【短編】No.1 信じる神の記録
扉が荒々しく開く音がする。
その音に視線だけ寄越し、前を見る。足音だけが強く踏み締められる。
「そんなに荒々しく扉を開けるな、影森。もっと丁寧に扱え」
「うるさいなおじさん、僕に指図すんのやめてくれない?」
どかっ、とソファに座る、青い髪の男──影森。
「…信者に対してもそんな態度なのか君」
「まさか!この僕がそんなヘマをするわけないだろ」
「そうか、なら構わない」
窓際に立つ男──漆黒は空を眺める。
「そっちこそ、ヘマしてないだろうね」
「……どうだろうね」
「どうだろう、ってなんだよ」
「私の古い知人にはバレてるかもな」
「は?!バレるようなことすんなって」
「彼は、今この世で1番神に近い男だ。」
「俺たちのことなんて、全て見据えてるだろう。
…例え、本人がそれを否定したとしてもね」
自分の知人を思い出す。白い髪に、赤い目。ナニカを観るように、いつも対話していた。
鮮明に、記憶と頭に、焼き付けられるような──赤。
「影森、お前が最も恐れているのは、黒い髪に青い子────神無蓮くんだったろう?」
「は?当然だろ。それ以外に強い奴なんていないんだよ」
「残念だ、私が最も恐れているのは、白い髪に赤い目の男だ。
あいつは、次元が違うのさ」
「…まるで、心酔してるみたいに言うな」
青い髪の男──影森が、男を見る。男は笑う。
「ああ、そうだな」
あっさりと認めた男に、影森はうぇっとベロを出す。
「男が男に何の感情だよ」
と嫌そうな顔をする。
そんな影森の様子を無視して、男はひっそりと笑った。
「──彼は」
──これ使うと簡単に移動できるようになるから、この鉛筆使えばいいよ。
──いいのか
──良いも何も、そっちのが効率いいだろ。お前、術得意じゃないんだろ?
──…ありがとう。
──なに、気持ち悪いなぁ。これくらい別に良いって。それよりほら。
──?
──マガツヒ完全討伐のために、手を貸してくれよ。
赤い、目が射抜く。
──漆黒。
「ああ、ははっ」
「うわ何、気持ちわる。急に笑うな」
「君たちの神は運命の女神だったか」
「それが?お前もだろ」
「ああ、そうだな」
ああ、でも。
本当に、俺が信じてる神は、あの赤い目なのかもしれない。
────なんて、そんな自分に笑う。
この先の未来が楽しみで仕方がない。
思わず口を片手で覆う。
そんな姿を見て不気味そうに影森は眉を顰めたのだった。
「…もうすぐで、運命教は動く」
影森の言葉に漆黒は視線だけをよこす。
「僕は今、記憶が不完全だ。思い出しきれてない、あと少し…あと少しで、掴めそうなんだ……」
「…そうか」
「あんたも、願ってるんだろ」
「ああ、当然だ。そのために君に手を貸しているんだ」
「ふんっ、運命は壊す」
ソファの上で手を組み、俯く影森に対して漆黒はしばし眺める。
影森はふぅーーーと、長く細いため息をついたあと静かに、呟いた。
「壊して、僕は────運命の女神を取り戻す」
「…そうすれば、我々運命教に所属する者達も、皆、願えるな」
この世界の理を曲げることを。運命の崩壊と共に、選ぶことができる。
ほんっっとうに申し訳ありません!
7時に予約してたつもりだったんですけど22時になってました…っ!すみません!




