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兆兆発止 第2部 学園戦争  作者: ぱんろう
粛清委員会編
54/109

54話:万能ツボ

黒部は、手に突き刺さった針を一本一本抜いていた。

「黒部…お前、よくここまで…」

「ええ。すけコンビや宮ケ瀬のおかげで。ぐっすり寝たんで、頭もより冴えてます。」

うずくまった新見が立ち上がる。

「本田!そいつも捕まえろ!そして、ヤキモチでやけどを!」

だが、本田は黒部を捉えようとしない。

「本田さん、わかってますよね?俺の兆能力。」

新見が本田を怒鳴る。

「てめえ!相撲部が結果を残していないのを見逃してほしかったら、自分の痛みも覚悟でやりやがれええ!」

本田は言われた通りに黒部を捉えた。しかし、赤くしていた手を元に戻す。新見は鬼のような形相で本田を見ていたが、何かを閃いたようだ。


「本田!手をそいつの口に突っ込め!窒息させるんだ!」


「そんなむごいことは!」

「いいからやれえええ!」

「でも…」

本田が戸惑っている。新見はその様子を見ていらいらしていた。それが、視野を狭くした。

「お前、俺が近づいてきていたのを忘れたのか?」

「しまった!」

篠原が新見の目前にまで迫っていたのだ。篠原は右ストレートを新見の腹部に命中させる。

「ごぐ!」

新見はその場でうずくまる。篠原はそこにラビットパンチをぶつけようとする。

「篠原さん!落ち着いて!やりすぎです!」

「はっ!」

黒部の声にはっとした篠原は、拳を止める。新見はうずくまって、下を向いたままだ。篠原は、そんな新見を見下していた。

「本田、これでわかったろう?生徒会は、クイズ研究会よりもよっぽど汚い。人の命を容易に奪おうとする。」

篠原が本田に語りかける。本田は下を向いたまま一言も発しない。そのとき、数本の針が本田の腹部に刺さった。

「ぐぬ!」

本田は、捉えていた黒部を放し、その場でしゃがみ込む。

「本田!…てめえ!」

篠原が新見を見たとき、驚愕した。新見が、自身の手に針を刺していたのである。

「お前ら、人間の潜在能力を引き出すツボって知ってるか?」

新見は、親指と人差し指の骨が交わる場所、合谷(ごうこく)に針を刺していた。数あるツボの中でも、万能といわれているツボだ。しばらくすると、新見の姿が消えた。

「どこに!」

篠原が辺りを見回していると、目の前に新見がいた。

「こっちだよ。のろまが。」

新見の拳が篠原の腹部に命中する。

「!!」

篠原は腹を押さえてうずくまる。彼はボクサーだ。腹部へのパンチなど打たれ慣れているはずだ。そんな篠原が、うずくまっているのだ。

「篠原さん!」

黒部が篠原を気にかけていたときには、新見の姿が消えていた。黒部は後ろに殺気を感じた。そう、新見は黒部の背後に回り込んでいたのだ。新見の針が、黒部の首に針を刺そうとしていた。

しかし、針は黒部に届かない。新見が腕を伸ばそうとするも、なぜか届かない。黒部がそっと口を開く。

「そうするだろうと思っていたよ。」

「!」

「原理はわからんが、自分のツボを刺激することにより、身体能力を強化したんだな?」

「なぜだ!なぜ届かない!」

新見は焦っている。それと対照的に、黒部は落ち着き払っていた。

「俺のアンチ・スケープゴートの弱点、それは、死に直結する痛みは押しつけられないというもの。針を使うお前なら、首の後ろ、頸椎を狙うだろうな。死に直結する痛みを与えるために!」

黒部は振り返り、新見の腕に触れる。


「それを見据えて、ここに立っていたんだ。馬鹿なお前にはわからなかったろうがな。」


新見の制服には釣り針が引っかかっていた。

「これは!」

新見が振り返ると、八ッ場が青いオーラを発しながら釣り竿に力を込めていた。

「そうだ。僕がお前を釣ることで、動きを止めているのさ。黒部がいいところに立ったおかげで、釣りやすかったよ。」

八ッ場が意識を取り戻していたのだ。釣られた状態の新見は思うように腕を動かせない。黒部が足をストレッチさせていた。

「篠原さん、先に一蹴り入れても?」

「ああ。その後に右ストレートをぶつけてやる。」

体勢を立て直した篠原が新見のもとに近寄っていた。新見はじたばたしている。

「やめろおお!僕が悪かった!」

そんな新見に黒部が蹴りを入れようとしたとき、手が餅のように伸びてきて、新見の顔面にぶつかった。

「ぐぐい!」

新見はそのまま気絶した。黒部と篠原が振り返る。腹部を押さえながら、本田がやりきれない顔で立っていた。

「本田…お前…」

「…」

生徒会本部は、しばらく沈黙に包まれた。最初に沈黙を破ったのは黒部だ。

「向こうで宮ケ瀬や荘介、早明浦さんが倒れてました。あの人たちも担いで、いったん保健室に行きましょう。本田さん、あなたもです。」

「!…ああ、すまない…皆…」

生徒会本部に集まった部員たちは、保健室に向かうため、生徒会本部を後にするのであった。


屋上の善永となぎさは危機に瀕しているままだ。

腹部に傷を負いながらも、善永は立ち上がっていた。そんな善永に指を差していた有賀が感心していた。

「流石だねぇ。彼女を守るために、影を作っているのだね?素晴らしいなあ。愛の力は!」

有賀は指を光らせる。

「その覚悟を認め、まずは君を倒そう。」

有賀が光のビームを発射する。もはや、これまで…と思ったそのとき、善永の目の前に泥の壁が出現した。


「善永さん。あなたらしくない。あなたの力はこんなもんじゃないでしょう。」


青色のオーラを発している一太が、そこにはいた。


善永の挑戦状:親指と人差し指の間に位置する、押すと非常に多くの効果が期待できるツボは何?


前回の『善永の挑戦状』答え:太陽

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