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第104話 スペア
スペアとは大学生が学徒動員によりなった予備士官の事を指すワードである。兵隊からの叩き上げで士官となった特務士官と並んで海軍兵学校出の士官よりも一段低く見られていた。同じ少尉にありながら序列をつけていたのは何とも日本人らしいやり方であると言えるだろう。能力的には特務士官も予備士官も、海軍兵学校出の正規士官もそこまで能力的な差は無い。特攻には多くの下士官や兵隊も行っているが、予備士官であるスペアも多く特攻に出撃して戦死している。海軍や陸軍の狂った価値観では正規士官である海軍兵学校出の士官よりも、替えの効くスペアを積極的かつ容易に用いた方が良いとでも考えたのであろうか?いずれにせよ、若く未来ある人間を特攻に駆り出してしまうその姿勢は、決して称賛される様なものではないだろうと思う。スペアだろうが、特務士官であろうが、海軍兵学校出の正規士官であろうが、命の重さは同じだったはずであるべきなのだが、この時代は決してそうではなかった。




