37話_5歳児とアメリア連邦
■リーブル宮殿 皇帝執務室
「陛下、本日のご予定をご報告申し上げます。」
「うむ。」
「本日は午前中に国事のご決裁と即位式の予行演習を実施し、午後からは・・・予定をいれておりません。」
-どうした! ハンス! 病気なのか?
-それとも、爵位が効いたのか?
-いや、違うな・・・
「では、午後からは家庭教師の時間を取れ、アメリア諸国の概要を覚えることにしよう。」
「ご英断でございます。」
-おぬしが、目で訴えておったではないか。
■リーブル宮殿 図書室
「陛下、本日もご機嫌麗しく存じます。」
「うむ、アリス、マリーナよ。そなたたちもな。」
「陛下、ハンス様より本日中にはアメリアの主要5カ国を覚えていただくようにと申し付けられております。」
「そうであるのか?」
-ハンスめ。アリスたちにも目標設定をしておるとは。
「ならば、一つ一つじゃな。」
「はい、陛下。まずはノットランド皇国についてお尋ねください。」
-楽しい国か・・・
「王の名は?」
「ノットランド王のお名前は・・・」
アリスへの質疑で判ったことは・・・
ノットランド王は28歳とまだ若く、名はフリッツ王。正妃と王子・王女が1名ずついる。
ノットランドは人口が60万人前後、主な特産品は木や鉄の加工製品らしい。
職人が多く所属するギルドが組織化されており、その技術力は高く評価されている。
農業は盛んではないが、加工製品によりアメリアの中では豊かな国家の一つだ。
他のアメリア連邦と同じで、軍事力は弱い。
帝国が侵攻して来ればひとたまりも無い水準の軍隊しかいない。
「アリスよ。加工製品で代表的なものはなんじゃ?」
「色々あるようです。農耕器具、武器、馬車、陶器、衣服・・・、わが国にも多くの製品が入って来ているようでございます。」
-ノットランドは技術力の高い国か、覚えておこう。
せっかくなので、「木」「鉄」「武器」のつづりを覚えた!
「陛下、では次はサウザンド首長国を・・・」
サウザンドの首長は65歳で既に孫がいる。
それもたくさんいるらしい。
名はデトルト王。正妃が一人、側室が12人以上!!
王子・王女が40人以上・・・!!
常に増えているので、正確な情報では無いようだ。
サウザンドは一夫多妻制の国だった。
王だけでなく、民も一夫多妻制で子だくさんの国なのだが、残念ながら耕作地に恵まれていない。
子供は大量に生まれ、大量に死んでいくらしい。
人口が70万人前後、海に面しており主な特産物は水産業だ。
人口はノットランドより多いが、貧しく国力が無いため、ノットランドより小国と見做されている。
食糧事情はかなり悪いようで、フランから毎年麦の借り入れが増えている。
今のままなら、絶対返せないはずだ。
「マリーナよ、そなたは魚料理が好きか?」
「はい、川魚を焼いたものは美味しくいただけます。」
-サウザンドは、人は多いが飢えている国と、覚えておこう。
この国では「魚」というつづりを覚えた!!
「陛下、では次はウラーナ王国を・・・」
ウラーナ王の名はゴルビン 57歳だ。
正妃が一人、側室が三人、王子が三人、王女が二人。
サウザンドの後に聞けば、至極普通だ。
人口は50万人で、羊や牛などの畜産が盛んな国だ。
鉄などの鉱物もたくさん取れるが、土と気候が麦の栽培には適さないらしい。
だが、サウザンドと違って、畜産と鉱物の交易により、食料はフランなどから充分に入ってきているようだ。
国としてアシーネ神を信仰しており、各地の神官が官吏として法を扱っている・・・
このあたりは、答えるアリスも良くわからないようだ、ハンスかラインハルトに確認しよう。
「アリスよ、そなたは神を信じておるのか?」
「神?でございますか? 陛下、それは何でございましょう?」
-ウラーナは神を信じる国、そう覚えておこう。
この国では「鉄」というつづりを覚えた!!
「最後に、モンハル国を・・・
モンハル国の族長はカーンと言う名で43歳ぐらいだそうだ。
モンハル国は遊牧民の国で城も持たずに、族長は国を旅しているらしい。
王子たちの情報も正確なものは無かった。
人口は約30万人で狩猟を中心とした生活をしている。
モンハルの馬は名馬が多く、馬の交易によりかなりの収入があるようだ。
軍の規模は大きくないが、馬と弓の扱いに長けた兵士が多く、兵の勇猛さが有名だ。
「マリーナよ、そなたは馬に乗ったことはあるのか?」
「陛下、そのようなものは怖くてマリーナには無理でございます。」
-モンハルは馬と強兵の国、そう覚えておこう。
この国では「馬」というつづりを覚えた!!
アリスたちとの質疑でかなり時間がたった。
外の日差しもだいぶ落ちたようだ。
今日の話を思い出す、ノットランド王の名は・・・
うん、もう忘れた。
覚えているのは・・・
-ノットランドは技術力の高い国
-サウザンドは、人は多いが飢えている国
-ウラーナは神を信じる国
-モンハルは馬と強兵の国
5歳なら、これだけ覚えられれば十分であろう。
■リーブル宮殿 皇帝執務室
「ハンスよ。ウラーナでは神官が法を扱うということらしいが、どう言う意味なのだ?」
「私も詳しくは存じませんが、わが国では領地内のことは全て領主が裁いております。かの国では、領主の代わりに神官が各地におり、あらかじめ決められた規則によって裁きを行っているようです。」
-フム、判ったような、判らないような・・・
「では、ウラーナの公使に一度お会いしてみたい。段取りを頼む。」
「かしこまりました。」
-神官が裁き? 王の代行者と言うことか?
-うん? ハンスの元へ記録官が書状を届けに来ておる。
-珍しいな、俺がいるときにこの部屋へ入室とは。
-ほぉ、書状を見てハンスも難しい顔になった。
-良くない知らせのようだな。
「陛下、ラインハルトから急ぎの報告でございます・・・」
内容を聞いた俺は、翌朝一番でエドガーとラインハルトに会うことにした。
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