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第七話 ドラゴン襲来! (前編)
「汝に我らの力を託そう」
彼がそう言って手を差し出した手を俺は握った。
途端に身体中に力がみなぎる。
レベル·スキル·能力が譲渡され、折れた小太刀も姿を変え、霊太刀<紫雲>となる。
そして、寿流刀拳術が丁から丙、丙から乙となる。
「さぁ、こいよ黒龍。紫雲の名にかけて貴様を黄泉に送ってやる」
そう言って俺は黒龍に向かって走った。
「戦闘開始、これより災禍黒龍を駆逐する!」
~数分前~
康兄らが帰ってくることを手紙で知った、俺と奏は、
一通り話終えて、家に入ろうとしていた矢先、それは現れた。
「ギャゴゴオオオオオオオオオオオ!!!」
その嘶きは天地を震わせ、その影は村をすっぽり覆う。
それは災禍と呼ばれるもの<黒龍>
レベル1000を越えるドラゴンだった。
「はは、なんだよありゃ」
「...たぶん、<黒龍>だと思う」
奏の呆然と呟いたことに答え、俺は<黒龍>を見据える。
「くそっ、こちとらレベル2だってのに」
俺は義母さんから渡されたままだった、小太刀と五一式を構える。
奏は、杖を構えて魔術式の構築を始める。
こうして勝算無しの戦闘が始まった。