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文化祭の君  作者: 獅堂最
side 駒野凜 『凜と花咲き、君思ふ』
45/58

第20話 『開幕』

 *****


 ――幕が上がる。


 遠くから響く剣戟けんげき、怒号、馬のひずめ

 戦いの音だ。

 背景に踊る人影は、甲冑をまとい、剣を打ち合っている。


「ああ、どうして私は、こんなにも無力なの……。こんな私など、消えてしまえばいいのに……」


 スポットライトが照らす、舞台上手(かみて)で、わずかに煌めく鈍色にびいろの、不思議な印象のドレスを着た姫が、嘆いている。


 ――暗転。


 打って変わって、鳥の声が行き交う、明るい森の中。

 飛ぶように走る鹿の影。


 ヒュン……ドシュッ


 矢走やばしりの音が聞こえ、続いて大きな生き物がたおれる、ドスンという音が、静かな森に響きわたる。


「やぁ、また大物を仕留めたぞ!我ながら惚れ惚れするほどの腕前だ。……うん?このあたりは、魔女の禁足地だったか?まぁ、関係ないな。俺様の前では、いにしえの魔女ごとき、恐るるに足らず!」


 下手しもて側のスポットライトの中で、不自然なほどキラキラと輝く鎧姿の男が、腰に手をあてて、呵々《かか》と笑っている。


 ――暗転。


 シャラランと軽やかな音とともに、舞台の中央に浮かび上がったのは、夜空の如き深い藍色に、小さな金の星を散りばめた、ローブ姿の、一人の魔女。


「ああ、うるさいうるさい。私の大切な縄張りで、騒ぐんじゃないよ!魔女の平穏をおびやかす愚か者どもなど、呪われてしまえ!」


 そう、高らかに宣言し、紫色の石が煌めく杖を一振りすると――


 再び灯った左右のスポットライトの中で、姫は糸が切れた人形のようにぱたりと倒れ込み、男はひび割れたうめき声を上げ、もがき苦しみながら暗闇に消え去る。


「ふん。これでちょっとは、静かになるだろう」


 魔女は腰に手をあてて満足げにうそぶく。そして、ふわりと煙のごとく、姿を消したのだった。


 *****

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