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第9話 パティシエ

こうなることはわかっていた。

いや、でもまさかここまでこうなるとは思わなかった。

今は放課後になり、生徒会メンバーで生徒会室で今日の劇の振り返りをしていた。

ただ、みんなの様子が少しぎこちない様子だった。

僕は選ばない方が良かったのか?

いや、そんなことはないはずだ。でも、あの場面で最善の手なんてない。

「じゃあ、明日の体育祭の割り当てをするわ.....

純恋が黒板ほどの大きさのホワイトボードに生徒会がやる仕事をそれぞれ書いている。

4人の様子を見ると、純恋はいつもより力が弱く字を書いていて、佳織は居づらそうな顔をしていて、詩織はいつもみたいな元気はなく、鳴霞は寂しそうな顔をしている。

「み、みんな!なんでそんなに落ち込んでるのよ!元気出しましょ!明日は体育祭よ」

佳織が椅子から立ち上がり、無駄に声を出してそう言う。

「そ、そうだよ。僕は鳴霞の格好が1番似合ってたから鳴霞を選んだんだ。みんなは自分で頑張って衣装作ったのに選ばれなかったから落ち込んでるんだよね?でも、みんなも似合ってた!」

僕も便乗し、椅子から立ち上がり静かな生徒会室で声を響かせる。

すると4人が少しずつ笑い出した。

「先輩!全然わかってないですね!」

「秋作君、あなたは記憶を失ってもいつも通りとわかったわ」

「秋作!あんたはやっぱり面白いわ。まさか、そんなことを言うなんて」

3人が笑いながらそう言った。

「あれ?俺変なこと言った?」

「秋作先輩、ありがとうございます。そして、純恋先輩、佳織先輩、詩織.....本当の勝負も負けませんよ」

鳴霞が僕たちの顔を見てそう宣言した。

「鳴霞?どう言う意味?」

「秋作君はもうちょっと色々と知る必要がありそうね」

よくわからないが生徒会が明るくなり、僕は良かった。

やっぱり、みんなは笑顔でいないとな。

そうして、会議はすぐに終わり、それぞれが下校した。


「ねえ、純恋1つ聞いていい?」

秋の寒さが少しずつ出てきた夜に僕と純恋は2人並んで歩いていた。

僕と純恋は幼なじみなので、家が近いので大抵の日はいつも一緒に帰っている。

「どうしたの?」

「僕たちはいつから知り合ったの?」

幼なじみといっても、どれくらいの期間一緒にいたのか僕にはわからない。だから聞いてみた。

「私たちの両親はパティシエの繋がりで知り合ったの。そして、私達の親は家も近かったらしくて、よく私が秋作君の家に遊びに行ってたわ。多分、幼稚園の時くらいから」

純恋との繋がりは10年以上もあるのか......

「そういえば、私の家と秋作君の家ともう1つ有名なケーキ屋があるんだけど、その3つの店はとても有名でね、国内のトップ3と言われていたわ。あなたの両親が死ぬまでは......」

少しずつ寒くなってきた秋の夜。

その寒さを超えるほどの出来事に、僕は震えが止まらなかった。

これは果たして寒さなのか?それとも......


純恋との話からどうやって家に帰ってきてご飯を食べてお風呂に入って寝たのか覚えていない。

僕は記憶を失ってから親を見てこなかったが、まさか死んでいるとは思っていなかった。

しかも、ひき逃げで殺され、今もその犯人は捕まっていない。

『スイーツ男子の皆さん!今週の日曜日はついに秋のパティシエコンテストです。果たして、2強の四宮店か!それとも、狗飼店か!はたまたその2強を打ち破るのものか⁉︎果たしてどうなるか必見です」

朝の一連の流れでテレビを点けると、またパティシエの話題が出ていた。

多分この四宮店ってのは純恋の親で、狗飼って人が僕の親が生きていた時の3強の1人か。

テレビでは四宮さんと狗飼さんが意気込みを言っていた。

『天国で見守ってくれている、初霜(はつしも)夏樹と初霜冬美さんのためにも1位をとります』

『私は、新たなケーキというものを見せてあげます。そして、四宮さんに勝つことを誓う!』

四宮さんは静かに意気込みを言い、それと反対に狗飼さんは咆哮のように意気込みを言った。すごい気合いだった。

何としても勝たないといけないという思いを感じる。

ふと時計を見ると出ないといけない時間だった。

「やばい、テレビ見すぎた。急がないと......!!」

僕は急いで身支度をして、家を出た。



密室というのは熱がこもりやすく、長時間いると今日みたいな暑い日だと秋でも熱中症になるのかもしれない。

そして今、僕と佳織は体育倉庫にいる。

そして、その体育倉庫は外になり、なぜか外側のドアに何かが引っかかっていて、出れない状況になっている。

そして、閉じ込められて30分ほど経ったが、外から誰か来る気配が一切しない。

体育倉庫は学校の端にあるため、生徒はまず通らない。

なんでこうなったというとーー



秋の涼しさを感じないほど、今日は暑く、体育祭日和の天気だ。

僕たち生徒会は文化祭で忙しかったため、競技に出なくていい代わりに、仕事が少し多い。

だから、一般生徒とは違う場所で待機していて、椅子に座っている。

そして、体育委員の人から大縄を取ってきてくれと言われて、僕と佳織は体育倉庫に大縄を取りに行ったが、なぜか大縄が見つからなかった。

そして、気づかない間に、ドアは閉まっていて、出れない状況になっていた。

そして、あいにく窓も立今はて付けが悪くて中から開けれないようになっていた。

「こういうことなら、生徒会にきてた窓の修理の件を早く終えとくべきだったわね」

佳織がそう嘆くが、この状況が変わらない。

でも、この状況が作られたのは偶然ではない。

意図的だ。


「ねえ、秋作......私そろそろやばいかも。私はもう結構長い時間水分とってないから......」

佳織がマットの上に横になり、さっきから汗を大量にかいていた。



そして、僕たちは閉じ込められて1時間が経った......



秋作と佳織の運命は......

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