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黒い家  作者: たま


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万引き

スーパーで買い物してると前をフラフラと杖をついて歩くおじいちゃんのエコバッグに山積みされた玉ねぎがコロンと入った。

「アッ」と思ったが、どうせ気づくだろうとそのまま買い物を済ませた。

すると店員とさっきのおじいちゃんがレジ辺りでモメてる。

なんとなく察しはついたので、1言だけ。と思って声を掛ける。

「あの…前を歩いてる時にエコバッグにあの山積みの玉ねぎが1個転がって入ってましたよ。」と。

店員さんもおじいちゃんの様子からピンときたみたいで、結局玉ねぎを回収して放免となったようだ。

「そうか。気付かんかった…もうモウロクしてダメだな。」と落ち込んでるし、出口まで支えて連れ出す。

「そのお年でちゃんと買い物されててスゴいですよ。

おいくつなんですか?」と聞いたが耳が遠いのか?聞こえてないようだ。

そのまま数歩歩いて去る間際、怜羅を振り返った。

「何か言ったかい?」時間差で聞こえたのか?

「いえ、おいくつかな?と思って。」と聞き直す。

「…あの子と約束したんだよ。井戸のある公園で。」とだけ呟いて去っていった。

「?」怜羅は会話が成り立たない謎のおじいさんに困惑しながらランドリーへ乾いた洗濯物を取りに行った。


グッタリして帰ると玄関に木戸さんの旦那さんがなぜかボーーーッと立っていた。

会社に行ってないんだろうか?

コチラを指さして払う仕草をする。

まるで出て行けと言われてるみたいだ。

「もう、アナタ何してんの!」木戸さんの甲高い怒鳴り声がして旦那さんの頭を叩いた。

「よそのお宅の前で何してんのよ〜!奥さん、脅えてるでしょ?ヤメてよ!ココに住めなくなるわよ!」旦那さんも奥さんにボコられて正気に戻ったようだった。

「不眠症で医者に処方箋書いてもらったら、会社からしばらく休み貰えたのよ。今、多いらしいわ。

原因らしい事が本人も分からなくて、ほんともう嫌だわ〜」とペコペコ謝りながら帰って行った。

何となく、井戸の女が憑依(ひょうい)して怜羅にメッセージしてきた気がした。

「ハア〜ッ、無理かもなあ〜」思わず弱気になる。


帰宅すると待ち受けていたように三笠さんが来る。

「ありがとうございます!予告動画流しただけで、好評で!コレはもしかしたら銀盾貰うスマッシュヒットなりそうですよ!」と思わず握手をされた。

室内にスタッフと入ると機材を直して撮影できた分だけでも確認してる。

「オオッ〜!!」と声が漏れる。

「洗面台の鏡にだけ!黒髪が映ってます!後頭部だから本体はカメラの方を見てるはずなんですが…映ってないですね〜」と少し残念そうだ。

その洗面台の鏡の中の後ろ姿を見ると、やはり10代くらいの女の子だ。白い服ではなく着物を着てる感じがする。

「もしかすると、この服は棺桶に入れる時に着せる白い着物かもね。田舎で昔見た気がする。

若くして亡くなった女の子なのかも?」三笠さんがなぜかため息をつく。

「僕、ほとんど父を手伝った事なくて。塾ばっかりな人生だったから。

母も僕のお受験とかばかり熱心で檀家さんとの行事もおざなりで。寺の女将って大事な仕事なのに。」と凹んでいる。白装束を実際に見たこともない寺の息子だったようだ。



友達が寺の女将なので、年1会うのも大変なんですよね。

今も村のバスツアーとかも企画してお年寄りや檀家さんを楽しませたりサポートに走り回ってるし〜

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