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#0017 静かな緊張 / Silent Tension

短いですが一応3000文字以上はあるので許してほしい……。

X4のMod制作解説動画を作る時間も必要なので余裕がないです。

やることが多い!

野営地の捜索を一通り終えて、

気を失った共和国の工作員が目を覚ますのを静かに待つ。


周囲に残っている呪符は無し。

一応持ち物も調べたけど、特に怪しいものは無かった。

ほかの個体は……原形を留めていないし、得られるものはないかな。


彼が目を覚ますにせよ何にせよ、しばらくはここで待機だね。

連合の即応部隊が来たときに事情を説明しないといけないから。




……さっきまでここで戦っていたとは思えないくらいに辺りは静かだ。

この道はロカウル側の砂漠とゼキアル側の荒野を繋ぐ一本道で、

街道が通っているのは谷間の部分だから日差しを

避けられる場所も多くて、新しくできたほかの道のおかげで交通量も少ない。


ゆっくりと心を落ち着けるにはいい場所だと思うよ。

こんなときじゃなければ。


……おっと、目が覚めたみたい。


気を失って、手足を縛られたまま倒れていた彼は

目を覚ますや否や暴れ始めた。


口に紐をかませてあるからしゃべれないけど、

きっと汚い言葉で僕を罵っているんだ。

簡単に想像がつくよ。


さて、話をしようじゃないか。


暴れる彼の方へゆっくりと近づき、足で押さえつける。

僕たちみたいな種族が近くにいるだけで不快感をあらわにする

共和国の人間にとっては一体どれほどの嫌悪感なんだろうね?

ふん、そんなの知ったことじゃないよ。


「やあ、目が覚めたんだね?

僕には君に聞きたいことがあるんだ。だから、素直に答えてほしい」


今まで見たことのないほどのいびつな表情で

目を見開いてこちらを睨む彼に僕の要求を伝える。

でも当然彼は答えない。


「君が今言葉を発することができないのは僕も分かっているんだ。

だから、頷くか、首を振るかで答えてくれればいい」


「どの道ね、君がここで口を割らなかったとしてもあとで連合のやつらが

嫌というほど君に質問をするんだ。今のうちに話しておいた方が楽でいいよ?」


僕が足の指に力をかけ、腹と胸に爪を突き立てながら話すと……

彼は痛みに表情を歪ませ少しの間僕から目をそらした後、ようやく頷いてくれた。

こういう単純なやり方が一番効くんだよね、人間に対しては。


「じゃあ、まずは基本的なことから聞いていこうかな。

君は共和国出身で間違いないね?」


予想通りというべきなのか、見ての通りというべきなのか、もちろん彼は肯定する。


ここで起こったことに関して僕が聞きたいことといえば……

まず行動の目的、次にほかの部隊とのつながりの有無、

そして連合領への侵入経路辺りだけど、

まあさすがに簡単には答えてくれないだろうね。


連合の部隊が来るまでに終わらせるのはおそらく僕には無理だ。

でも、聞けるだけは聞いておこうか。


「素直でいいじゃないか。次の質問をするよ。

君とその仲間はここで何をしていたのかな?

僕は鉱物の輸送の妨害──ゼキアルの精製所行きの

荷物の強奪と考えているけど、君の答えを聞こうか」


二つ目の質問も、彼は肯定した。


当然だけど、はいかいいえで答えろとしか言っていない以上

返ってくるものはどちらか二つだけ。


でも、反応を見る限り嘘はついていなさそうだね。

まあ、現場の処理もできていなかったし隠すのは無理と考えたんだろう。


「次。君たちはどの経路で連合領まで来たのかな?

共和国領はここからはるか南で、間には王国領があるよね?

地形的にみて楽な経路は連合領北西の海岸線。そこから来たのかな?」


僕がそう聞くと、彼は答えるのをためらった。

ふむ、答えたくないなら質問を変えようかな。


「なるほど、言いたくないんだね? じゃあ別の質問をしよう。

君たち以外に、この地域に展開している工作部隊はいる?」


これに対しても答えは沈黙、と。さて、どうしてあげようか。


「ふむ、まあ無理はないよね。君たちの大嫌いな、野蛮で、汚れた、

残忍な獣に仲間を売るなんてできない。言わなくても分かる」


そう言うと、先ほどからしばらくおとなしくしていた彼は

表情を変え、再び暴れだした。

諦めの悪いやつだよ。


僕は呆れてため息をつきながら、警戒もかねて一度周囲を見回す。

──ちょうどその時だった。北の空から近づいてくる特徴的な音……

細長い物体が風を切る音、連続的な低音。


この音は回転翼の音だね。連合の部隊が近づいているんだ。

彼はまだ気づいていないようだけど。


うん、早々に切り上げて、あとは専門職に任せよう。

でも最後に少しだけ。


「君が答える気がないというならいいよ。代わりに別の形で役に立ってもらうから」


そう言ってヘルメットを外し、彼に視線を合わせる。

そして顔を近づけ小さく口を開き、目の前でわざとらしく牙をちらつかせた。


「そもそも、僕はこの近くの交易所で朝食を取るつもりだったんだよねぇ。

でも、街道で襲撃の現場を見つけたと思ったら

今度は君たちに攻撃されて、本当にひどい話だよ」


そうやって遠回しに僕の朝飯になれと告げると、彼の態度は一転した。

はぁ。直前まで怒りに満ちた様子で暴れていたというのに、

今度は恐怖におびえて何とか逃げ出そうともがいている。

あまりにも哀れだよ。


「……ねぇ、言った通り僕はまだ朝食を済ませていないんだ。

何も話すつもりがないというのなら、せめて新鮮な生肉としてくらい

役に立ってくれるよね? まあ、君に死なれても困るのは確かだ。

……だからそうだね、腕一本だけでいいよ」


僕はそう言いながら彼を押さえている足に体重をかけ、

牙を剥き出し威嚇するように唸り声をあげる。


あくまで脅しではあるけど、

正直なところ腕一本くらいもらってやってもいいよね?


どうせ彼が本国に送還されることはないんだし。

無駄に体力を使わされた分、その肉で支払ってほしいところだよ。


……本当に、共和国の人間たちはどうしてこうなってしまったんだろう?

過酷な自然環境と自分たちに危害を加える野生生物を

次第に強く憎むようになったとは聞いているけど、それにしても異常だ。


彼らの思想は異種族を受容している連合とも、

それどころか積極的に手を取り合う王国とは絶対に相容れないし、

彼らが憎むその異種族そのものである僕たちとは

平和的な関係なんて築きようがない。


少なくとも、唯一彼らが対話の意思を見せられる同族

──つまり人間同士でなんとかしてくれないと、

僕たちにはどうすることもできない。


……共和国の人間と出くわした時、どうするのが正しいのか僕にはわからないよ。


まあいいや。だいぶ回転翼の音も近くなってきたし、

それそろ彼を放してあげよう。


「おっと、時間切れかな。連合の即応部隊が到着したみたいだ。

運がよかったね」


彼にそう言い残してヘルメットをかぶり直すと、僕は後ろへ振り返り、

軽く助走をつけてから羽ばたいて飛び上がる。


目指す先は北の空にはっきりと見える物体。

胴体側面に軍の記章を付けた、

二重反転式の6枚回転翼を2組も持つ大型の輸送機だ。


そのすぐそばにはより小さな護衛機の姿もある。


この辺りであれが降りられる場所といったら限られるから、

あれの着陸地点はすぐに分かった。先回りして待っていようか。


エンジンは使わずに自力で飛び、300メルハほど南に行った

ところにある比較的平坦な場所で待っていると、

連合の飛行機械たちは慎重に高度を下げ、

砂埃を立てながら僕の目の前に着地した。


……ヘルメットやゴーグルがないと目がやられるね、これは。


「ああ、通報はあんたからか。緊急用のフレアだから

何事かと思ったが、なかなかの大事らしいな? 空から見えたぞ」


着地した機体が安定して少しすると、機体後部のランプが開き、

そこから降りてきた降りてきた連合の兵士が気怠そうに話す。


「うん。残念なことにね。これをやらかした連中のうち一人を

拘束してあるから、詳しい話は彼から聞いてよ。

そこまで案内するから、僕についてきて」


そして、僕は後に続いて降りてきた他の兵士にも聞こえるように

簡単な説明をした後彼らを連れて現場へ向かう。


そう遠くはないけど、地雷がまだ残っているかもしれない。

まあ、対車両用で軽い物には反応しないと思うけど、

念のため警戒は忘れずに行こう。


2026-05-03: セルンくんがヘルメットかぶり直すの忘れてたので修正


[飛行機械: 連合製大型輸送艇]

(USDF Aerial Cargo Transport)


都市国家連合が運用する大型の輸送用飛行機械。

水平飛行時の揚力を確保する主翼の先端部に

二重反転式回転翼を持ち、高い積載能力と航続能力を両立している。


戦闘用ではないが軍用機なため機体には軽度の装甲があり、

自衛用の0.05メルハ口径 (40mm)の磁気加速砲 (コイルガン)も機首下部に搭載。


人型種族であれば80名以上を輸送でき、戦闘人形(ゴーレム)や車両の運搬も可能である。


コメント:


ティルトローター輸送機ですね。

王国でも同様の飛行機械が現在試験中。つまりこの手のは連合の方が進んでいます。


なお、メルハ、ヴァーリなどの単位はそのままでは数字が大きすぎたり小さすぎたりで

使いにくいため現在大小それぞれの数を表すための接頭語の制定について議論されています。


……物語な話でもメタ的な話でも。


[飛行機械: 連合製軽空中攻撃艇]

(USDF Light Aerial Attack Craft)


単一の二重反転回転翼で飛行する対地攻撃機。

固定翼機とは異なり離着陸の場所を選ばないが、航続距離は短い。

固定の防衛戦力を主体とする連合戦略防衛軍では

配備数が少なく、基本的には機動戦力や

特殊作戦部隊に優先して割り当てられている。

乗員数は操縦主1名、砲手1名、後部キャビン部分に人員4名を搭載可能。


コメント:


この世界で二重反転系の回転翼やプロペラが多いのは、

コンピューター制御などの技術が未発達な関係上

勝手にトルクが釣り合う方が都合がいいからです。


その関係でタンデムローターとかもあります。

アナログセンサーと魔術指令を組み合わせた単純な条件分岐処理

くらいしかできないので仕方ないですね。


魔術APIの解析が進めばもっといろいろなことが

できるようになるかもしれませんが、まだそこまで設定が固まってないです。


連合製の飛行機械は単座、一人乗りのものがほぼない (基本的にどれもそこそこ大きい)ので

船に近い扱いをされることが多く、これは連合が海上戦力を持たず

混同のしようが無いからという理由もあります。 (沿岸砲台とかはあるよ)


航空戦力の中心である空中巡洋艦などとの橋渡しをする

小型ボートみたいな扱いだからというのもそうかも。


そのほか:


本来の生活スタイルがそうなだけあって、ドラゴン、グリフォン、ワイバーンなどの種族は他の種族を食べることに特に抵抗がありません。まあ、好き好んで人型種族を襲う個体は基本いないか、稀ではあるものの、無法者や賊のような殺しても誰も文句言わないどころか謝礼がもらえるような輩に関しては食費が浮いてラッキーくらいのノリで食べますけどね。単純に、仲良くできそうな (共存できそうな、話が通じる)やつは襲わない、くらいに考えてもらえれば。


ワイバーンの足の指は前に3本、後ろに1本で一般的な鳥の足と同じ配置です。

(ただしフクロウなどは指がX字型に並んでるので異なる)

こうじゃないと物掴むのに苦労しますからね。

この世界のワイバーンは翼に指が3本あると言ってもあくまでメインで使うのは足の方なので。


おまけ:


現在のところ決まっている単位は以下の通り。

そのうち登場するかもしれないししないかもしれません。


- 長さ : Merha / 記号: M / 定義: メルハ原器(0.8メートルに相当)


- 重さ : Varli / 記号: V / 定義: ヴァーリ原器

(1.25キログラムに相当 / 約4x4x4cm四方の金ブロック)


- 温度 : Caloi / 記号: C / 定義: 水の融点を0、

沸点を100とした温度。実質的にセルシウス度。


- 時間 : 時、分、秒 / s, m, h


- 力 : Shila / 記号: S / 定義: 重さ1ヴァーリの物体に

1メルハ毎秒毎秒の加速度を与える力。約1ニュートン。


- 仕事率 : Leiz / 記号: L / 定義: 1フオリ毎秒。約0.8ワット。


- エネルギー: Fuoli / 記号: F / 定義: 1シーラの力で物体を

1メルハ移動させた際のエネルギー。約0.8ジュール。


それぞれ読みは メルハ、ヴァーリ、カロイ、シーラ、ライズ、フオリ

このうちフオリだけは名前の由来が共和国の文化圏から。

大陸での統一単位系の制定時に連合を介して交渉が行われた際に決定。


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