第三話 仮初の平和 崩壊 その1
「全くっ、〈4大属性〉すらまともに詠唱出来ないとは…これだから平民は」
詠唱しても何も起こらない俺を見て、先生は侮蔑と嘲笑のこもった目で俺を見る。
長期休みの後には必ずこの様に実技試験と、筆記試験が行われる。
俺が魔術が満足に扱えないながらも、退学にならないのは、筆記試験でトップであるのと、対人戦での実績があったお陰だ。
まぁ、いくら筆記で優秀でも
「おい無能、お前の所為で無駄な時間を過ごした。償え」
「その通りっ!」
「償えよぉ、無能」
チンピラの様に絡んでくるのは、没落貴族様のブルーノと、その取り巻き2人。
(チッ、こんなのがいるから憂鬱だったんだ)
ブルーノの実力は俺の1つ上、つまり俺と同じ(この言い方はとてもイラつくが)である。
だが、腐っても貴族様、プライドだけは高いらしい。
結果、俺は唯一のイジメの標的となった。
しかも、先生までイジメを容認している以上どうしようもない。
(貴族だろうが平民だろうが人であることには違いないのに、さ)
俺がゴミを見るような目でブルーノを見るが、気づいていないらしく、なお言い募っている。
「と、言う訳で!わったーしは君に決闘を申し込む!」
(……はい?)
「ルールは、〈4大属性〉の魔術のみ使用可能、体術等は禁止だ。何せ、我ら魔術師には体術等は必要ない邪道だからだっ!」
(……それって俺に一方的に嬲られろって言ってんだよな…?)
というか、体術が禁止なら、なんで学院のテストに対人戦があんのか、
このバカは理解出来なかったらしい。
「良いお考えですブルーノ様、ワタクシがその決闘を承諾しましょう」
「先生っ!何言ってるんですか?!」
「いくらなんでもオーボーだと思うゾ」
「ライムナー様、〈蒼狼〉様」
先生相手に反論してくれたのは、クレハ・ライムナーと〈蒼狼〉だった。
クレハ・ライムナー。
トパーズの様な長髪と緋色の瞳の、可憐な少女。
〈2つ名〉を持っていないものの、ポテンシャルは、〈蒼狼〉に匹敵する。
何時も竹刀ケースの様な物を方にかけているが、中身はライフル銃。
それを主武装とした遠近万能の戦闘は、…正に天才。
普段は、少し気弱な性格だが、ライフル銃を持った時の変貌ぶりは……。
「彼は、我が校の生徒として相応しくないんだよ」
「「あんたには聞いてナイっ!(ませんっ!)」」
まぁ、任務が完了次第ここは去るんだけどさ……ん、来たか。
「大丈夫ですよブルーノ様。俺はもう去ります」
「えっ、……ふふっ、わったーしの偉大さが理か」
「あぁ、とっってもプライドだけ1人前の愚民とは理解出来たよっ!」
「ナッ!!」と絶句するそれには目もくれず、
「各個散開っ!!」
「リ、了解です」
「ん、りょーかいダ」
俺達が散開した直後、落下してきた岩によって、肉片となったクラスのみんなと、俺はお別れした。
「さて、これよりアンノウン討伐戦を開始する。気張っていけよ!」
自分で作ったブルーノたちでしたが、
あまりに嫌な奴らだったので速攻やっちゃいました
(てへぺろ(´>∀<`)ゝ)