第十話 蓮、沢山<固有スキル>や<技能>を受け継ぐ
<黒龍>をあっさり倒した後、俺はまた彼らに会った。お別れを言うために。
「ありがとう。我々の禍根を断ってくれて、これで<黒龍>による犠牲者は出ない」
お爺さんが代表して俺に感謝の言葉を伝える。
「いえ、感謝したいのは俺の方です。...大事な人を守れたから」
すると、背後から。
「へっ?だ、大事な人...?」
俺が後ろを振り返ると、奏が顔を真っ赤にして立っていた。
さらに、お爺さんの背後にいたお姉さんが小悪魔的笑顔で爆弾を投下する。
「そぉよ、蓮くんったら意地張って言わなかったけどぉ、貴女のために失敗したら廃人まっしぐらの
依り身になったんだから」
私が生きてたら、そっこー私の伴侶にしたのにぃ、と身体をくねくねやっている。
「...なぁ、蓮。今目の前にいるのは妖怪?オバケ?宇宙人?」
「ジャンル的に、憑依霊、かなぁ?成仏しかかってるけど」
奏は俺の背から、お爺さんたちを恐る恐る見ている。奏ってホラー系が苦手だったんだ...
あっ、お爺さんたちの身体が透け始めた。時間はあまりないらしい。
「蓮くん。こっちに来なさい」
お爺さんが呼んでくる。あれ、なんか俺の呼び方、蓮くんで統一された?
レベルは身体の負担が凄いかかり寿命を減らすので返しているが。
「これは儂からの餞別じゃ、<テレポートスキル>。受け取ってくれ」
その声を口切りにお爺さんの背後の方々も押し寄せてくる!
「私からはこれ!<錬金術スキル>!頑張ってねぇ」
「俺からは<体術スキル>だ。幸せに生きろ」
「うちからは、<調薬師スキル>や。なかなか使い勝手がいいさかい、頑張ってや」
「私からは<鑑定スキル>です...!あのっ、ありがとうございました」
等々、なんやかんやあって、気が付くとスキル欄には、ところぜましとスキルが詰まっており、
レベル25にしては(<黒龍>を倒しレベルが上がった)あり得ない程のスキルレベルになっていた。
例を挙げれば、<剣術スキル>8レベル(マックス10レベル)で戦士かと思えば、
<裁縫スキル>7レベルや<調薬師スキル>8レベルなどちょっとしたプロフェッショナルなど、
本人でも引くレベルになっていた。
「善意っても、これはなぁ」
度が過ぎるのがダメなのはどれでも一緒だと思った。