Decide
どもーー
そーいえば今日、平成最後ですね
まあ雨ってだけで外に出るき失せるんですけどバイトあるんで頑張りますはい
「てか遅れてきたのって咲良だったんだ!」
「ごめんね。鍵探してたら遅れちゃって」
「ん!私は大丈夫よ!事故とかじゃなくて良かった!」
「それ、新条くんも言ってた」
「お、新条くん!もう咲良と知り合いなの!私なんて同じクラスなのに顔と名前覚えられてなかったんだよ〜!」
「僕だって今日初めて喋った程度だよ。隣の席だったし」
へぇっと関心するような目で僕を見る叶鳴と佑樹。
そんなに僕がこのクラスに馴染めなかったこと気にしてたのか。ありがたいありがたい。
鉄板で焼かれている肉の香ばしい香りが僕の嗅覚をそそる。
大量の野菜と肉を八人で分けながら消化していると同じ班の女子 神無月さんがしめを焼きそばを持ってきた。
少しずつ余った野菜と肉と麺を絡み合わせ、中学生が作ったとは思えない美味しそうな料理が誕生した。
道振さんの彼氏の柳沢くんと佑樹は運動部のためめちゃくちゃ焼きそばを自分の皿に盛り付け、すぐさま自分の胃袋の中に運んでいく。
一方僕と叶鳴は少食のため少しずつ食っては追加しを繰り返している。
女子もそんな感じだ。
そんなこんなで焼きそばは二十分も持たなかった。
「自由時間だー!!!」
道振さんは新川さんともう一人の女子 来栖さんを連れ、大きな橋へ向かい、この班で唯一の陽キャグループ男子の柳沢くんは陽キャ男子の元へ。
僕と叶鳴と佑樹そして神無月さんが残った。
すると佑樹が神無月さんの元へ。
「行こうか。真由美」
「あ、うん。相川くん」
二人は並んで橋とは違う方向へ歩いた。
佑樹と神無月が出来てるなんて初めて知ったぞ。やるじゃねえか佑樹。
「なあ叶鳴、佑樹って出来て......」
叶鳴の目はいつもとは違った。
元気で明るい目は明るさを失っていた沈んだ目になっていた。
叶鳴は僕とは違い、たくさんの女子と関わっている。一年の頃から彼女もいて、そこそこの青春を送ってきたはずだ。
はだが出来ては別れ、何人もの女子と交際をしてきた。
しかし叶鳴はいつも笑顔でこんな目するはずがないのだ。
「叶鳴......」
「ごめん。ちょっとトイレ」
「お、おう」
僕はベンチに腰をかけた。
小さい頃から友達の二人の関係に僕はどう言葉を取り繕っていいのか分からなかった。
正直言うとどうでもいいってことも頭の片隅にはある。
ただこのまま僕たち三人の関係が壊れるのが怖かった。
そこへまた僕の意識にあの声が反応した。
「どうかしたの......?」
「新川さん......」
「隣失礼しますね」
「あ、はい」
「それでなんでそんなに沈んでたの?」
「新川さんはさ、昔からの友達とかっている?」
「志帆が幼稚園からの友達なんだ」
「そうなんだ。もし...さ、もう1人昔からの友達がいてさその子と道振さんが同じ子を好きで、どちらかが振られて一方が付き合ったら新川さんはどうする?」
「どうする...か。私なら普通に接するかな」
「やっぱそうだよね」
「私は今も友達が少なくて、志帆とか陸部の子とかしかいないのね。だから、私は本音をぶつける。それが私が友達を守る一番いい手段だと思う。だから新条くんも...」
新川さんは目を見開いた。
多分気づいたんだろう。叶鳴と佑樹のことを。
何メートルか先に佑樹と神無月さんが手を繋いで歩いている。
「ありがとう。新川さん。少しわかった気がするよ」
「...参考になったなら嬉しいな」
「また相談してもいいかな?」
「私で良かったらいつでも...!そうだ、新条くんまだ橋行ってないでしょ?」
「え、ああ。そういえば」
「今から二人で行こうよ」
「え、えとおれ、高いとこ...」
「早く行くよ!!」
彼女が僕の手を握り走り出す。
叶鳴と佑樹と神無月さんの三角関係に部外者が口を出すのはどうかと思うが、僕は友達としてこの中学生活を守るために戦うことにした。
新川さんとならどんなとこでも行けそうだった。
さらば僕の生まれた年号。




