれば全然気にならない。
余裕で抱ける。
ただし、あくまでも大人になっていれば、の話だ。
もっと言えば、今はリーア以外の女を抱こうとは思わない。
まったく食指が動かない。
どんなに色っぽい女が迫ってきたとしても、全然その気にならないし、体も反応しない。
あまりにも反応しないので、男として駄目になったのかと不安になったこともある。
違ったけど。
かと言って、少女趣味になったわけでもない。
リーア以外の少女は、その他大勢のただのガキ。
その辺もちゃんと確かめた。大丈夫だ。
リーアの眠りが深くなったのを確かめて、そっとベッドから出ると、窓を開けて外へと跳んだ。
春の終わりの夜風が顔に当たって気持ちいい。
(あのまま成長したら、リーアはとんでもない小悪魔になりそう。ま、俺相手ならいいけど)
今夜は温めの湯を浴びるだけにしておこうと思いながら、イクスは夜の闇に消えていった。
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