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#001D 傭兵セルン: 後半 / Cernn the Merc: Lower Half

最低5000文字くらいにはしたいけどなかなか難しいね。


追記: なんかAI利用の有無という設定項目が増えていたので対応。

補助的利用とは言いますが数回誤字、誤用のチェックをさせたくらいですかね。

まあこれだけとはいえ使っていることに変わりはないのでこうしています。


この独自要素の塊みたいな設定を

AIくんに教え込む方がよっぽど手間がかかるよというお話。

設定メモだけで現時点での本編の文字数と同じくらいあるんでね……。



ABSOLUTE TIME: +74996 191 22:30:00.000


Perspective: Observer


地図上では王国と連合の境界に近い、夜の闇に覆われ気温も

落ち込んだ荒野の空を装甲と耐衝撃膜で覆われた黒い翼が撫でる。


その持ち主は当然探検家のセルンである。――否、今は傭兵のセルンであろうか。


星空を背に夜の荒野を征く彼の目指す先は、

ロカウル周辺地域において近頃活発な動きを見せている強盗団の隠れ場所。

切り立った崖の壁面に掘られた小さな坑道だ。


自然の洞窟ではなく坑道である以上、この強盗団の規模はそれなりに大きく、

また活動期間も長いと見える。


装備の修理のため本格的な探索に出ることのできないセルンが

合間に新たに手にした遺物の試験を行い、

退屈をしのぐには絶好の相手であるのは間違いないだろう。


彼は坑道の入り口が面する方角の反対、北西側に大きく

回り込んでから高度を落とすと、緩やかに滑空しながら

入り口を見下ろせる崖の淵へと降り立った。


ここで待機していれば強盗団が出入りする瞬間に奇襲をかけるのも容易だ。


翼を持たない種族に崖の上の様子を探る手段はなく、

また攻撃されても反撃することは難しい。


「さて、しばらくは様子を見ようか」


地上を見下ろすセルンは静かにつぶやいた。


彼の目線の先にある地面には今のところ動きはないが、

時間を置けば出入りする者もあらわれるだろう。


それから十数分の後、監視を続けていたセルンは下に動きを捉えたのか

獲物を見据えるかのように鼻先の向きを変えた。


彼の見つめるところは坑道のある所からほぼ真東の方角。

そこには地形の起伏の陰から現れ、こちらへ近づくものがある。


砂色の布を纏い、ゆっくりと歩く人影だ。


「一個体だけ……斥候か何かかな。まあ、僕には関係ないね」


セルンは姿勢を落とし、地面に伏せながら入口へ近づくその者の様子を窺う。

今の彼の姿は、静かに獲物の隙を狙う捕食者そのものと言えるだろう。

間違いなく、普段人間と何ら変わりなく振る舞うセルンらしくはないものだ。


そして……坑道へ近付くその人影があと一息で岩の天井の下へ

たどり着けるというところまで来た瞬間、セルンは

音もなく透き通った黒い空気の中へ飛び込んだ。


「……なっ!?」


ようやく隠れ家にたどり着いたと安堵していたその者は

視界の上端に突然映り込む影に気付くと、あわてて後ろに

飛び退きながら腰に差した鞘へと手を伸ばす。


――だがすでに手遅れである。セルンの装甲に覆われた鉤爪が

正確にその体を捉え、急降下の勢いのままわずかに

砂が積もる荒れた地面に叩きつけたのだ。


「残念だったね。君は家には帰れないよ」


そう冷たい言葉を掛けるセルンは、彼を地面に強く押さえ付けながら

もう片方の足で彼の腰に差された鞘から刻印が施された剣を抜き、

遠くへ投げ捨てる。


「熱の刻印、ね。賊にしては随分と贅沢な装備だ。

これはどこで手に入れたのかな?」


セルンは不運な無法者の革製の胸当てに強く爪を突き立てながら

この"妙に豪華な"装備の出所について問い詰めた。


だが、地面に叩きつけられた無法者はその衝撃で例え答える

意思があったとしても答えられない状況だ。


セルンもそれは承知の上。

ヘルメットのバイザー越しに睨み付けながら静かに返事を待っている。


「……はぁ……ああ、怪しい商人みたいな……胡散臭い奴らがタダで……

くれたんだ。はぁ……これで満足か? ええ?」


返ってきた答えは意外にも素直なもので、

セルンはわずかに耳を立て、首を傾げる。


「なるほどねぇ。君の答えで察しがついたよ。

横流しだね。たぶん共和国の仕業だ」


共和国の工作員が賊や野盗の類に武器を供与し、王国や連合での治安悪化、

それによる軍と警備隊への負担増加を狙っているという

事実はよく知られていることであるが、

今回セルンはまさにその実例を目にすることになったということか。


「ふんっ、で、俺をどうするつもりだっていうんだよ?

ワイバーンらしく喰い散らかすのか? その恰好じゃそれも無理そうだけどな!」


無法者の男は煽り言葉で喚く。

しかし、セルンは表情一つ変えない。


「まあそうしてほしいならそうしてあげてもいいけどね。

このヘルメットは外すことができるし、顎の関節の固定を外せば

被ったままでも食事はできる。君を使って実演してあげようか?」


「へぇ、随分と便利にできてるんじゃねぇか、獣にはもったいない代物だなぁ?」


脅しにも動じず強気な言葉を発する彼だが、

セルンはその姿を見て小さな笑みを浮かべた。


――このような状況でも強気な姿勢を保てる者というのは

よほどの覚悟があるか、そうでなければ何か勝算があっての時間稼ぎの可能性が高い。

その点を察することはセルンにとってさほど難しいことでもないだろう。


「何笑ってんだよこの野郎」


男がそう言った直後、視線がわずかに動く。

視線の向けられた先は坑道の入り口だ。


だが、それでもセルンは沈黙を貫く。


夜の荒野の静かで冷たい空気が作り出す緊張――それは

暗闇が奥まで深く続く坑道の中から放たれた閃電、

そしてすぐ後に続く火球によって破られることとなる。


二つの攻撃呪文は獲物を押さえつけたまま動かない

セルンに吸い込まれるようにして直撃した。


「はっはっは、バカかよお前は!」


――並みの防具ではこういった攻撃呪文には耐えられなっただろう。

しかし、セルンの飛行装具は特別製である。


簡単な時間稼ぎに引っ掛かった間抜けなワイバーンだとでも思ったのか

男はセルンを罵るが、彼を押さえつける鉤爪は力を緩めることも、

戸惑うことすらない。


「……おい、嘘だろ!?」


男は想定していなかった結果を受け、一転して表情を恐れへと変える。


そんな彼を冷たい視線で見下ろすセルンに再び

閃電と火球が突き刺さるが……やはり効果はなかった。


「君に策があるのと同じように、僕にもそれがあったということだよ。

わかるかい? じゃあ、君の肉をもらおうか」


セルンはそう告げて、鉤爪に力を込めた。

装甲で補強された刃のような爪が革でできた胸当てをたやすく貫き、

その下にある柔らかい肉を引き裂いてゆく。


冷たい荒野の空の下に、痛みに悶える鈍い悲鳴が響いた。


――もちろん、坑道の中からセルンを狙った強盗団の仲間たちに

それを黙って見ていることはできない。


出来れば姿を見せたくはなかったのだろうが、

もはやそれどころではなくなった大勢の無法者たちが坑道の奥から飛び出し、

仲間を助けようと攻撃呪文、クロスボウ、そして呪文投射機までもを使用して

セルンに一斉攻撃を仕掛け始めた。


火球が装甲にぶつかり弾け、青白い閃きが黒い表面に当たり掻き消える。

太く短いボルトが恐ろしく硬い炭素に跳ね返される。


黒い装いの飛竜はまるで意に介さない。


「……この感じなら問題なさそうだね」


セルンは独り言のようにそうつぶやくと、

もはや苦しむ気力すらなくした獲物の首に喰らいつき、

そしてその肉を引きちぎり、飲み込んだ。


「それじゃあ次だ」


坑道から飛び出しこちらへ距離を詰めようと向かってくる

無法者たちの方へセルンは振り向き、背中の武器ラックから一つの遺物を右手に取る。

そして、彼が手元にある引き金を引くと――遺物から青紫の炎が吹き出し、

上端の引き延ばされた8の字を描いた。


暗い荒野に弧を描く青紫の炎が二手に分かれて接近しつつあった集団の

片側を撫でると、そこに体を両断された人の残骸が転がる。


続いて現れた、夜空に浮かぶ半月のような光の壁が

もう片方の集団をなぎ倒すと、衝撃で全身の骨を砕かれ動かなくなった体が転がる。


――第二の文明の遺構を守る殺戮機械との戦いを前提として

装備を整えたセルンにとって、ただ装備が豪華なだけの

無法者など相手ではなかったのだ。


塵を払い捨てた彼は、そのまま武器をしまって後始末へと移った。


====


Perspective: Cernn


こんなものかな。

少なくとも基本的な使い方はわかった。


……後ろを振り向いてみると見えるのは砂の上に散らばった死体の山。


傭兵の仕事は何度かやっているけど、

こんなに大勢人間を殺すのは初めてかもしれない。


まあ、特に親しいわけでも無くてこっちに武器を向けてくる奴らなんて、

死んでいてもただの美味しそうな肉にしか見えないけどね。


さっさと写真を撮って、坑道の中を調べて――町に帰ろうか。

飛び出してきたやつらですべてとは限らないから

一応警戒はしておいた方がいいかな?


転がっている死体全てを写真に収めてから崖の方を見てみると、

そこには布を使って偽装された入口があり、

それはかなり奥まで続いている様子だ。

彼らがどれくらい前からここで活動しているかは知らないけど、

よくもまあここまで掘ったものだね。


ここまでする体力があるなら鉱山で働けばいいのに、

わざわざ日陰に生きるやつらの気持ちは僕にはわからないよ


まあ、外の世界で生きていくことが難しい人間と

僕たちワイバーンじゃ違うから仕方ないことだとは思う。


鉄の光――レーザーピストルとプラズマカッターを

手に持ったら、坑道の中へ。


中は暗いけど明かりを灯していたら当然それでここの存在を

知られてしまう可能性があるからこうしているんだろうね。


BEGIN CONTROL


TIMER = "20m"

execute FloatingTorch(2.5, 20, 200, [255,255,255])


END CONTROL(TIMER)


……随分としっかりした作りだ。

追灯の呪文で明かりをつけて中の様子を見てみると、

坑道はちゃんと支柱を組んで、しかもかなり

正確に掘られているのが分かる。


この感じだと連中が掘ったんじゃなくて共和国の

工作員が用意した可能性の方が高いかな。


はぁ……。ここまで工作活動が浸透しているとなると、

そのうち探検家を装った共和国の回し者に

闇討ちでも仕掛けられそうな気がしてきた……。


元より同業者は警戒すべき相手なことも多いけど、嫌だなぁ。


そんな心配をしながら、僕は坑道のさらに奥へ進む。

この坑道にはどうも二つ風の流れがあるようで、

それは奥へ吸い込まれていく流れと外へ吐き出される流れに分かれているみたい。




……? 明るいね。この先が居住空間かな?

僕がそう思ったのは、少し進んだところで最初の曲がり角を

曲がったときその先にうっすらとした明かりが目に入ったからだ。


通路を曲がった先なら確かに外から明かりを見つけられることも無いか。

なるほどねぇ。


さらに先へ進むとその正体が分かった。

思った通りここが居住空間で、どうも換気装置らしきものも置かれている。

その筒状の構造の中を覗いてみると、ヘルメットに強い風が当たるのを感じた。

風の流れはこの装置のせいだね。刻印を読み取るに力軸で空気を加速して

動かしているから……まあ僕の使っている魔工エンジンと基本は同じかな。

たぶん王国領の鉱山でも普通に使われている量産品だと思う。


換気装置まで完備した穴倉をただで用意してもらえるとは、

悪党どもにとっては共和国の工作員はさぞ懐が広く感じられるだろうねぇ。


勘弁してほしいよ。確かに傭兵の視点では情勢が不安定な方が

儲かりはするけど、あまりにひどいと金儲けどころではなくなってしまう。


……深刻な状況になる前に国が対応できることを祈るよ。


さて、見るべきものはこれくらいかな?

もう一つ奥に続く道があるけど、その先は奪った品々の保管場所のようで

僕の役に立つものは特にない。


あったとしても僕が持っていっていいわけじゃないし、どちらにせよだね。

回収は他の傭兵なり手が空いた軍の部隊に任せよう。


この部屋の写真も撮ったら、帰って報告しようか。


コメント:


セルンの黒い一面……というより、きつい (下手したらレーザー1発で死ぬ)

遺跡探索と特に危険のない (防壁展開するまでもなく装甲で大抵防げる)通常の仕事を

交互に繰り返すようなサイクルのせいで次第に傭兵仕事がストレス発散、合法的に

悪党を痛めつけられる息抜きみたいになってしまったところがあります。

ワイバーンの場合、こういう仕事は実質タダ飯付きでもありますし。

(別に合法的に殺害できる相手なら食べても文句は言われません)


まあ、基本的に探索してる時間の方が長いんですが。


物語的にも今は一つの大きな仕事を終えて、次の章に移り変わる段階ですからね。

装備が損傷していて、ついでにもっと深いところまで潜ろうとすると

さらに装備強化が必要となると、セルンの装備を作っている

技師のケーリムと合流するまであまり大きくは動けません。


あと、セルンは大きな調査団に同行するタイプというよりは単独で

先遣調査をするタイプなので、初期調査、進路の確保に新発見の遺物の回収などが

彼のやりたいこととなっています。飛行種族ゆえに重い荷物を嫌うところもあり、

そういうのは大きな組織や"翼のないやつら"に任せるスタイルですね。


探検家として活動を始めたばかりのころはさすがに安全の確保された遺構で

飛行種族じゃないと入れないような地形を狙っていました。




共和国側の工作についてですが、割といろんなところでガラの悪い奴らに

高品質な装備を流したり戦闘、戦術の訓練をしたりとやりたい放題やっている状況です。


共和国は思想的な団結力が極度に強いので王国や連合側がこの手でやり返すのも難しい。


かといって全面戦争に踏み切れるほど戦力差はないし、お互いの防備に関する情報も少ない。

そんな感じで冷戦状態ですね。


どの国も首都の守りが厚すぎて決着のつけようがないというのが主。

なお、帝国はまだはっきりした情報を出していませんが、

この大陸の3国同時に相手をしても圧倒できるほどの軍事力があるとかなんとか。


そのほか:


光の壁で殴るという使い方は防壁系魔法の応用としては割と知られています。

壁自体に質量は (ほぼ)ないですが、通常は術者の質量がそのまま乗ります。



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