第六話 一条薫不在
再編集させて頂きました。
伏線を張り忘れていたので。
「ん、ここは」
俺が目をさますと、庭のベンチに寝かされていた。
「やっと起きたな蓮!ずっと寝てっから心配したっての」
女にしてはガサツな声の聞こえた方に目を向けると、庭の木に登ってこっちを見てくる同い年の少女。
「...なぁ、奏その口調はいい加減止めなって」
「ふん、どんな口調だろうがアタシの勝手だろ」
香山奏はそう言って木の上からジャンプしてベンチの近くに着地した。
木の高さ二階建てぐらいあるんだが。
「あっ、義母さんは?」
「あぁ、姉さまはとなり街だ。なんか魔物が一万ぐらいでたって」
「いっ、一万!」
それは普通じゃまず現れない数だ。
あり得るのは、リーダーのキングやクイーン、ジェネラル級が現れた時だが、
「何級が出た?並みの数じゃないぞ」
「それがなー、見当たんないらしいんだよ。けど士気が高いのか恐れを知らないみたいに
突貫してきたりされておされぎみだと」
「...そっか」
何か違和感があった。大将がいない状態で士気が高いのか?普通なら戦線が崩壊するはずだが...
「あっ、そういや姉さまから蓮に預かりもんがあったんだ」
「預かりもん?」
「はいよ」
奏から放り投げられた手のひら大の革袋をキャッチすると、中には
手紙が一通と精緻な細工が施された腕輪が入っていた。
「姉さまがアルクロン共和国に行った時に受け取ったんだと」
「えっ、じゃあ康兄から」
康兄=篠原康介は大戦時に弟の篠原竜弥と共に、
最前線で活躍した英雄の一人で、彼らは、現在アルクロン共和国にて、軍属となって暮らしている。
「ああ、何か提督から、あれ、あのげ、げん...」
「元帥?」
「あっ、それだ!なんかもうすぐ二人で里帰りするから、旨い手料理ご馳走してくれって」
「...えっ、もしかして告白されてんの、俺?」
「...康兄はゲイじゃないよ」
「いや、さ...分かってはいるんだが、誤解を招く言動が多いんだよな、康兄は」
二人で笑いあって、一段落つき康兄らの凱旋パーティーの仕度をしようと、
家に入ろうとしたときとてつもない悪寒に襲われ、周りを見渡し、それに気付く。
そいつは、村をすっぽり包むほどの巨大な影をつくっていた。
そいつは、以前本で読んだことがあった。
そいつは、<災禍>のと通り名を持っていた。名を、
「っ!?黒龍だと!」
安寧の時は去り、どうしおもない災禍が蓮たちを襲おうとしていた。




