第14話 忘失
「......どうして君はそう思った?」
鈴音先輩は呆れたような口調でそう聞いてきた。
「僕がそう思った根拠は、僕たちは記憶を失う前から知り合いだった。それに、鈴音先輩は劇の途中で暴行にあっていました。その殴っていた生徒は大体特定することは出来ました」
「でも、男子が何に嫉妬するんだ?私は別に人気のある生徒でもない」
鈴音先輩は綺麗な人だけど、見た目が少しロリっぽいせいで一部の生徒からしか人気がなさそうな感じだとは絶対に言えない。
「新聞部は新聞部に所属していない生徒も活動に参加している......こうですよね?」
新聞部は一般の生徒の力も使っている。
こういうことだったら、あの鈴音先輩の暴行も分かる。
「まあ、そういうわけだ。君の事が好きな女子が、男子に頼むことによって、私を不登校かなんかにさせようとしていたのだろう」
何故この人はこんなことをさらっと言えたりするのだろう。
暴行されて黙ってはいられない。でも、この人は気にしていない様子だった。
「君は......これから新聞部に関わってはいけない。そうすれば、時間がきっと解決してくれる。だから、君からはあまり行動しないようにしてくれ」
鈴音先輩も僕はあまり新聞部に関わらないということを約束した。
でも、その約束をすぐに破るのとになるなんて、僕は思わなかった
今日はあまり眠れなかった。
新聞部の事件から翌日、新聞部の事が気になって眠ることはあまり出来なかった。
学校に行く足取りは重かったが、僕は遅刻もせずいつも通りの時間に学校に着いた。
そして、いつも通り授業を受け、学校が終わる。
僕たちの噂は全校生徒が知っているくらいにまで発展し、もう誤解を解くようなことは不可能に近かった。
歩いているときの他の生徒の視線、羅刹と刹那が僕のことをこっそり見ていたり、僕に対する批判の手紙や暴力未遂......これを耐えるのは流石にきつい。
「今日は......みんないるんだね」
いつもより生徒会室に遅くきたら、みんな揃っていた。
純恋は目にクマがたまっていて眠れてなさそうだ。
佳織はストレスで顔色が少し悪そうだ。
鳴霞は体が震えていて、今にも泣きそうな顔をしていた。
「先輩、昨日は来れなくてすみません」
詩織だけはまだ調子が良さそうだった。
「あのさ、みんな......ごめん。こんなことに巻き込んでしまって」
こんなことというのは新聞部の悪事にみんなが巻き込まれたことだ。
「秋紗先輩、私は......怖いです。みんなが私を見てきて、視線をいっぱい感じます」
鳴霞の嘆きは声が震えており、弱々しかった。
「秋紗君、昨日は4人で少し出かけていたの。別に変なことされたとかじゃないから、安心して」
純恋が昨日いなかった謎を教えてくれた。
でも、どこに行ったかは追求するのは難しい。
「秋紗、私は少し疲れたわ。今日は帰っていい?」
佳織が切り込み隊長となって、鳴霞、純恋も帰ると言った。
「先輩、どうするんすか?私は少し仕事が残っているので残りますが」
詩織だけは残るらしいので、僕も残ることにした。
「ねえ、詩織は平気なの?この状況に」
「私はもう慣れているんですよ」
詩織が悲しそうに言った。
「え?どういうこと?」
「あっ、‘今の先輩’は分からないっすよね。私は昔いじめられていたんすよ。でも、先輩がある日助けてくれたんです。」
詩織の訴えに、僕は何も言えなかった。
何も覚えていない
記憶がない事がこんなに辛いとは思わなかった。
少しだけ詩織の過去がわかります。




