第二話 楽しくない学院生活
~リュシオン魔術学院~
そこでは、日々進歩する魔術や、歴史、卒業後の進路となる軍団や貴族の私兵団での恥じない礼儀など、沢山叩き込まれる。
それは別にいい、大変だけど実りあることも多い。
けど、
「学院、戻りたくなかったな」
はあ、とため息を吐いてしまうほど、これから起こることは憂鬱なのだ。
早くアレが来て欲しいと、切に思ってしまうほどには。
「文月(夏休み)まであと180日以上か……はぁ」
「何してるんダ?〈読書家〉」
唐突に耳元で聞こえた艶やかな声にビクッとし、声のした方を向くと、
「なんだ、〈蒼狼〉か…脅かすなよ」
「くくっ、やはりオマエはリアクションが面白くて飽きんねぇ」
ケラケラと無邪気に笑う悪友であり、戦友である同期に
「…はぁ…マジで勘弁して、リリス」
何度目か分からない抗議を力なくする。
〈蒼狼〉ことリリス・ヴォルフ
その2つ名の通り蒼色の髪を持つ、おてんば娘。
乱雑に纏められたポニーテール、これの揺れ方がリリスの機嫌を教えてくれる。
幾何学模様が描かれた突式短剣を主武装とするの二刀流で、
風魔術と身体強化を併用した、疾風の如く敵を切り裂き駆け抜ける姿から、
蒼き狼と言われている。
(日本の軍艦にもあったよな、2つ名?が〈飢えた狼〉って言われてたの)
「なにボーっとつったてるンダ、急がないと遅刻だゾ」
「あ、ああ。ごめんごめん」
悪友のお陰でさっきより足取りが軽い。
「(ありがと…リリス)」
とても小声で、感謝の言葉を紡ぎ、学院の正門に足を踏み入れた。




