第21話 小さな胸の痛み
「鈴音先輩、証拠ってなんですか......?」
「全校生徒よ、スクリーンを見なさい」
スクリーンの方を見ると、操作をしているのは沙希先輩だった。
あの人は退学したはずなのに、どうして?
いや、今はスクリーンの方へ集中しよう。
スクリーンは写真ではなく動画が流された。
動画には僕と佳織が体育倉庫に行く途中を映し出されていた。
そして、体育倉庫を閉めた犯人が現れた!
「せ、刹那これでいいよね?」
「羅刹、これで佳織先輩と秋紗先輩は終わりだね!」
今僕たちの目の前に座っている新聞部の1年生2人がドアを閉めている動画が流された。
「な、なんだこれ!黒鷲鈴音......あなたがやったんですか?」
川崎俊が震えた声で、鈴音先輩に聞いた。
その時の川崎俊は顔が真っ青で世界の終わりの時のような顔をしていて、どこか少し清々しかった。
「ほら、新聞部よ。これでお前らがこの悪事をしていたことがバレてしまったな。先生!これを見てどう思いますか?」
指導部の先生は急に話を振られ、びっくりしていたがすぐ真面目な声で鈴音先輩に尋ねた。
「これは、合成とかではないんだな?」
「当たり前ですよ。これで、新聞部は終わりだ」
川崎俊はその場で崩れ落ちた。
「そ、そんなぁ......僕はこれからどうしたら......」
川崎俊は泣きじゃくり、横にいた榊昇が慰めていた。
そして、新聞部の部長川崎俊と副部長の榊昇は退学になり、新聞部は崩壊し、新聞部のメンバーは1週間停学になった。
そして今‘僕’は占い部にいた。
「あの、鈴音先輩僕は記憶が少しないんですが」
「ああ、君は多分一時的に記憶が戻っていたんだろう」
鈴音先輩が高級そうな椅子に座りながらコーヒーを飲んで、そう答えた。
「でも、記憶は共有できないなんて不便ですね」
「まあ、君が一時的に記憶が戻ったことで、もしかしたら君は少し大変になるかもしれないぞ」
僕は前の僕がどのような性格なのか分からない。
確かめる術がないからだ。でも、性格は正反対と言われたので、生徒会の皆は僕はどっちがいいのか少し悩む。
「君はそのままでいいぞ」
「えっと......もしかして今の口に出してました?」
「いや、なんとなくわかった」
全く、この先輩は恐ろしい人だ。
まさか学校祭中に僕のことをずっとストーキングしているなんて。
これが、鈴音先輩がいなかった理由だったなんて思えもしなかった。
「鈴音先輩、ありがとうございました」
「いや、礼なんていらない。私は......沙希を助けることができなかったからな」
沙希先輩......あの人を救うことはもうできない。
「君は自分を追い詰めてどうするんだ。君は前の君じゃない。だから、今の君が責任を感じても意味がない」
「でも、どうして一時的に記憶が戻ったんでしょうね?」
「頭にすごいショックを与えたからじゃないのか?なら、君の頭を叩いてみようか?」
この人凄いドSだよなぁ......
「冗談じゃないですよ、でもあの時はつい感情的になって椅子に頭をぶつけたんです」
あの時は頭を冷やすつもりで椅子に頭をぶつけたが記憶が戻る手がかりになるとは思わなかった。
「まあ、これでまた平和になりましたね」
「君のことだからまた何か面倒ごとをすぐに作りそうだけどな」
僕たちは笑いあった。
僕たちが手にした平和。
下手したら僕たちはもう笑いない可能性だってあったかもしれない。
僕は前の僕に戻っていなかったら負けていたかもしれない。
笑っているが、僕の胸は少し痛んだ
新聞部編が完結です。
次から新しいシリーズに入ります




