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第111話 逆風
戦争終結後の旧日本兵に対する世間の風当たりは、逆風とも言える程に冷たく厳しいものであった。戦時中はあれだけヨイショしていた日本国民も、敗戦を期に大きく態度を変える事になる。もちろん、日本国民はそうした流動性を持っている事は仕方の無いものであり、誰が何かを出来ると言う事でも無い。旧日本兵はその逆風に耐えながらも、未来を見据えて、現実と向き合う事が求められていた訳である。それに加えて米軍の駐留が本格的に始まり、日本の戦前・戦中の行いは全て否定をされる事になる。戦後の焼け野原を前にして、米国的民主主義に逆行する様な政策や施策を日本はとれるはずも無く、甘んじてそれを受け入れる他には、日本が新たな道を切り拓いて行く事は出来なかった訳である。例え、どんな逆境にあったとしても、日本は新たなスタイルで国際社会に復活するしか無かったのである。また、三平や嘉三ら零戦開発チームも解散を余儀なくされる事になり、それぞれの道を歩む事になった。




