微笑み67
えっと、シオンが俺の事が好きだって!?
それで俺もシオンが好きとか聞いているの!?
レオンの脳内処理がパンクして、条件反射で口にした。
「俺もシオンが好きだ!この世界で一番大好きだよ!」
二人は見つめ合って赤面した。
『あれ?俺、今とんでも無いこと言わなかった?』
『私の事が世界で一番好き!?どうしよう!嬉しいかも』
沈黙が苦しくなり、あわあわしながら二人は声を掛け合った。
「そ、そう言えばレオン王子はいつから私の事が好きだったの?」
「えっと、幼少の頃に一目惚れしてからかな?それからシオンを目で追って、困っている人に隔たりなく接する優しい所にどんどん惹かれていって…………って、なに言っているんだ俺は!?」
「はうっ!?」
聞かなければよかった。
二人はもっと真っ赤になって俯いてしまった。
プスプスッと頭から煙が上がっている状態である。
「そ、そのシオンと両想いって事でいいのかな?」
「は、はい、い、いいと思います!」
どもりながら返事をするシオン。
いよいよその場の空気に耐えられなくなってきた二人だったその時─────
バンッッッ!!!!!
扉を勢いよく開けた者がいた。
フシューーーー……………
口から湯気のある空気を吐き出すと、その者は言った。
「ラブコメの予感がしたわ!!!」
「「何を言っているんだお前は?」」
二人は真顔で返すのだった。
「ユーリ、落ち着きなさい。シオン様、おめでとうございます。まさか一番可能性のないお兄様を選ばれるとは、嬉しいような、悲しいような、ムカつくような、殺したいような気持ちでいっぱいですわ」
「おい!どんどん殺意が増えているじゃないか!?」
レオンのツッコミを無視してセーラ王女は続けた。
「シオン様、本当にお兄様でよろしいのですね?まだ腹黒王子だったり、ロン毛の女ったらしの選択もありますわよ?」
「なんか悪意のある言い方は止めろよ?」
レオンのツッコミを再度無視してシオンを見つめた。
「確かに二人には傷つけるかも知れない。でも、もう決めたの。隊長さん、いえ、レオン王子と………レオンと一緒に生きていくって決めたの!」
奥手のシオンは一度決めると最後まで突っ走るタイプなのだ。周囲がどんな気持ちで聞いているのか気付いていなかった。
「…………決心は固いのですね?」
「うん!」
セーラ王女は一度目を瞑って呼吸を落ち着けて叫んだ。
「シオン様の気持ちよくわかりましたわ!誰か、誰かいるかしら!?」
!?
「えっ?なにごと?」
ユーリを始め、シオンとレオンも目を丸くした。
「はっ!お呼びでしょうか?」
護衛の騎士達とメイドさん達がすぐにやってきた。
「聞きなさい!シオン様が婚約者をお決めになりました!【王族の印】の入った手紙を各地に送りなさい!」
!??
「まさか、お相手は………」
視線がレオン王子に集中した。
「誠に遺憾ではありますが、我が不祥の兄が選ばれました」
おい!レオンが反論しようとしたが───
「「本当ですか!!!」」
「ひぇっ、あ、はい。本当です…………」
シオンはびっくりしながら答えた。
「ま、まさかうちの王子を選ばれるとは………」
「素敵です!二人のなりそめを是非聞かせて下さい!」
ワイワイガヤガヤとシオンとレオンに群がる騎士とメイドに活を入れた。
「静まりなさい!この事実をシオン様の気が変わらないうちに全国と隣国にも伝えるのです!急ぎなさい!!!!」
「「「はい!すぐに広めます!!!!!」」
ダダダダッッッッッ!!!!!!!
部屋に入ってきた騎士やメイド達は音速を超えて出ていった。
「ねぇ?セーラが女王になったほうが良いんじゃない?」
このやり取りを見ていたユーリは呟くのだった。
「なんか大変な事になったな」
「そだねー」
急に他人事の様に感じた二人にセーラは言った。
「何を他人事のように言っているんですか?お兄様とシオン様のナニソメは後の機会に根掘り葉掘り聞くとして」
「おい、なにを卑猥的な事のように言ってるんだよ?」
「実際、これから大変なんですからね?」
さっきから俺の言葉は無視ですか?
少し涙目のレオンを置いておいて、急に真顔でセーラ王女は言った。
「微笑みの令嬢シオン様は国内外問わず人気がありますので、お兄様が暗殺されないか護衛を増やす事になります」
「えっ?俺、暗殺されるの?」
「当然でしょう?全国民の憧れであり、隣国でも聖女と呼ばれるシオン様が選ばれた男性を、嫉妬しないはずないじゃないですか?」
「まぁまぁ、大丈夫!毒でも手足の4~5本なくなっても、死んでなければ私が治して上げるから♪」
「手足は5本もないわっ!」
ユーリの言葉にレオンは再度ツッコミを入れるのだった。
愚者の声
「ようやく終わりが見えてきたよ~」
シオン
「本当にカメのように遅いですわ!」
愚者の声
「だって仕事が忙しいんだもん!去年のように毎日更新していたのが奇跡だったんだよ!」
シオン
「奇跡は起こらないから奇跡なんですわ」
愚者の声
「何を名言っぽくいっているのよ………」




