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兆兆発止 第2部 学園戦争  作者: ぱんろう
粛清委員会編
41/109

41話:犬の鼻

「嗅覚だと!?」

善永は黒部を凝視する。

「そうだ!お前、だいぶ走ってきただろう!?おそらく、途中で八ッ場さんの力も借りているな!ならば、目で追う兆能力ではない!」

善永は瞠目する。黒部は続けた。

「心拍数でもないな!それだけでお前を特定するのは難しい!音は論外だ!」

善永が炎の弾から逃げ回ることで築き上げた考察を、黒部は数秒のうちにやってみせた。さらには、善永が導けなかった答えも明らかにする。

「嗅覚なら、個人差も出やすいし、相手を探すのにうってつけだ!それで特定されているんだ!」


校舎の一室、2人の生徒が青色のオーラを発している。片方は山南だ。何かに集中している。もう片方は、女子生徒の沖田だ。

「彼、右に曲がりました。」

「ああ。」

沖田が指示する。山南はこれによって、善永を見ずして、炎の弾を追尾させることができているのである。

「彼の匂い…いいですね。好きになりそうです。」

「余計なことを言うな。お前はその『ドッグノーズ』で、奴がどこに行ったかだけを教えろ。」

「はいはい。わかってますよ…」


黒部、正解である。そんな黒部は、善永にアドバイスをした。

「善永!対処法は簡単だ!匂いを変えればいい!確か、この先にゴミ捨て場があったはずだ!突っ込め!」

「それは嫌!黒部!お前、香水とか匂い変えるもの持ってないのか!?」

「俺はないな…宮ケ瀬がプワゾンを持っているんじゃないか?」

「プワゾン!?ディオールは嫌いだ!やっぱりゴミに突っ込む!」

「なんでだよ!いいだろ!ディオール!」

「とにかく、助かったぜ!黒部!ありがとな!」

善永はゴミ捨て場がある方に一直線で向かっていった。


「まずい…ゴミ捨て場が近づいてきた。あそこは嫌いなんです。ドッグノーズ解除してもいいですか?」

「いいわけないだろ!」

沖田は苦い表情をしながら、善永の現在位置を特定し続ける。


善永は、ついにゴミ捨て場に飛び込んだ。炎の弾がその場でくるくるし始める。


「うげええ!すみません!やっぱ無理です!」

沖田は、口を押さえながら教室を出ていった。

「おい!待て!くそっ!これじゃあ、奴を追えない!」


しばらくくるくるしていた炎の弾だったが、ついに消滅した。

「黒部の言った通りだ!」

善永はゴミ捨て場から出る。

「さて、山南の野郎をぶっ潰す時間だ!まずは、あの人に電話を…」


その山南は、廊下に出ていた。周囲を気にしながら、窓の外に目をやる。

(沖田はゴミ捨て場と言っていたな…おそらく、そう遠いところまでは言ってないはずだ!)

そのとき、どこからともなくビームが飛んできた。山南は驚くも、なんとかそれをかわした。

「川路善永!?」

「見つけたぜ!山南!」

廊下に善永が立っていた。スマートフォンを手に持っている。通話状態になっていて、その相手は八ッ場であった。善永は、八ッ場のエニィウェア・フィッシングで山南の側に来るようにリリースしてもらったのである。

「なぜここが!」

「ふふ。ゴミ捨て場で相手を嗅ぎ失ったとなると、当然目視で相手の位置を確認したくなる。お前、まんまとそうしたな!それであっさり見つかったんだよ!」

善永は高笑いをしていた。それを見た山南が、激昂した。

「うるせえええ!お前のせいで野球部の評判ガタ落ちなんだよお!お前は絶対に許さない!」

「それはこっちのセリフだ!斎藤さんと本田さんをあんな目に合わせておいて…!」

「どういうことだ!」

「しらばっくれんじゃねえ!」

善永は拳にオーラを纏わせながら、山南に殴りかかろうとする。

「ちっ!」

山南は手の平から炎を出し、それを弾のように投げた。

『炎玉弾』

善永は、飛んできたそれを避ける。が、炎玉弾は軌道を変えて、再び善永めがけて飛んでくる。善永は、山南を攻撃するのを諦め、逃げることにした。

「待ちやがれ!」

山南はそんな善永を追いかけようとする。そのとき、善永が急にしゃがんだ。

「!」

炎玉弾はそのまま善永の頭上を素通りする。それを確認した善永は、逃げるのをやめて、再び山南に向かってきた。しかし、炎玉弾もとんぼ返りして善永を追いかける。

「馬鹿が!そんなもので避けたつもりか!」


「馬鹿なのはお前だ。んなわけねーだろ。」


「!」

山南は、あることに気がつく。善永が、青いオーラを発しながら、目をつむっていたのである。さらに次の瞬間、山南の顔の横をビームが通った。

「これは!」

そのビームは、善永の側も通り過ぎ、後ろから追ってきていた炎玉弾に命中した。それらは相殺し合って、ついに消滅した。

(こいつ!俺の背後に視界を設置して、そこからアイビームを発射したのか!)

善永は拳にオーラを纏わせている。そしてついに、壱極集中のパンチを山南の腹部に命中させた。


「ぐはあっ!」


善永の挑戦状:ハウンド犬を大きく2つに分類すると、サイトハウンド(視覚ハウンド)と何?


前回の『善永の挑戦状』答え:徐脈

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